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【位相空間】
堕天 7 黒の熾天使

「それでは殿下は、コチラに…」

操作盤の上に現れたのは、ルーン文字が刻まれた水晶玉
その前に皇太子を導くと、両手をソレに宛がわせた上に
背後から伸ばされたゼノンの手が重なる

「両腕・両足・背中までの封印なら…恐らく僕にも解除は可能ですが
肝心の頭部と心理記憶操作に関わるソレが…鬼族の僕の目には見えない
その先は殿下にお願い致します…熾天使の血を持つ目にしか映らないハズなので」

背後から極至近距離で囁かれる指示に、ダミアンは無言で頷く

「第一拘束術式・解除…まずは左腕から開始します」

仄かに光る水晶玉に連動して、魔法陣も鈍い光りを放ちはじめる
両腕と両足巻き付いた呪に、ピキピキとヒビが入りはじめる
割れた卵の殻の様にソレが肌から剥離すると、液体の中をゆっくりと落ち沈殿する

その様をジェイルは不思議そうに見つめている
術式の解呪を見るのは、おそらく初めてなのであろう

混血種の本来の姿?生まれ落ちた時はどんな姿をしていたのか?
自身には暫く手を貸せる事も無いであろうと踏んだエースは、
ゆっくりと煙草に火をつける 局員が一瞬だけその行為に顔をしかめるが
相手が相手故か…見ないフリを決め込んだ様だ

「おい…ゼノン、医務室の処置は終わらせてきたぜっ おっとっ」

ドカドカと部屋に入ろうとしたゾッドは、慌てて静かに扉を閉めた
皇太子を巻き込んだ、ゼノンの術式の様子をチロリと見て
こっそり苦笑いを零した事には、カプセルに注目する誰も気づいてはいなかった様だ

※※※※※※※※※※※※※※※

「第四拘束術式の解除…終了」

順調に呪は剥がれ落ちてはいくのだが、それ以上の変化は見られない
最初は興味深そうに見ていたジェイルだが、疲れも出たのだろう
気がつけば長椅子の上で、ぐにゃりと寝入っている

エースはその隣で、何本目かの煙草をふかしながら
すぐ側で腕を組んで佇んでいるゾッドに声をかける

「なぁ…今回はやけに時間が掛かってないか?」
「まぁ仕方無いだろう?ちょっと複雑な呪なのは俺にでも解るぞ
問題はあの額についているアレだろ?アレはちょっと厄介だぞ…」
「お前そんな事まで解るのか?」
「まぁ…何だかんだ言ってゼノンとの付き合いは長いし…
それよりエース、一応ココは医務室だぜ煙草はどうかと思うがな?」

都合良く聞こえないフリをしていやがるな、このヘビースモーカーめ…
本当は術者が二名だから時間が掛かっている、その事は黙っておこう

「第五・第六術式…殿下この先はお任せしますよ…」

そう言ってゼノンは、そっとその場を離れる、離れられたモノの
この先の解呪の方法など、一般的なモノしか思い浮かばないのだが
熾天使だけに見えると言っても…何世代前の話だ
天使としての能力・記憶が、自分に残って居るとは思えないのだが

「白き盲目の羊の王…」

不意に浮かんだのは、この子の脇腹に刻まれていた言葉
信仰の深さと同時に…その者が持つ世界の狭さを揶揄する言葉
羊の王…生贄の羊………アンシェルの山羊?

小さな声で囁かれるその呪は、悪魔の耳には届かない
パリンツ 最期に残った額の封印に亀裂が走る

「最終制御隔壁が、解除されました」

局員の機械的な報告と同時に、全ての計器が瞬間的に振り切れる
急激に解放された魔力の波動が、衝撃波として円形に広がる
さながら縦揺れの地震のように、更に室温が急速に下がってゆく

