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【リクエスト・過去作品サルベージ】
◆『空亡の箱庭』(読み切り) R-18

目蓋はもう出現しはじめて居るのに、エースは、頑なにソレを拒む
ひくつく額の三つ目を、ジットリと舐め上げてやりながら
下腹を撫で回し、中に仕込んだモノにも、更にジワジワと力を送ってやる
反発する力に内側を焼かれ、跳ね上がる身体は、ソレから逃れ様と必死に藻掻くが
無骨な鎖が、彼をその場に繋ぎ止めて放さない…

「うっうぁ…ああっ…」

パリパリと魔力の余波を放電しながら、苦し気に喘ぐエースを
振り乱れる赤い髪を見ながら、残酷な喜びに浸る自分が居る
見かけだけでも、何時もと違うからだろうか?プライドが高すぎる方だからか?
赤髪の方がこんな扱いを許すなんて、誰かの下で啼き喘ぐなんて有り得ないから

破壊衝動が極端に強すぎて、出現すればほぼ、暴走状態が常の彼にとって、
雌の様に組み敷かれ犯される事だけでも、屈辱以外の何ものでも無いから
ましてや…内側に異物を仕込まれて、嬲られるなんて憤死に値する事だろうに

例え相手が、吾輩であったとしてもだ…

だが…どうやら完全に、魔格が交代しているワケでは無さそうだ
八割方赤く染まった髪が、黒いソレが境界でせめぎあっている
それに、肝心の額の三つ目は、まだ開眼しては居ない
黒い方のエースは、どうしても三つ目を解放したく無いのだろう
自分で制御出来ないソレを、極端に恐れているから

ならば…無理矢理にでも、解放してやろうではないか?でなければ意味が無い

今、吾輩が欲しいのは、押せば聞き分けの良く、理性的な黒髪の方ではないから
荒れ狂う三つ目の方だから、ソコにエースの意思を尊重してやる気にはならない

だが…こうやって黒髪の方を嬲るのも悪くは無いモノだな

火炎系悪魔の中でも最強クラスで、更に邪眼まであるエースの力を
押さえ込めるモノは魔界でも限られて居る、恐らくは陛下と吾輩くらいだろう
術式の力を借りればゼノンも、ある程度は出来るかもしれないが…

そう…確かに外側からは鉄壁の守り、だが内側はどうかな?

表向きは、とりすました外面の方で、傲慢すぎる態度を取ろうが
何処の誰を口説こうが、別段何も感じたりはしないのだが
そんな絵に描いた様な【最悪の悪魔】が、仮面の下に隠し、しまい込んでいる
脆くて弱い部分を知っているのは、吾輩だけだろうと思うと、愉快でたまらない

愛情や独占欲の裏返しとは言え、我ながら歪んだ感情だとは思うが…

誰にも見られる事は無い、隔絶された空間とは言え
吾輩にただ一方的に嬲られるのは、辛いだろうに?苦しいだろうに?

生存本能から解放を求め、内側から暴れる別魔格を押さえ込むのも
とっくに限界では無いのか?何故無駄に抵抗する?楽にならない?
悔しくて仕方が無いだろうに? 本心は?

例え喧嘩の原因がお前だとしても、
ココまで【理不尽な扱い】を享受する必要は無い
無駄に意地を張らずに、さっさと赤い方と交代してしまえ…
そうすればマトモに抵抗する手段と、逃亡の機会くらいは簡単に手に入るだろうに

そんなに恐ろしいか? 三つ目が、吾輩を傷付けるかもしれない可能性が?

そんな愛魔のジレンマを知りながらも、やはり許してやる気にはならない
黒髪の方が、無駄に抵抗して頑張る程、吾輩を更に喜ばせている事に
気がつきはしないのだろうな…場合によっては赤髪の三つ目の方もか?

