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君の声が聞こえた気がした



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寒い、寒い。ここは何処だろう?辺りは真っ白で、何も無くて、広くて、ここには俺以外誰もいない。まるで地平線がずっと続いているような場所を、俺は走り抜けた。怖い、怖い。誰もいなくて、ひとりぼっちで、寂しい。だから走った。でも走っても走っても景色は変わらなくて、それでも走った。すると後ろから何かが聞こえた気がした。振り向いたらそこには真田がいて、でも真田はこっちを見ていたけれど、泣いていた。静かに泣いていて、何も言わなかった。真田?俺が話かけた瞬間、がくんと落ちる様な感覚がした。真田の顔がゆらりと歪んで、どんどん離れていって、見えなくなっていった。手を伸ばしたけど届かなくて、辺りはどんどん真っ暗になって行く。真田、真田!置いて行かないで!叫んだけれどその言葉はゴポコポという音に変わって真田のもとに運ばれて行った。
あれ、違う。真田が俺を置いて行ってるんじゃなくて、俺が真田を置いて行ってるんだ。俺が、堕ちて行くんだ。水中の奥底に。嫌だ、真田、これ以上落ちたら上がれないよ。どうして、なんで、

「幸村」

あ、目を閉じると真田の声が聞こえる。暖かくて、安心する声。幸村、また声が聞こえて、今度は目を開けたらまたそこは真っ白な世界で、でもさっきとは違う、見覚えがある場所だった。そう、病院。ああなんだ、さっきのは夢だったのか。俺はなあんだと思って体を起こした。そこには真田がいて、不意に抱き締めたくなったから抱き締めた。なぜかいつも抵抗するはずの真田が抵抗しなくて不思議に思った。

「・・・夢に俺が出ていたのか?」

え、何で?そう言うとさっき寝言で俺の名前を呼んでいたなんて言われた。なんだそのベタな話は。しかも二回なんて付け足されたし。まあいいやなんて適当に答えてキスをして、また抱き締める。
今思うと、さっき真田が俺の名前を呼んでくれなかったら俺はもっともっと堕ちて行って、もう上がってこれなくなっていたのかもしれない。そう思うと自然に笑みが零れた。真田は俺に抱き締められていて俺の顔が見えないだろうけど、今の俺、凄く幸せそうな顔をしているよ。





無駄にこってる。泡に見えないなー

Cathy









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