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夢物語の始まりへ(山雲)/誕生日企画フリー

十年前に貰ったリングの隣には
君から貰ったシルバーリング








「雲雀さん」


イタリアマフィアのボンゴレ総本部
僕はその建物の廊下を歩いていた


「なに綱吉」


すると後ろからボンゴレボスの沢田綱吉に話かけられた

彼は笑いながら駆け足で近づいてくる
その姿は十年前と変わらずあどけないものだった


「雲雀さん今日は仕事ありませんよね?」

「ないよ」


それは君のせいだろ?と悪戯めいた言葉をかけると彼は少し微笑んだ


「今から誕生日パーティーするんです」

「頼んでないよ」

「さ、行きましょう雲雀さん」


彼が変わったといえば、ボスらしくなったってことぐらい
僕にも怯まなくなったし仕事にもメリハリが付けられるようになった


「はいはい」


そして僕も変わったのかもしれない
昔ならこんな群れることなんて想像も付かない


「大丈夫ですよ、もう子供じゃないんですから」


扉の取っ手に手をかけて開く
子供じゃない、その予想は壊された


パーンッ!!
happybirthday雲雀!!


パラパラ…
ヒラヒラ…


「…綱吉、」


頭についた紙吹雪を落としながら唖然としている綱吉に聞いた


「なにコレ…」

「いや、俺もびっくりで…」


やった当の本人達はこちらの様子も気にしないような感じでいそいそと準備を始めていた


「やっぱりバースデーと言えばクラッカーですよ」

「極限に納得した!!」

「極限の使い方が違ぇよっ!!」

「ほら、雲雀さんとツっくんも座って?」


笹川京子に諭されるがままテーブルに着く

目の前にはドデカいケーキとオードブル


「誕生日だから頑張ってみたんだ」


それはとても食べきれるような量ではない…
だが、笑顔で

「食べてね?」

と言われたら食べないわけにはいかないだろう
ましては自分の為なのだから









「雲雀くん」


みんながそれぞれお酒やら食事やら楽しんでいると骸が話しかけてきた


「これはみんなからです」


骸が渡したのは一冊の本
どこにでも売っていそうな、でもどこか懐かしいような
僕はどこかでその本を見たことがあった


何故なら
それは
僕が選びあげたもの




「みんな酔ってしまったんでここでお開きにしましょう」


そう言い僕を部屋から追い出した


閉め出され廊下を一人歩く
歩いている途中で本を開こうとはせず頑なに閉じたままだった












部屋に戻り本を机に置いてベッドに飛び込んだ

見たい、でも見たくない


そんな矛盾な感情が自分の中で行き交いしている


大きなベッドから机に目を向けると本の隣に小さな箱があるのに気づく

立ち上がって箱を手に取る
その箱は小さく入れるとしたら指輪ぐらいであろう

開けるとそこにあったのは予想通り指輪だった
シンプルなシルバーリング


誰かが置き間違えたのだろうか


そう思い指輪の中を覗くと








『K.Y』



と彫ってあった







『雲雀武より山本恭弥のほうが格好いいよな』






何故今更『彼』の言葉が出てくるのだろう
もう三年前の話なのに


まさかと思いながら、貰った本をゆっくりと開いた








『誕生日に雲雀にこの本を貰った、これぐらいなら俺にも書けるしな!!ってもうすぐ雲雀の誕生日なんだけどなににしようか…
十年後はもう決まってるんだ、指輪買う!!まぁ、まだ買う金が無いから十年後なんだけどな』


パラパラとページを飛ばしながらめくる


『今日はツナに買える時に買っといたほうがいいよって言われたから頼んできた
俺のは「T.Y」だけど雲雀のは「K.Y」
雲雀怒りそうだけどどうにかなるだろ
早く出来ないかなー
多分あと三年我慢出来る気がしねぇな』



本をそっと置き指輪を薬指にはめてみた

窓に手をかざし指輪を眺める




「どうしてサイズがわかってるんだい?」

「君は渡さずに逝ってしまったね」

「自分のはどうしたの」











ありがとう
大好きな君にそう言いたいのに


Thereisyounowhereanymore


(きみはもうどこにもいない)



END



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