「辛いか?辛いなら、三つ目の方に早くなればいい」
「嫌だっ…断るっ…」

通常なら無駄に他者を怯えさせる、三白眼の迫力も今は皆無だな…
そんな切羽詰まった目で睨み付けられても、更に煽れている様にしか感じないのだが

まぁいい…時間はたっぷりある、その気のなるまでじっくりと待ってやるさ

※※※※※※※※※※※※※※

通常ならココには誰も入れない、入れる必要が無い上に【危険】だから

誰も居ない古城の奥、ささやかな浴室で、長風呂を楽しみながら
空間の主は、皇太子から譲られた本を、ゆっくり読んでいる
魔都の本宅で、こんな事をしようものなら…
主よりも口五月蠅い執事・侍従達に、「行儀が悪い」と小言を言われる所だが
ココは彼しか入る事が出来ない、閉じられた空間の為、好き放題と言った所か?

ソコは見渡す限りの雲海の上に、ぽつんと一つ浮かぶ【飛島】の上
限られたスペースの上には、まるで岩を彫り込んで細工したかの様に
島と同化したような?小さな城がひっそりと建っている
その上の空は真っ青で、雲一つ無いどころか、何も無い
城には多少の緑は、生い茂っては居るのだが…何かが奇妙だ

そう…この空間には動くモノが、音を発するモノが何も存在しないから

見た目はソレらしく繕われ、過ごしやすい気候・温度条件で、固定はされてはいるが
風の音すらしないその空間は、全ては主であるデーモンが作り出した作りモノ
完全に外界とは隔絶された、閉じられた世界、【箱庭】の様な空間だ

危険な言霊を操る修練も、禁じられた唄を口ずさむ事も出来る【結界空間】でもある

【風伯】 風のフィラメントを持つ悪魔は、鎌鼬の様な、物理的な攻撃波のよりも
魔力の発動の源に、自身の声と呼吸或いは、歌声を用いる事の方が多い
大気の力を駆使する属性故に、些細な事でも、周囲への影響が強すぎるからだ
魔力が強い程に、通常は「力」を極限まで絞っている
空気振動と言う形で、相手に余計な魔力波動が伝わらない様に

ココはその扱いの難しい力を、解放する為だけの空間で
【風伯】であれば、大なり小なり同じ様な空間を持つ
故にその空間の主しか存在しない…

所有者が相手を一方的に、招き入れたりしない限りは…

最初は、あまり目を通した事の無いジャンルの本に、戸惑いしか感じず、
ずっとココの書斎の本棚で、埃をかぶっていたモノだが
まさか応用する日が来るとは、思ってなかった

だが…読み込んでみれば、なかなか面白かったかもしれない

とりあえず一冊を読み切ってしまうと、ようやく浴槽から出る気になる
今日は何時もの様に、一名でココに来ているワケじゃないから
せっかく招待した客を、待たせすぎるのも、非礼に当たるだろうから…

バスタオルで身体を拭きながら、上の階のサンルームに向かう、
サロンも兼ねたソコは、多少の破壊振動・波動にも耐えられる様に
堅固な作りになっており、防音も勿論完璧だ、思い切り声を出しても大丈夫な様に

きっと今の客にとっても、都合の良い場所だろう?

思わず漏れる凶悪な笑みが、廊下の鏡に写り、自分でも驚いた程だ
悪魔であるならば、この手の感情は、極当たり前のモノだが
自分はどちらかと言えば…コチラの衝動には淡泊だったはずなのだがな

螺旋階段を上り目的の部屋に近づくと、小さな声が聞こえてくる
やれやれ…まだ時間が早かったのだろうか?

※※※※※※※※※※※※※※

情けない話だが、一体ココが何処なのか?検討がつかない
手持ちの通信機は、全て役にたたない所を見れば、完全なる異空間か?
薄気味悪い程に、真っ青に晴れ渡った空を見上げながら
何とか光が届かない、物陰に逃れ様と藻掻く自分は、酷く滑稽なのだろう

大きな天窓の開放口のある、広いサロンには
入口部分の床面から二段三段下がった、スキップフロアが広がる
絨毯が敷き詰められ、大きめのクッションの置かれたソコは
通常なら主の専用の「くつろぎスペース」と言った所なのだろうが

