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二人の日.3



※二人の日、続き
呂佳17才、利央14才設定





二人の日.3




呂佳が店から出ても、利央は下を向いて拗ねたままだった。

家へ向く二人の足が進んでも、無言のまま時間が過ぎる。

沈黙に耐えられなくなったのは、意外にも呂佳の方だった。

「何怒ってるのか知らねーけど、お前が黙ってんのはなんかキモいから、喋れば?」

本人は意識していないが、呂佳の口調は鋭い。
全くそんな気はないのに、利央を追い詰める。


利央がぐっと唸ってから呂佳の目を見つめた。

「さっき、軽く流したでしょー?オレはちゃんと兄ちゃんのこと大好きだかんね!」


なんだそんなことか。


うっかりそんな言葉を言いそうになったが、また利央の気分が暗くなったら面倒だ、と呂佳は思ってこう言った。

「わかってるって。俺も好きだよ」

「えっ」

不意に利央が足を止めてうつむく。

呂佳が怪訝な顔で利央の頭を掴んで、自分に良く見えるようにあげさせて、

絶句。

暗闇でもわかるほど、顔が真っ赤になっていた。

「……え?」

呂佳からしてみれば、どうだこれで機嫌もなおるだろう、位の気持ちから出たものだから、利央が赤くなる意味がさっぱりわからない。

生ぬるい風が利央の髪と、その髪を掴む呂佳の手を撫でて過ぎていった。

その手を利央の両の手が包み込んで頭から離した。

「兄ちゃん」

利央の手は震えていた。

「なんだよ」

呂佳は、何かマズイ事を言ったか、と狼狽えていた。

「違うんだよ、兄ちゃん」

絞り出した声は小さかったが、呂佳に響いた。





大好きなんだよっ





「……だっ、だからプリン半分あげるっ!」

「……はぁ!?」

それらを言うと、利央は呂佳を置いて家へと走りだす。
残された呂佳は、混乱するばかりだった。



なんでプリンになんだよ!?
今もっと大事なこと言ってたじゃねーか!




「……俺、おちょくられてんのか?」


だだの兄弟愛か。
それとも違うやつか。

いやいや、後者はまずい。いろんな意味でまずい。



呂佳は困ったようにため息を吐いて歩き出した。

自分がにやけ顔をしていると気付いて真っ青になるまで、後15分。

利央が誰とも好物を半分こしたことがないと知って真っ赤になるまで、後1時間。







end





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あきゅろす。
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