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short
健全青少年.3※


※もっと露骨




冷たいタオルが気持ちいい。
大きな手がオレの髪を撫でた気がして、目を開けた。
白いTシャツを着た大きな背中が見える。

「……兄ちゃん?」

視界が霞んでいたけど、そこにいるのが兄ちゃんだということはわかった。
オレの呼び声に気付いたのか、兄ちゃんがオレの顔を覗き込む。


頭がおかしくなりそうな、ピンクの空間にいたはずなのに。

気付いたら、そこは兄ちゃんの部屋だった。





健全青少年.3





「まだ目眩するか?」

低い声が、さっきと違ってとても優しい。
オレの額にはり付いた前髪を兄ちゃんがそっと避けてくれた。
表情も仕草にもバカにしたような感じは一切なくて、それが逆に辛い。

「利央」

「もうやだぁ」

兄ちゃんの優しい手から離れるように身を捩った。

なんでのぼせちゃったんだろう。
初めてだったのに、兄ちゃんとの大事な。

情けなくて、しょうがない。

布団に潜って兄ちゃんに背を向けた。
素肌に纏った大きめのバスタオルを胸にぎゅっと抱き締める。

泣きそうだ。

「……兄ちゃんごめんね」

「何謝ってんだお前。……潜ったら暑いだろうが、ほら顔出せ」

「絶対やだ」

ため息が聞こえた。
きっとバカなオレに呆れたんだ。

そう思って、布団の中で更に縮こまった。

自分からセックスしたいって言ったのに。
兄ちゃんがオレを求めてくれた事、嬉しかったのに。


結局、オレは兄ちゃんを生殺しにさせただけだ。


その上、のぼせたオレの介抱までさせている。
悔しい。
バスタオルを噛んで嗚咽を堪えた。

「りーおー」

兄ちゃんが布団を無理やりひっぺがして、オレを仰向けにさせた。

油断していた。
でも、油断していなくても、今の状態のオレじゃ勝てなかったと思う。

「お願い。見ないで」

「嫌だね」

見ないでよお。

「本当、今ダメ。見ないでくださ、い。お願い、兄ちゃん」

バスタオルから口を離したせいで、堪えていた涙と嗚咽が漏れた。

「好きだ」

「見ちゃ、いやだ」

「全部見せろ、利央」

わかんない人だなぁ、いやだって言ってるのに!

「やだ、あっち行って!」

「今のお前、すごい可愛いよ」

暴れるオレを兄ちゃんが抱き締めた。
ぐいっと顔を掴まれて、無理やり向き合わされて、そのままキスされる。
いつもなら、触れ合わせるだけで終わりのそれが今日は違った。

静かに兄ちゃんの唇が離れていったから薄く目を開けたのに、次は舌でオレの唇をなぞってきて驚いて目を閉じた。
舌で何度も触れてくる、その感覚に耐えられなくなって僅かに唇を開けた。

その途端、兄ちゃんがオレの口に舌を入れてきて、舌と舌を絡めた。
生温い、少し厚みがあってザラザラしている。


……べろちゅう?


やっとそう気付いて、真っ赤になった。

息が苦しくなっても、唇が完全に閉じている訳ではないから呼吸は出来て、それをわかっているから兄ちゃんも離れようとはしない。

「んっ……は」

「腕、タオルじゃなくて此方にしろ」

バスタオルを掴んでいた指先は、力を入れすぎて白くなっていた。
兄ちゃんはオレの指を一本一本丁寧にバスタオルから離れさせて、兄ちゃんの首へと回した。

肩がすごいがっしりしていて頼もしく見える。
オレはまだまだ細身だから兄ちゃんの体型は羨ましい。

唇がようやく離れて、兄ちゃんに抱きつく力を強めた。

「いつか、オレも兄ちゃん見たいな身体になれるかなぁ」

「そりゃあ、お前は成長期だからな」

既に俺よりも身長高いだろうが。
それだってほんのちょっとじゃん。


兄ちゃんがオレの耳たぶを口に含んだ。

「ぅ、だからっ耳は嫌だって言ってるでしょぉ!」

「シラネ」

どきどきする。
兄ちゃんが触れた場所が全部熱い。

「にーちゃん」

セックスしたい。
緊張して掠れた声になってしまったけど、兄ちゃんの耳にそう呟いた。

「兄ちゃんが好きだよ」

兄ちゃんが昔、女の人を抱いたとか、そういうの悔しいって自棄になってる所もあるけど。
セックスしたいのは、やっぱり兄ちゃんが大好きだからなんだよね。

「好きだから、」

したい、と言おうとしたのを、また唇で遮られた。
何回邪魔するの兄ちゃん!