今の自分には…到底その様には感じられない

段差に穿たれた、アンカーから伸びる錆びついた鎖が
彼を獣の様に、ソコに繋ぎ止めているから、

後ろに回された手首を固定している、古い金属製の枷もまた
赤錆だらけだと言うのに…どういうワケか、引き千切る事が出来ない

移送転移で、強引にココに連れてこられて、有無を言わさずソレを着けられても
黙って好きな様にさせたのは、愛魔の機嫌が直ってくれるなら…そう思えばこそ
遊びの範囲であれば、屈辱的な扱いも、耐えるつもりではいたのだが

時間の経過と共に、ソレが見込み違いであったと後悔する

理由は解らない…だが徐々に魔力と体力を消耗しはじめている
次第に重くなってゆく鎖と、妙に明るすぎる光が不自然に息苦しい
このままココに居ては不味いと、生存本能が告げているのだが
最早自分の身体を支える事も叶わず、その場に倒れ込んでいた

遮るモノの無い明るすぎる光…ただソレだけでも、
闇の生き物は、言いようの無い不安感を煽られるが、それだけじゃない、
何故かココの光は不自然で、天界のソレとも違う【何か】がある様に感じる
ジワジワと真綿で頸を絞められる様に、消耗しているのは…気のせいではない

「苦しそうだな…エース」

朦朧とする視界で上を見上げれば、湯上がりの愛魔がヒタヒタと降りてくる

「デーモン…」 コレは…この光は何なのか?ココは一体何処なのか?

そう訪ねようとする前に、小さな手が俺の髪を掴み、覗き込んで来る

「なんだ…まだ黒髪のままか…構う事は無い、赤い方になるがいい三つ目の方に」
「正気か?何を馬鹿な事をっ………」
「ああ…吾輩は至って正気だぞ…この空間なら、赤髪が暴れても何の問題も無い」

でなければ…このままジワジワと消耗するダケだぞ
光も闇も関係無く、全てを無効化する【空亡の光】で…
それが嫌なら赤髪の方になれ、三つ目の方なら抵抗出来るかもしれないだろう?

これが噂にに聴く【空亡】か?体感するのは勿論初めてだが
風伯が、自らの力と声を相殺して外に漏らさない為に、
絶対空間の中に仕込む特殊能力

デーモンのソレなら他魔どころか、俺の存在まで脅かす程に、強力でも納得はいくが
ソレを他者に向けた事は、俺が知る限り無い…そこまで怒っていたのか?お前?
嬉しげにギラギラと光る紫の目には、解りやすい狂気の色が宿っている

「その提案は、受け入れられない………」 

無意味な【三つ目】の解放など、絶対にしたくない
自己制御出来ないアレを、こんな消耗状態と環境で解放したら
反動でどんな事になるか?全く予想がつかない…俺自身にも
最悪目の前のこの男を、危険に晒す事になると言うのに…
相手はそんな事はどうでもいい、と言わんばかりにせせら笑う

「ならば…無理にでもなってもらおうか?」 

手伝ってやろう、その気になりやすい様に…

強すぎる光に照らされ、床に伸びるデーモンの影が不自然に揺らめく
初めて愛魔の影が自分のソレよりも、深い黒である事に気がつく
ザワリ…いいしれない圧迫感と、悪寒が背筋を駆け抜けるのと同時に
影の輪郭が崩れ、粘質を持った水の様に床に広がる…

ごぽごぽと音をたて、その漆黒の闇から、立ち上がるのは蛇の様な触手?いや無数の腕?
ぽたぽたと黒い滴をしたたらせながら、鎌首を上げるソレに思わず身を固くする

「まさか…そんなモノで?」

何をされても構わないが、せめてお前の手でシてくれよ
不安気な目は明らかにそう訴えてくるが、その表情がまた悪く無いのだ

「ああ…そのまさかだが?コレも吾輩の一部だからな」

紫の瞳が一瞬揺らめくと、一斉に掴みかかってくる漆黒の濁流
繋ぎ止められ逃げられない獲物に、有無を言わさずに絡みつき飲み込む、
ありとあらゆる衣服の隙間から、何かが入り込んでくる
初めて感じる湿り気を帯びたその感触に、不快感と恐怖心しか沸かず
何とか逃れようと身じろぎするが…最早どうにもならない

