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健全青少年.2※
※さらに露骨
「俺は、付き合って3ヶ月って早いと思うけどな」
オレ達高校生が誰かと付き合ったと仮定して、どれくらいの期間が経ったら、丁度良いセックスのタイミングだと思いますか。
そんなアホな疑問を、尊敬する和さんにぶつけたら、返ってきたのは上の答えだった。
その後すぐに、和さんにセクハラしてんじゃねーよ、と準さんに頭を叩かれた。
健全青少年.2
準さんのは拳骨は痛い。
投手だから、腕は大切にしていて、瞬時にちゃんと利き手じゃないほうの腕を使って叩く辺りを感心しそうになる。
だけど、そもそも叩かないでください。
「痛い!ていうかさぁ、別に男ならこういう話すんの普通でしょ?」
オレと準さんと和さんは仲が良い。
誰が言い出した訳でもないけれど、昼休みには和さんのいる3年6組に集合して一緒にご飯を食べる。
いつもは慎吾さんもいるけれど、今日は委員会の集まりでいない。
なのでご飯を食べ終わってから何気なく、セックスのタイミングについて和さんの意見を求めたのだ。
もちろん、オレと兄ちゃんの事っていうのは隠してだけど。
「でも和さんにそんな事聞くんじゃねーよ、いやらしんごサンにでも聞けばいいだろ!」
いやだから、今日は慎吾さんいないんだって。
本当、準さんは和さんにべったりだなあ。
「こーら、準太」
ダメだろ、仮にも先輩をそんな風に言ったりしたら。
コツン。
「だって和さん……」
だってじゃないぞ、準太。
和さん……。
準太……。
「すいません、今のオレ、ラブラブな人見てると殴りたくなるんで、夫婦漫才はそこまでにしてください」
なんでセックスとか下ネタの流れから、メルヘンな雰囲気になっちゃうの。
コツンとかギャグだよね。
ていうか何なのこの人達、夫婦漫才っていうかマジで付き合ってるんじゃないのかな。
「いっそ付き合えばいいんじゃないのぉ?」
イライラしながら投げやりに言って、オレは牛乳パックを一気に吸い込む。
何が夫婦漫才だ。
オレだって兄ちゃんと漫才っていうかラブラブしたいよぉ!
空になったパックを潰しながら、急に静かになったなぁとバカ夫婦をチラリと見た。
「……え、どうしたの二人とも」
準さんと和さんは無言で見つめあっていた。
準さんは少し頬を染めて、和さんはただただ準さんの目を真摯に見つめている。
静かなのは良いことなんだけど、何この空間。
オレ、もしかして何か余計な事言っちゃったかな。
しまった。
……オレは知らないかんね。
「失礼しました、オレはお先に戻りまーす」
今のオレは自分の事でいっぱいいっぱいだ。
先輩の恋愛模様なんて知った事じゃない。
準さんと和さんが若干ギクシャクしていた部活も終わり、オレは家へと自転車を走らせる。
あの二人には悪いことをした。
でも和さんが準さんに一緒に帰ろう、と誘っていたから、明日はきっと元通りのバッテリーになっているはずだ。
でないとみんな困るし。
ていうか、付き合って3ヶ月でセックスってみんなの意識だと早いんだ。
結局オレは昼休みの後、和さん以外にも何人か気心の知れた友達に同じ質問をした。
3ヶ月を丁度良いと言う奴も中にはいたが、大半の連中は最後までいくのは早いと言う。
ちなみに、迅に至ってはセックスという単語を聞いただけで真っ赤になっていた。
慎吾さんが迅をいじりたくなる気持ちがよくわかる。
オレが勝手に焦りすぎたんだ。
兄ちゃんには何か考えがあったのかもしれない。
男と女では自然な事でも、オレ達では勝手が違うのだ。
それを聞こうともせずに、殴ってごめんなさい。
でも、やっぱりエロ本は腹立つ。
オレはまだまだ子どもだ。
考え事をしていると、時間なんて簡単に過ぎていく。
家に到着して、自転車を停めた。
ちゃんと殴った事を謝ろう、と決意して玄関に近付く。
ドアに手を伸ばしたら、勢いよく内側から開いたので驚いてその手を引っ込めた。
開けた母さんも、急に現れたオレに驚いていた。
「あら、お帰りー」
母さんは慌てた様子で車に乗り込んで、声を張り上げる。
「じゃあ呂佳、戸締まりよろしくね!」
玄関からサンダルを引っかけたラフな格好の兄ちゃんが出てきた。
何がなんだかわからなかったけど、とりあえず母さんを手を振って見送った後、オレは兄ちゃんの方に向きを変えて頭を下げた。
「兄ちゃん昨日は本当にごめ……」
「んな事良いからさっさと上がれ」
まだ言い終わらないうちに、兄ちゃんはオレの腕を掴んで家に引きずり込んだ。
怒っているのか、と表情を伺うが別にそういう訳でもないらしい。
ただ、腕に食い込む指が痛いので、顔を歪めながら兄ちゃんの後を歩いた。
浴室の前まで来てやっと腕を放してくれた。
これ絶対、痕になる気がする。
「利央」
やっと解放されたと思ったのに、兄ちゃんがオレの肩をがっしり掴んで言った。
「タイムリミットは3時間だ。まあ、そんだけあれば十分だろうけどな」
「へ?」
兄ちゃんの目がギラギラとオレを映した。
背中を冷たい物が這う。
兄ちゃんの言った意味を理解しようとしたが、兄ちゃんに噛み付くようなキスをされて頭が上手く動かなくなった。
熱い。苦しい。
ていうか兄ちゃん、長い!
