short
意味もなく会いたい※
※ちょっと危ない
この間、青春ドラマで主人公とヒロインが触れるだけの可愛いキスをしてた。
「だからどうした」
「でも兄ちゃんは、べろちゅーの方が好きでしょ?」
急に家まで押し掛けて来ていきなりなんだよ。
昼間っから何を考えているんだ、この愚弟は。
とか頭では考えつつも、俺は耳元で甘く声を出す利央を迷わず押し倒した。
意味もなく会いたい
「あっ、くすぐったいよぉ」
白いシーツの上で白い身体が跳ねた。
利央の背中を指先でなぞれば、もう面白いくらいにビクビク跳ねる。
俺の手がそうさせていると思うと、征服感が満たされる気がした。
「兄ちゃん、もーやめてー」
利央がクスクス笑う声が聞こえた。
やめて、などと言ってはいるが、服を脱がせようと手を伸ばした俺を無視して、一人ストリップショーをしたのはコイツだ。
ワイシャツをボタン全開にした、他には何も纏わない格好は目に毒だった。
だから、今回は利央が悪い。
別に俺が無理矢理ことに及ぼうとした訳ではない。
自分に言い訳をしながら、利央の内腿に手を這わせた。
その手を行ったり来たりさせる。
利央が鼻にかかった声を出しながら身をよじった。
うん。可愛い。
背中にキスをしてやる。
「んぁ……兄ちゃん、くすぐったいってば」
「あ?お前、背中弱かったっけ」
「違うよ、兄ちゃんの触り方がヤラシーんじゃん」
別に焦らした気はなかったが、勝手に焦れたらしい利央が、上半身を起き上がらせて俺にキスを仕掛けてきた。
ディープキスがしたいようだ。
頑張って俺の唇に舌を割り込ませようとするのが、可愛いくて、あと面白いので、わざと開けてやらない事にする。
息の続かなくなった利央がムッとしながら唇を離した。
目が潤んでいるのがまたそそられる。
「兄ちゃんって意地悪だよね」
これは機嫌を損ねてしまったかもしれない。
「でも意地悪されんの好きなんだろ。あと焦らされんのとか大好きじゃねーか」
「兄ちゃんのエッチ!」
思わず笑ってしまう。
今日に限っては、俺よりもお前の方がエロいぜ、気付けよバカ。
何もしようとしない俺を利央が不安気に見て、次第に顔を赤くさせた。
「……ごめんなさい。意地悪はちょっと嫌だけど、焦らされんのは、好きだから」
やめないで。
そう言って、利央は俺の手を、先ほどまで這わせていた内腿に運んだ。
ヤバい、今日コイツ何かあったんだろうか、本当可愛い。
内腿だけではなく足全体を擦ってやると、利央は眉を少ししかめて吐息を溢した。
身を捩ろうとする瞬間に手を離す。
すると、従順なというか、努力して出来るだけ身体を動かさないようにするので、そうしたらまた触れてやる。
「兄ちゃん……きもちー」
「ただ触ってるだけなのにか?」
利央があまりにも幸せそうなので、そう聞いてみる。
「なんか、昔から、兄ちゃんが優位にたってるって思うと、ぞくぞくすんだよね……うわ、オレって変態じゃん!」
真っ赤になったり真っ青になったり忙しいやつだな。
「利央、それは多分お前がMだからだ。まぁ、気にすんな」
「いやいや、ふつーに気にするからっ!」
何平然としてんの?と言いたげに、利央は俺を睨んだ。
まだ会話をしてたかったが、そろそろ俺が限界かもしれない。
利央と舌を絡ませる。
「利央、安心しろ。変態なお前とこういう事してる俺も変態だから気にすんな」
「……スイマセーン。余計に安心できませーん」
あははは!
やだもー、兄ちゃん面白いし、くすぐったいし!
だからぁ、くすぐったいって言ったばっかじゃん!
わざとでしょ、兄ちゃん聞いてんの?
ねえっ……
冷たっ!
ちょっと、冷たいんだけど!
手で暖めるとかしてから使ってよぉ、変態っ!
……変態、もうっあははは!
どうしよう、笑いがとまんない、兄ちゃんどうしよお!
ねえ、兄ちゃ――。
結局、無理矢理口を塞ぐまで、コイツはずっと笑い続けていた。
腹立つ。
癒されてはいるけど。
やっぱ腹立つ。
だけど可愛いから許す。
end
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