「何?何が起こってるの?」

衝撃で椅子からずり落ちたジェイルが、寝ぼけ眼で辺りを見回す

「こっちに来てみろ、ジェイル…」

ゴボゴボと泡立つカプセルの前で、背を向けたままエースが囁く

「眠り姫が目を覚ますぞ」

※※※※※※※※※※※※※※

何?体中が痛いっ まどろみを貪っていた少年は
急に現実に引き摺り戻される

痛い痛い痛い…身体の内側から何かがせり上がってくる

少年が痙攣し身もだえする度に羊水内部に広がるのは、鮮血の紅い糸
特に頭部両サイドからのソレは著しく、エースは慌てて局員に詰め寄る

「おいっ出血してるぞ、このまま続けて大丈夫なのか?」

治療中の傷も完全に塞がってはいないのに、これ以上傷を創ってどうする

「長期間使用されなかった【翼肢格納孔】の癒着が解消される出血です」
「殆どが排血と推測されます 実験体本体には影響はございません」

羊水の中故に広範囲に広がり、実際の出血より派手に見えるだけ
頭では解ってはいるのだが…傷ついた身体にこれ以上血を流させたくない
ダミアンもそれは同じなのだろう、青ざめた表情でカプセルを見上げる

「ゼノン…せめて身体の傷が完治してからの転魔では駄目なのか?
このまま時間を凍結すれば…それも可能じゃないか」

「大丈夫…重傷だからこそ、早めに元の姿に戻しましょう
カプセル治療でもこの傷では一月は掛かる…
彼本来の治癒能力もフルに使ってもらう必要があるのですよ
肉体の再生には有効でも、長期間のカプセル使用は
脳神経の後退を招く恐れがありますからね
でも想定よりちょっと出血量が多いみたいだね…輸血準備と鎮痛剤の投与の用意を」

メーターを眺めるゼノンが、局員達に指示を出す 対応はあくまでも淡々としている

「ベラドンナ投薬用意出来ています・合成血液タイプθ待機準備完了です」
「羊水の強制濾過開始しました・視界透明度確保します」

ジワジワと滲み出る血が止まらない
ブチリブチリと身体の奥で何かが千切れ、押し出される痛み

「あああっーーーッ」

来る…何かが…細い身体が大きく身悶える

ゴポリッ

カプセル内部いっぱいに広がる深い紫色…紫紺の羽毛が溢れ出る
背中から突き破る様に伸びた6枚の飛翼が広がると
続いて両手首、踝からもやや小振りの同じ色の翼が捲れあがる
出血が酷い状態に見えた、両サイドの耳の上からもまた、
一対の翼がメキメキと音を立てて出現する

「なっ………」
「すっげー派手派手で格好いい〜」

これだけの質量が、どうやってこの小さな身体に詰まっていたのか?
目を疑いたくなる程の12枚の翼…
その内側のそれぞれの付け根には、天使には無いハズの海龍の鱗が光る

いやそれ以上に…この水妖特有の冷たい波動・強大すぎる威圧感は…
ビリビリと上がる魔力の波動は、間違いなく目の前の少年のモノだ
少なくとも…力の強さは自分と同じ高位悪魔のソレと同等レベル

これが…つい数時間前まで、ただ腕の中で泣き喚いていた、
あの下級天使と同じ個体から発生しているとは到底思えない

「やはり…母体の天使は熾天使クラスか…」

しかし変化はそれだけでは終わらなかった
見た目通りに肉体の急激な成長・変化には痛みが伴うのか
深い苦悶の表情で瞑られていた目が、ギンと見開かれると
明るいブルーだった瞳も濃い紫色に変色
僅かに張り付き額に残っていた封印が、弾ける様に完全に崩れ落ちる

すると…全ての翼とブロンドの髪が、根本から漆黒に染まりはじめる
白く変容した顔には、魔族と同じ青い紋様が浮かび上がる

「識別コード魔族100%…属性変化完了です…」
「まぁ事前にアレだけ魔族の血と精を受けていれば…
解呪とともに転魔するのもしごく当然だね」

ゆるやかに出血が治まったのか?
羊水の濾過機能が処理に追いつき、視界の透明度が上がってゆく
各種メーターの数値も安定値に戻る様子を見ながら
ゼノンは小さく安堵の溜息をつく