息ってどうやってするんだっけ。
「んー!」
兄ちゃんの背中を何度も叩いてやっと唇が離れた。
ぜーぜー言ってしゃがみこんだオレを見下ろして、兄ちゃんはため息を吐いていた。
「お前、そんなんで最後まで大丈夫なのか」
最後?
まさか。
「兄ちゃん、まさかセックスするの」
「おお。つーか、その内って言ったら嫌がったのお前じゃねーか」
そうだけど、でもやっぱりあの。
「あのっオレ考え直したんだ、オレが勝手に焦ってただけだと思うんだよね、やっぱりまだ早いんじゃっ」
「わりぃな。お前の意見は全て却下」
そう言うなり、兄ちゃんがオレのネクタイを解いて、次に制服のズボンに手を掛けた。
制止の言葉を吐こうとすれば、また兄ちゃんに塞がれる。
キスに酔っている間にもどんどん脱がされて焦って、でもどうしようもなくて。
ダメだ、もうシャツしか残ってない。
「ふぁ……ムカつくっ兄ちゃんも脱がしてやる!」
このまま兄ちゃんにされるがままなんてズルい、そう思って反撃に出る。
でもまたキスされるから、やりにくくて堪らない。
何とか頑張って、兄ちゃんの白いTシャツを脱がせて一息。
そして現れた腹筋に息を飲んだ。
慌ててうつ向く。
それから、自分がしたことに気付いて、頬が真っ赤になるのを感じた。
オレって本当バカ!
オレの様子を見て兄ちゃんはニヤニヤしながら耳元で囁いた。
「どうした、利央」
何も言えない。
若干掠れているのが、何だか色っぽい。
しゃがみこんだままのオレを抱き上げて、兄ちゃんは浴室に入りシャワーを目一杯出した。
それをシャツを羽織ったままのオレに向けた。
「つっめた!」
お湯になる前の水のまま使うもんだから、それは冷たい。
鳥肌が立って、身体が震えた。
「本当キレイだな、お前」
シャワーは出しっぱなしのまま、兄ちゃんがオレの目の前に座った。
兄ちゃんの目がやらしい色になっている。
その目の中にいるオレも、やらしい目をしていた。
「利央、透けてる」
指で胸の辺りを引っ掻かれて、変な声が出た。
面白がってそれをしばらく続けると、兄ちゃんは満足気に笑う。
水を被って寒いハズなのに、頬だけは熱くなって、泣きそうになる。
オレの耳に兄ちゃんが息を吹きかけた。
シャワーから流れ出るお湯がオレの足を濡らす。
聞こえるのは、シャワーの音と、兄ちゃんの荒い息づかいと、オレの、耳を塞ぎたくなるような声だけだった。
もう何も考えたくない。
「兄ちゃん、服、気持ち悪い」
目から堪えられなくなった涙が流れた。
「んっ、あ……お願い、もう耳やだ……」
「嫌、じゃないんだろ」
心臓の音は多分兄ちゃんに聞こえてる。
気付かないうちに、兄ちゃんの片方の腕が背中を撫で回していて、次第に下へとずれていった。
指が行ったり来たりを繰り返し始めたので、覚悟を決めた。
兄ちゃんの首に抱き付いて未知の衝撃に備える。
「まず1本だから」
1本って言ったって、兄ちゃんの指太いじゃん。
そう思いつつ、頷いた。
ゆっくり兄ちゃんが中指を進めた。
あれ、なんか大丈夫かもしれない。
なんて思っていられたのは最初だけで、すぐに苦しくなった。
「あ、兄ちゃん……」
お願い、ちょっとストップして。
オレの目を見て察してくれたのか、兄ちゃんは指を止めてオレの額にキスをした。
「痛いのか」
「痛くはないけど、苦しいっていうか」
そうか。
「まだ、第一関節位なんだけど、無理そうなら辞めとくか?」
「無理じゃない!」
風呂場だから、大きな声が余計に響く。
今いい雰囲気なのに、オレがぶち壊してどうすんの。
まだ頑張れるよ。
「いや、オレはお前を思ってだな」
オレのためとかそーゆーのいらないし。
シャワーから出るお湯のせいで室内の温度は物凄く熱くなっている。
そんな中でオレ達は互いに一歩も譲ろうとしなかった。
今思えば、これがいけなかったんだと思う。
「だって兄ちゃん、かたくなってるじゃん」
「それぐらい手でやるから大丈夫だ」
「今ヤりたいのは、兄ちゃんだけじゃないんだよ」
だけどな。
でもさ。
いやいや。
「ていうか兄ちゃん、」
「利央?」
「頭クラクラする……」
そこでオレの意識は途切れた。
3に続く→
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