「んっんぐっ…んっんっーーっ」

何かを言おうとした口に、黒い塊が押し入り、中を蹂躙する
身体の上を無数の手が這い回る、弱い部分と性感帯を確実に捕らえて
着乱れた服は引き裂かれ、あらわになった肌の上を
ねっとりとした何かに、同時に撫で上げられ、嬲られれ続ければ
不快と思っていた粘質系の触感は、徐々に快楽にシフトチェンジしてしまう
嫌でも身体は熱を帯び、漏れてくるのは湿った吐息とあえぎ声
こんなやり方で感じたくないと、首を振り乱しながら否定しても
下着の中にまで侵入してきたソレに、前を弄ばれば大きく跳ね上がり
ズボンを下ろされてしまえば、後ろにも…細長い何かが、チロチロと当たる
固く閉ざされたソコを、ゆるゆると揉みほぐし、刺激しているのが解る

直接犯され、嬲られるならともかく、こんな扱いはごめんだ

触るなっ…と言わんばかりに、何時までも無駄な抵抗を繰り返し
快楽に身を委ねようとしない虜に、苛立ちを感じたのか?
それまでは、優しくソコを撫で上げていたモノは、それらしい形に変化すると
まだ溶け切らないソコに、一気に大きすぎるモノがねじ込まれた

「んっんっんぐっ」

激痛と圧迫感に、鋭い悲鳴が上がる、おそらく切れたのだろうな
傷ついた狭い内壁を、尚も抉られるその感覚に、嗚咽し痙攣する様を見ても
何時もの様な相手への気配りは…今は感じる事が出来ない
寧ろもっとよがり狂えとばかり、更に追い込み嬲りたくて仕方がない

泣き顔を意地でも見せたくないのか?下を向いたままのエースの下に、
溢れ出す涙が、汗と一緒にポタポタと床に落ちる…

それにまたゾクリと嗜虐心を煽られてしまう…

「痛いか?可哀想に、でも素直じゃないお前が悪いのだからな」

そう言って無残に蹂躙される愛魔を見下ろし、金の悪魔はうっとりとした笑みを零すだけ
少し離れた一段高い段差から、その苦渋に満ちた痴態を眺めるだけで、
分身による間接的な責めは、少しも緩めてはやらない、手加減するつもりもない

痛みと恐怖に収縮し全身で拒むソコをこじ開け、更に身体を揺さぶり嬲り続ける
そのまま奥を強く抉られても、抵抗出来ずに、泣き喚く声を楽しみながら、
ゆっくり優しく囁いてやる、自らは指一本触れてやらない無慈悲な状態で

「辛いのだろ?ならば早く赤髪の方になればいい…」

それでも…その答えは? 髪は少しも赤くはならず、悲痛な悲鳴だけが響き渡る

※※ ※※※※※※※※※※※※

「お前も…思っていたより、頑固でしぶといモノだな」

意識を飛ばされても味気ない…少し休ませてやるつもりで、触影の一部を解除してやれば
支えを失った長身は、力なくその場に崩れ落ちてゆく
このまま許してやるのも…お互いに引っ込みがつかないな、さてどうしたモノだろうか?
そう思案している最中に、背中を丸めて震える相手から、弱々しい声の悪態が返ってくる

「コレでお前の気が済むなら…好きにしろ…」

少々乱暴に扱われた所で、簡単に壊れたりはしないから
こんな閉じられた場所で、三つ目に暴走状態なってしまうくらいなら…
自分が傷ついた方が、遙かにマシだから とでも考えているのだろうおそらく

やれやれ…どうして…ただ一言、素直に謝れないのか?片意地を張るのか?
そのクセに、必ず自己犠牲的な態度を取る、その思考にカチン来ている事に
何故この男は気がつかないのだろう?いや気がつかないフリをしているのか?