「黒い熾天使…」

いかにも【混血種】らしいその変化は、禍々しくも美しい
再び胎児のような姿勢で眠りはじめるソレは
近い様で…恐らくかけ離れた存在、ダミアンは食い入る様に見つめる

「レアケースではあるけれど、綺麗な最終形になりましたね」
「こんな珍しい【実験体】に出会えるとは我々も運がいい」

悪気は全く無いのだろうが…どうもココの職員の言い方にはトゲがある

「ゼノン…せめて【実験体】と呼ぶのは止めておくれ」

幾ら属性変化が完了したとは言え、まだまだ状態は不安定な上
例の【翼手】の後遺症や残留組織の有無とその安全性を考えれば
このまま王宮に引き取る事はおろか、この研究ラボからも出せない
暫くはココに預けなければ成らない…それは解っているのだが
【実験体】はいくらなんでも…と思うのは一般的な意見ではないのだろうか?

「では新たな呼名を…天界の名前のままでは具合が悪い」

差し出されたカルテの登録名は、無記名のままだ
渡された万年筆をクルクルと回しながら、暫く考えたダミアンは
空欄にサラサラとこう書き込んだ

LUKE

殆ど元のまんまじゃないか、すかさず苦言を漏らすエースに皇太子は苦笑する

「ちょっとした天界への嫌味だよ」

※※※※※※※※※※※※※※

「嘘つきめ…」
「なにがさ」
「何の為の【エンジェル・アイズ】だよ…解呪なんて一名で出来るくせに」
「ああアレね…アフターケアの一部なんだから、いちいち気にするんじゃないよ」

二名だけになった研究室で、ニヤニヤと笑う師匠の横顔は…本当に悪そうで楽しそうだ

わざわざ皇太子を巻き込まなくても、あの程度の術式なら出来るハズなんだ
この角の生えた師匠は…てか術式に関して言えば出来ないモノなんて有るのか?
逆に知りたいくらいだ…

何しろ知識を貪る欲求とやらは…ハッキリ言えば異常者レベルだ

一部の関係者しか知らないが、ゼノンの左目は【バイオ義眼】だ
しかも熾天使の目玉を組み込んだ【特別製】だ

鬼族であるゼノンの目は、普通の悪魔には見渡せない深淵の奥を見る事が出来る
その反面?光側の書物や術式を読み解く事は難しいとされている
それが…多分我慢出来なかったのだろう?他魔の翻訳本などでは満足出来るワケがない
光側の書物・知識を直接読み研究する為…
タダそれだけの為に自らの左目を摘出・交換してしまった

くり抜いた左目は、万が一の時のスペアとして大切に保管されて居るとは言え…
下手すれば反発作用から、即座に腫瘍にすらなりかねない代物を
脳神経と繋いだ挙げ句、直接装着出来る根性もクレイジーすぎる
(微調整も欠かさないらしいので、そんなヘマはしないのだろうけど)

それ以前に、一体その目玉をどこから調達してるのか?
噂では最前線の戦場には、文化局の紋が入った防護服の一団が、
調査採集を名目に暗躍してると言うが…まさか?
など聴いてはいけない…聴く気にもなれない事項が多い…

だから…あの程度の術式が、一名で出来ないなんて事は有り得ない
何世代も前の【大魔王家の天使の血の記憶】なんか頼るより
自身でやった方がより【確実】で【安全】なはずなのだ

「前も言ったでしょ?僕は出歯亀は嫌いで、無駄な伸びしろが好きなんだよ」

今回の一件はあの若い皇子様にやらせてあげるのも気配りだよ…
後々拗ねるし落ち込むだろ?

「それに【解剖魔】の汚名は少しは返上しとかないと、
【興味深い個体】を隠されてなかなか回して貰えないでしょ?」

何でだろうね〜ちょこっと開いても、ちゃんと元通りに戻すのにね〜

いや【ちょこっと開く】とか言ってる内は間違いなく【解剖魔】だ
勝手に変なユニットを追加したりする事もある分【改造魔】でもあるだろうが?
げんなりとした顔でもう一度師匠の顔を見れば
実に機嫌は良さそうだ…今回は【貴重な実験体】が手に入って万々歳と言う所か?