「俺もお前が好きだから、ヤりたい」

……うん、嬉しいけど、結構恥ずかしい。






兄ちゃんがTシャツを脱いだ。
ベッドに縫い付けられ仰向けにされて、兄ちゃんとしっかり抱きあう。

さっきは第一関節なんかでストップをかけてしまったので、とりあえず中指が根元まで入るまでは何も言わないようにしないと。

とか、決意はするけどやっぱり苦しい。
多分今やっと第二関節位だと思う。
1本でこんなに苦しいなんて。

息を吸え、と言うように、兄ちゃんがオレの頬に唇を落とした。

「ふ、ぁ」

息を吸うタイミングに合わせて、兄ちゃんが指をゆっくり進めた。
痛い訳じゃないんだ、我慢できる、大丈夫。

「んっ入った?」

「ああ」

ちゃんと入ったんだ、良かった。
いや、まだ指1本だから全然良くないんだけど、でもとりあえず良かった。

「次、2本入れるけど、痛くなったらすぐに言え」

兄ちゃんはそう言って一度指を抜いて上半身を起こした。
ホッとして、ゆっくり息を吐く。
行き場の無くなった腕で、ぐしゃぐしゃのバスタオルを引き寄せていると、兄ちゃんがベッドの脇を探るのが見えた。

「何してんの?」

「ローション準備してんの」

「あ、オレ見たことない、見せてー」

「てめーよぉ、のぼせたとは思えないほど元気だな」

ほら、と兄ちゃんが瓶をオレの手に握らせた。
オレがそれを眺めている間に、兄ちゃんはゴムの準備をしていた。
一回しかしてないって言ってた割に、手際よくない?

「中身出していい?」

「あのな、今から嫌って言うほど使うんだけど、見たいの?」

好奇心だけでオレは頷く。
オレの反応を見て、半ば呆れ気味に兄ちゃんは笑った。

「じゃあお前に見えるように実践してやるから、その邪魔な物を捨てろ」

またバスタオルを取られた。
更に今度は、遠くに放り投げられてしまった。
かわいそうなバスタオル。

バスタオルの飛んでいった先を見ていたオレは、突然お腹の上に注がれた液体に驚いた。

「おい、よそ見すんじゃねぇよ」

兄ちゃんがオレのお腹を撫でた。

「うわ」

ぬるぬるする。
そのぬるぬるの手を、お腹から右の胸辺りまで這わせたので、背中がぞくぞくした。

「兄ちゃん、すっごいぬるぬるするんだけど」

「まあ、そういうもんだからな」

乳首の回りを人差し指でなぞられて身体が跳ねた。

「気持ちいい?」

反対側に兄ちゃんが舌を這わせる。

「お、オレは女じゃな、いしっ」

「にしては、エロい声出してんじゃん」

待て待て、エロいのはどっちだよぉ!

「気持ちいい、とかそんなんじゃないし、ほらぁ、あのっ、ぬるぬるするからなんかっ、」

また唇で言葉を遮られる。
まだ突っ込んでないのに、頭がおかしくなりそうだ。

「そろそろ、2本目大丈夫か?」

「どうぞ、お兄サマ」

ふざけた言葉のついでにウインクをおまけする。すると兄ちゃんの眉間にシワが寄った。

「この野郎……マジで気ぃ失っても止めねぇかんな、覚悟しとけアホ」

そうしてください。
だって正直、兄ちゃんが気持ちいいならオレは痛くたっていいんだ。


兄ちゃんの太い指2本はやっぱりキツい。
でも1本目で馴れたのか、それともローションのおかげか楽に奥まで入った。

抜いたり挿したりを繰り返しているうちに、苦しさが完全に消えた。
変な気分だけが残る。


その時、急に頭が真っ白になって、電流が走った気がして、思わず声が出た。
自分で自分の声に驚いて、兄ちゃんの首にしがみつく。
兄ちゃんが同じ場所を何度も指で擦った。

「兄ちゃ、あっ止めて!」

「ここだろ?」

そうだけど、そんなにしないでよ!
嫌だ。
特に声。
あと、なんか奥からきゅんきゅんするのがやだ。

「止めねぇって言っただろ」

確かに言ってたけど!
でもさぁ!

「もぅ、ぁっ……」

力が抜けた。
気を失った訳ではなく、ただ放心状態。

とりあえず兄ちゃんを睨み付けた。

「ハイハイ、もうバカでもヘタレでも何とでも呼べ」

んで許せ。

耳元の兄ちゃんの声に心臓が跳ねて、次に身体が跳ねた。

指なんかと比べ物にならない。

痛い。
すっごい痛い。
超痛い!

けど我慢する。
オレが痛いってことは、多分兄ちゃんもキツいんだと思う。

「ねぇ」

兄ちゃん。

「今、さぁ、」

しあわせ?

ぎゅっと抱き締められて余計に深くなったけど、なんとか堪えた。



兄ちゃん、好きだよ。


兄ちゃんもでしょ?











そんなこんなで、無事に初夜を迎え、めでたしめでたしなオレ達だったんだけど。

悲劇は朝やってきた。


「い、痛い、腰があ!」

「おお、ワリィな」

いやいや、悪気ゼロじゃんかぁ。
何そのツヤツヤの笑顔。
オレから若さのエキスを奪ったんだな兄ちゃんめ。

「学校まで送ってよね」

「つーかその状態で座れんの?」

無理じゃね?

ニヤニヤ笑う兄ちゃんを見て、昨日のカッコイイ兄ちゃんはどこに行ってしまったんだろう、とオレは真剣に悩んだ。









end


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