「ただ吾輩のヒステリーが収まれば、嵐が過ぎるまで、自分が我慢すればいい…
根本的には何も変えたく無い、そういう態度が、気に入らんと言っておるのだ…」

お前らしい言い方をすれば、手こずった方が楽しい…と言う所か?
ならば…その強情が、何処まで持つか試してやらないとな…
ただ無茶苦茶にしてやりたかった…泣き喚いて、減らず口など叩けない程に

正真正銘、今この場では吾輩の事しか考えられない様に
そして黒髪の方では無く、よりプライドの高く高慢な赤い方なら尚いい…

多淫を尊ぶ悪魔らしくない考え方だが、せめて【朔夜】くらいは
自分だけの事を考えて欲しかった…等と苛立つのは、きっと理不尽な思考なのだろうな…
そう頭で解っていても、売り言葉に買い言葉で、行為を中断する事が出来ないとは、
我ながらオトナゲナイとは感じては居るのだが…

不意に立ち上がったデーモンが、スッと片手を上に翳すと
何処からともなく、小さな水晶玉が9つ、空間に集まってくる
衛星の様に弧を描き、その周りを緩やかに旋回しはじめる

「ココにはな…元々何も無かったのだ」

この岩城と空だけで…それでは長時間滞在するには、味気ないと考えてな…
とある水妖の将軍に頼んで、水の力を少しだけ分けてもらったのだ、
おかげで水を引く事も、数は限られているが、緑を育てる事も出来る
お前がココを、結界空間と気がつかない程度にはな…

主にまとわりつくソレを、手にとって光に翳せば、中にはさざ波が見える
それぞれの中に独立した世界があり、水の力が簡易的に閉じ込められている様だ

「ほら…見えるか?綺麗だろ?」

代償と引き替えに、譲渡された力は、ほんの少しだが
この空間の中なら…無限に増幅出来る、吾輩の思った通りにな…うっとりとした目でそう呟くと、

その次には、見たことも無い様な凶悪な笑みを零す

ゾクリとする視線に、次の展開を理解したエースは
なりふり構わず、その場から逃れ様と藻掻くが、無機質な金属温が鳴り響くだけ
まとわりつく無数の影に、再び乱暴に床に押し倒され、押さえこまれると
必死に閉じようとする膝の間に、小柄な身体がするりと入り込んでくる
少し遅れて両脚にも絡みつく影が、更にソレを強引に開く

「嫌だっ…やめ……」

抗議の声は上げられない、舌を噛まない様にする、配慮だとでも言うのか?
伸びてきた影に、がっちりと口を押さえ込まれてしまう

「さて…何個まで入るか楽しみだな」

目の前でピンポン玉程の大きさのソレを、チロチロと舐め回しながら
無遠慮な指が、陵辱の痕の残る弱い部分を撫で回し、中をかき回してくる
指先が的確に良い所を弄っている為、身体は浅ましく反応するが
恐怖感の方が勝ってしまうのは当たり前、これから降りかかる苦痛を考えれば

嫌だ…そうじゃなくても傷ついているその場所に、そんなモノを入れるな

反発する水妖の力の結晶を、無防備な内側に入れられて、無事に済むとは到底思えない
全身から汗が噴き出し、ガタガタと震えて首を振るが
紫の瞳は楽しげに、怯える俺を見下ろしている

「怖いか?ああ…いい表情だな、普段のお前からは、誰も想像も出来ないな」

申し訳程度に潤滑剤は塗られているモノの、
質量とひんやりとした冷たさに、悪寒が恐怖心が駆け上がる

「ーーーーッ」
「まずは一つ目、ほら、楽に入るじゃないか…」

見開かれた目尻からあふれ出す涙、飲み込みきれない絶叫
外にまで漏れ出す魔力の反発が、バチバチと火花を散らす
苦痛と痛みにのたうつ身体を押さえ込まれ、更にしっかりと奥に押し込まれる
火炎系悪魔にとっては、凍える様に冷たいソレが、内側から力を奪ってゆく、
鈍痛が下腹をかき回し、魔力の根幹をジワジワと浸食される