「お前もつまらない口出しばかりしていると、要らない記憶情報を抜いてしまうよ」
「うへぇ冗談になってないぞソレ…クワバラクワバラ 俺は何も漏らす気はないって」
「うん…解ればよろしい」

そんな師弟の会話を部外者は知るよしもない…

※※※※※※※※※※※※※※

私がはっきり目が覚めたのはそれから3日もたった後だった

まだカプセルの中で、【転魔の完了】を告げられ
大型の鏡でその姿を見せられた時は、驚きはしたけれど…
国境沿いの泉を覗きこんだ時の様な、強いショックは受けなかった

新しい翼が生えてきた時、かなりの痛みを伴った為
断片的にだが、その瞬間の記憶はあった事もあるが…
何だろう…上手く言えないのだが、この姿がごく【あたり前】の様に感じた
むしろ今までの姿の方が間違っていた様な不思議な感覚に捕らわれる

私が完全に目を覚ましたと聞いて、あの金髪の悪魔・皇太子がやってきたらしい
以前はその姿を見ただけで、怖くて恐ろしくて仕方が無かったのに
何故かその恐怖心が湧かない、カプセルの内部会話用のインカムを伝わってくる言葉は
純粋に私の怪我を心配する言葉ばかりだ…どう反応すべきか困っていると、
さり気なく角の生えた悪魔ゼノンが、助け舟を出してくれる

「まだ彼はこの世界の事も…封印の事も知りませんから
此方で治療を受けてもらいながら、追々状況を説明しますよ」

皇太子が帰った後、ゼノンが丁寧に説明をしてくれるのだが…話が専門的すぎて解らない
色々な治療薬が入れられていて、まだ頭がボンヤリしているせいもあるけれど
キョトンとしている私を見かねてか?まだ若い巨漢の悪魔が進み出る

「具体的な説明は、僕に任せて頂けませんか?」

まだ学生で、正式な研究員では無いと言うその悪魔はシュウと名乗った
永く生きた大型の鮫から変異したと言う変異悪魔の彼は
悪魔としてはまだ若輩だが、砕けた口調で語りかけてくれるせいか?
学者肌の強い他の研究員達より親しみやすかった

専門的な知識が無い故に、すぐに話を中断・差し戻してしまう私の質問にも
根気よく付き合ってくれながら、私の置かれた立場と、
身体の状態を分かりやすく説明してくれた

それが縁で?結局カプセルを出た後の世話役も、彼がしてくれる事になるのだが
それは、急成長した翼の格納部と連結部分の全てが、熱を持ち腫れあがってしまい
暫く引っ込める事はおろか…満足に歩く事も出来なかったからだ

有翼種族の羽根には、物質的な重さが殆ど無いので
派手な見た目のワリには重量は変わらないのだが
腫れあがったソレの全てに差し障りの無い状態で、抱き上げてもらうには
彼くらいの大きな体格が必要だった…それだけなのだが

でも四六時中付き添ってくれる相手が、この悪魔だったのは有り難かった

まず本来の翼は今の翼であり、
前の翼は【翼手】と呼ばれる寄生生物であった事が、説明される

ソレは、何となくすぐに理解できた
今ある翼は、確実に私の骨格や筋肉と連結しているのが解る
前の翼は…もっと浅い部分から生えていた感覚があるからだ
以前から、時々原因不明の痙攣が起こったりもしていたのだが…
成長期にはよくある事と聞かされ、納得していたのだが
おそらく…【封印】の件も含めて上手く言いくるめられていたのだろう

【翼手】を引き抜いた時の傷の修復と同時に、その残留組織がまだ身体に残っていないか?
その組織が持つ毒性が、魔界に影響を与える事は無いか?
その他未知の病原体を持ち込んでいないか?バイオテロの可能性は無いか?
その検査の全てが終了しないと、私はこの研究ラボから出る事を許されないらしい

「転魔は完了してるから、後は【識別コード】さえ取得すれば、
悪魔としての権利は保証されているけど、
今は【原因不明の病気になった患者さん】と言う所かな?
危険性が無いと分かれば、すぐに退院出来るからね」

