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『オレ×オレ』
…7。



「やっぱりいいなぁ。俺もZippo欲しいぃ。」

この頃、遊佐が欲しがっていたのは、俺のZippo。


毎日俺のそばにくっついて、
ことある事に
「Zippo欲しい。」


うるさいったらありゃしない。

「自分で買えよ。」
って言うと、
「じゃあ、買ってくるからソレチョーダイ?」

「ハァ?嫌だよ。」

クロムハーツのZippo。
シリアルナンバー入り。

誰から貰ったかは覚えていなかったが、気に入っていた。

「蓮の使ってるそれがいい!
なんかイイ匂いがするんだよね。」

「あぁ、香水入れてるからだよ。ck one。」


俺はZippoに香水を入れることにハマっていて、火を消した後の香水の残り香が一番のお気に入りだった。


「マジで?
すっげえイイ感じ何だけど。」

ニコニコと無邪気に笑う顔を見て、胸が苦しくなる。



「遊佐くん。」

いつもの場所に俺たちの姿を見つけて、遊佐の彼女、結花ちゃんが駆け寄ってきた。

「…レンさん。こんにちは。」

遊佐の彼女は可愛い。
「チハ。結花ちゃん今日も可愛いね。」

いつも通りに挨拶すると、結花ちゃんはちょっとだけ頬を赤くして笑い返してきた。

だけど、言葉とは裏腹に胸がチリチリする。
嫉妬、みたいな…。


「俺、予定があるから行ってるな?
…結花ちゃん。ごゆっくりぃ。」

手をひらひら振りながらその場を後にした。

二人を見ていたくなかったから。

だけど、自分が好きなのは、結花ちゃんの方だと思っていた。





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