「強情を張らずに、言う事をきけ…そうしたら許してやろう…」

今度は優しく頬を撫で回し、金色の悪魔が涼やかな声でそう囁くが
それでもエースは、首を縦にはふらない 震えながらも、ただ目を閉じ歯を食いしばる
確かに髪の根元は赤くはなっているが、黒い方が尚も暴走を押しとどめている様だ

「やれやれ…ならば仕方がないな…」

小さな手が、旋回する二つ目の水晶玉にをつかみ取る
絶望を宿した目が、震えながら相手を見上げるが、金色の悪魔はただニタリと笑う

少しの間を置いて、二度目の悲鳴が空間に響いた

※※※※※※※※※※※※※※

「ふっ…んっんんっ」

中が熱い…熱くてたまらない… 流石に九つ全部は、押し込められなかったものの
三つ目のソレを入れられた時点で、既に気力も体力も限界だ
いっその事、気持良く気絶出来ればどんなに楽か、心の底からそう思ったが

駄目だ…今意識が飛んでしまえば、アイツが出てくる

赤く染まった自分の髪が視界に入り、額に違和感を感じる程に現実に縋り付く
「交代しろ」と荒れ狂うソレを、解放するワケにはいかない

いくら嬲っても、ただ与えられる苦痛を、やり過ごそうと耐える俺に
流石に業を煮やしたのだろうか? 様子をうかがうばかりだった相手は
もう少しの力の入らない脚を押し広げると、ゆっくりと中に入ってくる、
何時もより、若干いきり立っている様に感じるのは、多分気のせいじゃない…
内側に仕込まれたモノと、ソレの質量を受け止め、ぎちぎちと腹の中が軋む
狂ったやり方に快楽なんて、有りはしないのだが

それでも…何処かに喜んでいる自分が居る 生身の温かさを
やっと直接触ってもらえた事に、抱きしめてもらえた事に

「くっ…あっああっ…」

腹の中を移動するソレに、内側を焼かれながらも、腰を振る事を強要されるのは
快楽には程遠く、ただ苦しく…辛い…もう止めて、許して欲しいはずなのに
身体は待ちわびた様に、相手のソレを受け入れてしまう
きちんと性感帯を刺激されれば、勃ちあがる前は反応し、切なげな声が上がり始める

「触ってもらえて、そんなに嬉しいか?」

悲鳴混じりのあえぎ声が止まらない口元からは、明確な答えは返ってこない
お願いだから…もうイかせてくれと、譫言を繰り返し、擦り寄せてくる様も
殆ど苦痛しか無いはずなのに?ボロボロと泣きながらも、吾輩の腰に脚をからみつけ
放すまいと食らいついてくる身体も、浅ましくて、それ以上に愛おしくて…

喧嘩の原因はともかく、もういい加減許してやろうか?と言う気にもなるのだが…
滅多に見られない…その泣き顔がもう少し見たくて、更に強めに突き上げ追い込めば

もう許してくれと泣き喚く目とは裏腹に、振り乱れる髪はもう毛先まで真っ赤だ

黒髪の意識はどんどん弱くなり、三つ目の波動が急激に上がってくるのが解る…

「あああっあああっーーー」

反転する魔力のうねりが、臨界点を超えて、弾け飛んだようだ
逆巻く赤髪の深紅が燃え上がり、より深い色に変化するのは一瞬の事だ

内側に仕込んだモノが、一瞬で液化して力を相殺したのが解る
古びた鎖を引き千切られる音と同時に、苦悶に歪む眉間の間から
三つ目の目がボコリと体外に出現すると、ギョロリとコチラを目視する

反射的に繰り出される、衝撃波を正面からマトモに受けて、軽く弾き飛ばされるが、
影に受け止めてもらえば、何と言う事はない…この展開は予想の範囲だ

体勢を立て直して相手を見れば、エースを中心に炎が渦を巻いている
彼に絡みつき、動きを押さえ込んでいた方の影は…焼き尽くされてしまった様だな
その残骸は崩れ、乾いた土塊の様にボロボロと足下に落ちてゆく…

