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short
甘い。甘い、甘い。※

※変態ちっく
利央視点


たまに、ものすごく抜きたくなるときがある。
その衝動は突然で、もちろん情けなくなるときもある。

例えば学校にいるときなんて、もう悲惨だ。
この間、普通に廊下を歩いていたら、何故かそういう気分になって、自分を殴りたくなった。
なんで、学校でなわけ。
歩いてただけだよ、オレ。
いや、学校でなければいいってわけじゃないけど、なんで、あえて学校で。
そのときは、多分最近兄ちゃんとヤってないからだと、無理やり自分を納得させて、耐えた。
耐えないと、ヘンタイになっちゃう。

じゃあ、家でもしもそういう気分になったとしたならどうするか。

部屋にカギをかけて制服を脱ぎ捨てたオレを、誰も咎めないで。






甘い。甘い、甘い。






タオル片手に、素っ裸でベッドに潜り込む。
家にはオレ以外誰もいないけれど、いつ帰ってくるかわからない。
帰ってきていたことに気付かずに大声なんてあげたら、と思うともう恥ずかしくて恥ずかしくて。
だから、ベッドの中で一人で汗だくになるまで、声を漏らさないようにして、満足するまで、するのだ。

情けない。
こんな欲一つに翻弄される自分が情けない。

そう思いながらも、手は勝手に動いて、中心を握る。
最初は緩く。
だって焦らすのが好きだから。
兄ちゃんが、そういう風に触るから、身体が覚えているんだ。きっと。

だんだん息が荒くなって、そうしたら乳首をつまみ上げる。
これも、兄ちゃんが、そういう風に触るから。
じわ、と走る痛みが何とも言えず気持ちいい。
兄ちゃんは、乳首を弄りすぎるとシャツに擦れて痛くなる、と適度に触れてくれる。
でも今日は、オレ一人だから、変な言い方だけど好きなだけ触れる。
どうしよう、弄りすぎたら。

自身を握る手を少し強めてみれば、もう、堪らなくて。

「はぁ……」

どうしよう。
気持ちいい、ずっとこのままがいい。
気持ちよくなる一歩手前の、焦らされている状態のまま、1日ずっと。

ああ、オレもうヘンタイだ。

考えたことに対して涙が出たのか、気持ちよすぎて涙が出たのかわからない。
ゆるゆる上下に動かして、次第に腰が勝手に動くようになった。
無意識にスピードを速めようとする手を、そっと止めた。

まだ、イきたくない。
苦しいままがいい。

「んっ、あっ、……」

そう思っていたのに、腰付近にあったごわついたタオルにそれが直接触れてしまって、頭が真っ白になった。

予期せぬ快感って、いつもより余計に感じる。

真っ白な精液が、腹の上でどろりと溜まっている。
それを少し掬い上げて、イったばかりのそれの先端に擦り付けた。
もう片方の手で根本を押さえ付ける。
敏感になっていて、本当は今すぐに出したくてたまらないのに。

「も、やだぁ……」

無意識に出た声に興奮した。
押さえてるのは、オレだ。
もっと、我慢すれば、後で気持ちよくなれる。

背中がのけぞる。
もう限界なのかも、でも。
出したくて、手から力が抜けていく。
でも、まだ。
もう少しだけ。

「やなの……んっ、まだ、ぁ、あぁっ……」

気持ちいい、けど。
まだ、我慢できたのに。

ああ、
兄ちゃんがいたら、もっと焦らして、くれるのに。

まだイきたくないって、そう言えば、苦しくなるくらい快感にさらされて、でも出せないように、あのごつごつした手でしっかり押さえ付けてくれるのに。
苦しくて、泣きながら懇願して、やっと絶頂へ導いてくれる彼なら、その望みを叶えてくれるのに。

兄ちゃんが、いい。

とっさに携帯を取って、兄ちゃんの番号を呼び出した。
お願い、今日はすぐにでて。
オレの望みを叶えて。

電話から彼の声が聞こえた。

―利央か。

「兄ちゃ、ん」

まだ荒いままの吐息に、兄ちゃんは呆れ声で返してきた。

―何だ、テレフォンセックスならやらねーぞ。

「兄ちゃんの、ばか、違うのっ」

―じゃあ何だ。

「セックスしたいの」

―はぁ?

「今日はうちに帰って来て、お願い。気持ちよくなりたい、ねえ」

兄ちゃん。

―……お前って、本能のまま生きる人間の代表と言っても間違いじゃないんだろうな。

「兄ちゃんー、お願い、早く、もうオレ、ヘンタイでいいから」

―知ってる。





やだ、やぁっ……兄ちゃ、まだ、ダメだから

馬鹿、お前いい加減出さねぇと……

イヤっ、もっとキツくし、あぁっ、苦しぃ

お前が言ったんだろうが

え、あ、やっだめって言ってるじゃん、ばかぁ、緩めないでよっ

はいはい

兄ちゃんが涙を流すオレの瞼にキスした。

ああ、もうだめだ。
ものすごく気持ちいい。



オレのこと、ヘンタイだと思う?

まぁな。

……嫌いになった?

まぁ、軽く引くわ。

「ひどくない?」

「仕方ないと思え。俺はそんな気持ち悪い性癖のお前を受け止めてやってんだ」

「でも、普通じゃつまんなくない?」

「……俺は、お前ならなんでもいいって言ってんの」


愛されてるよなぁ。
今、すごく満たされてる。


でも、またあの衝動が突然襲ってくるんだろうな。

それで、オレはまたどんどんおかしくなっていく。

そして、欲に支配されたオレを引き戻しに、兄ちゃんがやってきて。

また今日みたいに、甘い時間を過ごす。








end




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あきゅろす。
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