そう彼に言われると何故か安心出来た
話を根気よく聞いてくれる態度も勿論だが、自分とよく似た青色の紋がやはり決め手に?
「水妖系悪魔は、海も河も全て繋がっていると言う考え方からかな?
仲間意識と言うか、眷属思考がとても強いんだよ」と説明されれば…
確かにカプセルに居た頃も、実験動物でも見るような?嫌な目を向ける職員も居る反面
「ずっと壁ばかり見ているのも退屈でしょう?」と、綺麗な花を持ってきてくれたり
壁に自由に映像を見られる機器を取り付けてくれたりと
職務や研究目的以外の?細かい気配りをしてくれた職員には、
同じく青い紋のある悪魔や、水生生物のカタチを残した魔物が多かった様にも感じる

個室病棟に移された後は、シュウや他の悪魔がもってきてくれる
外の世界・魔界の情報を色々な映像や文書で吸収する日々が続いたが
ある日、「君にも見る権利がある」と、ゼノンから渡されたのは

自分の【転魔の瞬間】とあの治療室での【空白の時間】の映像資料

一応【翼手】の説明役として一緒にソレを見ていたシュウは
特に治療室の映像を見て、あんぐりと口を開けて硬直している

「可哀想に…可哀想過ぎるよルークちゃん
何?この酷すぎる扱い…これだから火炎系悪魔は…最悪だよこんなの」

デカい図体でも、悪魔でも案外純情なタイプだったらしく
俺自身よりショックが大きかったのか?見られた事で俺が傷ついたと勘違いすると
今すぐ記憶を局長に消して貰うと、走りだそうとする白衣を慌てて引っ張る

「天使が悪魔になる方法なんて、誰でも知っているんでしょ?
多かれ少なかれこんなモノでしょ?記憶を弄るなんて良くないよ…
そんな事でシュウちゃんの脳が傷つく方が、俺は哀しいよ」

シュウが事あるごとに、ルークちゃんルークちゃんと俺を呼ぶので
すっかり新しい名前も定着してしまった

【私】ではなく【俺】と言う一人称も…

ボロボロと泣いて、えずいているシュウを宥めてから
考え事がしたいから、暫く一名にしてくれる?と頼めば
シュウは素直に俺を一名にしてくれた

他魔のシュウは、拷問まがいの映像に酷くショックを受けた様だが…
俺自身は、以前の自分の痴態を見ても思ったほどショックを感じていない
姿が大幅に変わったせいもあるが、まるで他人事の様に感じるのは何故か?
確かにされた事の記憶と恐怖心は、この肌と身体に残っているのに…

この件に関しては、脳にまで及んでいた【翼手】の神経と封印が解けた事も勿論だけど
一番大きな理由は、封印されていた本来の力が解放された安堵感から来る【余裕】だね
とゼノンは説明してくれたが、それも何となく理解出来る

俺はもうただ泣き叫ぶ事しか出来なかった、【弱い存在】では無くなっているからだ

だから余計に?あの【翼手】と呼ばれるモノが気になる
恐らくは生まれた時からずっと一緒だったアレは一体何だったのか?

もう一度その部分を何度も再生する

明らかに過剰に供給された魔力の負担に耐えられず
それは【自己崩壊】を起こしかけている、俺の身体から離れるかなり前から

何か大切な事を忘れている気がする…カプセルのまどろみの中で見たあの夢も含めて…

何か解ったら…俺にも包み隠さず教えて欲しい
それがどんなに【厳しい結果】でも構わないから

定期検診に来たゼノンにそう頼めば…意味深な笑みを残すばかりだ

真実は知らせて貰えるのか?少し不安ではあるのだが
いざとなれば、シュウから聞き出せばいいのだろうか?
ポフリとベッドに横になりながら、
いつの間にか悪魔よりな思考が身につきつつある自分に自嘲する …



続く


エロ展開はしばしお休み中ですが…
多分後半には?がっつりあるかも?です、腐女子の皆様はしばし我慢してくさいませね
しかしウチの和尚は、どんどんマッドになっていく様な…いいのかな?

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