ギラギラと光る三つ目と双眸が、ギンとコチラを睨みつけるが
緊迫した修羅場でも、ソレが何時になく綺麗に見えるのが不思議だ

「中途半端に、俺を呼び出して楽しいのか?」

ワントーン低くなった声は怒気を含み、一瞬で間合いを詰めると、
自由になった手が、ガシリと吾輩の喉元を掴む
お返しとばかり、手荒に床に組み伏せるが、怯む事は無い…
魔力が反転しても、軋む身体の痛みは、癒えきっていないのだろう…今回は
狂気を装うその顔は、隠しきれない苦痛に歪んでいるのが解る
通常の暴走状態よりも、いや普段よりもか?数段弱いその握力に薄く笑うと、
その手を取り優しく口づけしてやる、無理に強がる必要は無いと

力が暴走状態の三つ目とはいっても、内側に水妖の力を吐き出されては
そう簡単に回復するワケにはいかない様だな…既にそこまで消耗している
つまりは…生命維持ギリギリまで、黒髪の方が我慢していたと言う事だろう

そう思えばこそ、急速に収まってしまうのは、吾輩の「嫉妬」に近い怒りの方だ

「ああ…楽しいとも、流石にそんな顔を見られるのは吾輩だけだからな…」

黒髪の方も三つ目の方も…こちらの気持も知らずに
自己都合な悪態ばかりつく態度には、度々カチンと来るが

減らず口とは裏腹に、身体だけでも素直な時は、愛おしくてたまらないからな

無理矢理にでも、赤髪の三つ目の暴走状態にした上で、力で押さえ込み
更に手酷く犯して、泣き喚くまで嬲ってやろうと思っていたが
想像以上に強情だった黒髪の方のおかげで、目的の半分は消化してしまった…

相手が吾輩でなければ、とつくの昔に暴走状態になるクセに
何故ソコまで無駄に頑張るのか?先に怒りの根幹が収まってしまった様だ

「どうした?ヤりたければ、ヤっても構わないぞ」

その憔悴しきった身体で、吾輩を満足させられるならばな
挑発的に笑う金色の愛魔に、紅蓮の悪魔は盛大なため息をつく

「馬鹿が何時までも交代しないから、もうそんな体力なんざ残ってねぇよ…
次回に倍返しの貸しにしといてやるから、その時は覚悟しておけ…」

そのこっぱずかしい捨て台詞と一緒に…熨を付けて返してやる
等と言いながらも、噛みつく様なキスが降りてくる
何時もの巧みなソレではなく、食い千切られそうな獣のキスの方だ
だが…この乱暴なソレも嫌いでは無い、時には三つ目に手酷く抱かれるのも

黒髪の方のエースは、三つ目の自分を、極端に恐れ毛嫌いしているようだが
吾輩にとっては、どちらもエースには違い無いのだがな

姿は完全に暴走モードのソレだが、破壊衝動の方は発動していないのか?
暴れ出す様子は無さそうだな…消耗の激しさ故なのか?
【空亡】の効力も解除すると、視界に白く焼き付いてしまう程の、光は一瞬で消え失せる
代わりに天窓の向こう側には、澄んだ夜空が何処までも広がっている

ぱちぱちとソレを見上げる、エースの下から這い出すと
下の階の簡易キッチンに、飲み物を取りに行く
グラスとワインを用意して、再び最上階のフロアに戻ってくれば
赤髪で三つ目のままのエースが、まだじっと星空を見上げていた
荒れ狂う彼しか知らない吾輩にとっては、その静かな情景が妙に新鮮で
声を掛けるのを一瞬ためらうのだが、ぽつりと向こうの方が呟いてくる

「コレもお前が作ったのか?実物とはかなり配置が違う様だが…」

確かに実際の星空を参考に作った、ただコピーするのは味気なく、
お気に入りの星を同時に眺められる様に、自分好みに配置しなおして
どうせ見るのは自分だけだ、仮に誰かを招き入れた所で
そんな細かい所にまで、気が向く奴なんて居ないだろうと思っていたが
よりによって【三つ目】がソレに気がつくとは、意外と言うか?何と言うか?

黒髪の方は絶対に認めないだろうが、コチラのエースも間違い無くエースだな
そう思うと、何やら可笑しくてたまらず、吾輩はその横にそっと腰を下ろした

「魔界最悪の破壊者が、随分と情緒的だな…お前に星を見る余裕が、あるとは思わなかったが」
「中途半端な作りモノをする方が問題だろうに、洞察力と言ってもらいたいモノだな」

自分で浪波と注いだ酒を飲み下しながら、顔をしかめるのも当たり前か
あれだけ泣き叫んだのだがら、喉も酷く炎症しているだろうに

そっと首に手を回して、その唇にもう一度自分のソレを重ねると、
相手が拒む前に、強めの治癒魔法を流しこむ カッとなったとは言え、
多少は無茶をしすぎた事にも、罪悪感はあるから

「黒と違って俺はソッチも使えるから、問題無いからよせよ…」

大きな手が、やんわりと吾輩の胸元を押して引きはがす
昂ぶってさえいなければ…案外理性的なのかもしれない?黒髪の方のよりも?
付き合いが長くとも知らない事もあるものだと、探る様に見てしまうのだが
ソレが気恥ずかしいのか、視線を合わせようとしないのが、何だか可愛らしくもある

「まぁ…何だな…確かに今回は、中途半端に悪ぶったアイツが悪いのだろうが
あまり虐めてくれるな黒の方は…アレはアレでナイーブなんだからな」

「お前の方がしおらしいと気味が悪いな、それに黒の方が苦手では無いのか?」

「別魔格でもアレは俺の主格だからな、適度にからかうと面白くはあるがな
今日の所は子守歌無しで引っ込んでやるから、ちゃんと後のフォローしておけよ」

そう言い捨てると、考えられない程あっけなく【三つ目】が消失してしまう
逃げたな…コレは完全に… 結局アイツは狂気の化身では無いのか?
まぁ暴れ回りもせず、破壊衝動無しの三つ目に、今後出会う機会が無い限り
確認のしようが無いのだが…まぁコレは黒髪の方には言わない方が良いのだろうか?

深紅に染まった髪が元に戻ると、後には完全に堕ちてしまっている
黒髪の方のエースが、腕の中に倒れこんでくる
三つ目になった反動で、外傷の方は、かなり癒えてはいるようだが
先程の様子を見れば…内側は完全ではないのだろう、
手酷く嬲った場所から順番に、治癒魔法を照射してやると、
意識は無いまでも小さく身じろぎ、腰に回った腕が縋り付いてくる

酷い目に遭わせたのも、その傷を負わせたのもまた、吾輩だと言うのに…

だが無防備にな横顔を眺めながら、このまま目が覚めた時
相手がどんな反応をするのか?考えるのも悪くはない

「さて…どうしたものかな」

【空亡】の発動を押さえておけば、箱庭の内部でもこれ以上消耗しないだろうし
何時もなら、抱きしめられる側が多い自分が、こうやって抱きしめてやるのも
たまにはいいじゃないか、きちんと目が覚めるまで

どうせココには誰も来られない、邪魔は入らないのだから…




end


更新が遅れまくってすみません、新年度なので色々大変で(-_-;)

ブチ切れ閣下を書こうとしたら、何だかおかしなテンションになってしまった
自分の心理状態が少々微妙〜なせいもあるんのかもしれませんが

何か自分でも煮えきれていない感じが…
せっかくのリクなのに応えきれてないかもで…ちょっと申し訳ないです

A×Dは、ワリと楽にぽんぽん浮かぶのですが
逆はまだ修行が足りないかな?ふえ〜ん

次回はもう少し上手く書けるといいなぁ(T_T)(T_T)(T_T)

精進して、もっと頑張るです〜(ToT)(ToT)(ToT)



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