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【位相空間】
『ネオテニーの憂鬱』 5 (完結) R-18 ダミ様×女体L 暗黒設定あり

「裾を持ち上げてごらん…出来るだろう?そうイイコだ…」

ベッドに下ろされたルークは、躊躇いがちにパニエを持ち上げる
膝建ちの両脚はガクガクと震え、ふんわりと可愛らしい衣装にはそぐわない
腰の貞操帯が剥き出しになると、羞恥心はまだ残っているのだろうか
真っ赤な顔をして横を向いてしまう

ああ…可哀想にぐちゃぐちゃだね、ガーターベルトにして正解だったようだね
何度も気持良くなったんだろ?でも決定的なモノが足りなくて、堪らなかったかい?
細工の上に細かく走る爪の痕を見れば、どれだけもどかしかったか解るよ

後で爪の手入れもしてあげないとね、爪もボロボロだろう?この調子なら

謁見室からコチラに向かう途中、肉芽に食い込んだ玩具のスイッチは
完全にOFFにしてはいたのだが、長く虐めすぎたせいだろうか、
内股から滴るソレは、ヒクヒクと痙攣しながら溢れ出したままだ
内側のうねりはそう簡単には止まらないのか?
それとも、ようやく解放者がやってきた安堵感かい?

恥ずかしがるルークの様子を目で楽しみながら、枷にそっと触れてやれば
封印も兼ねた施錠魔法だけは掻き消えて、ソレはただの金属に戻るのだが…
何だろう…このまま、あっさりと外してしまうのも惜しい気もするね…
その姿が、思っていた以上に、エロティックで可愛らしいから

「お願いです、もう外して下さい…」こんなの嫌です…恥ずかしすぎるんです

腰の戒めからだけは、何とか解放されたいのだろう、必死に懇願しているつもりでも
半泣きのルークの顔がまた可愛くて、ますます惜しくなってしまう
結局そのまま彼をベッドに押し倒して、枷を付けたままの下腹を焦らす様に愛撫する
少しだけ横にずらしたベルトの間から、するりと指を差し込んでやれば
張り付く様に密着していたソレから、解放されたダケで、
その刺激にすら反応してしまう程に、濡れそぼったソコからは、滴りが落ちる
ああ…すっかりトロトロだねぇ、内襞が物欲しげに私の指に絡みついてくる

「ああっあん…やぁ、やぁん」

凄いな…もう指を三本、楽に飲み込んでしまう程に柔らかい
そんなにイイかい?中を触りたかったのかい?触って欲しかったかい?
突き上げる時と同じ様に、指で強く中を弄り刺激してやれば
ぬちゃぬちゃと卑猥な音をたてるルークのソコはビクビクと震え、愛液が堰を切った様に溢れ出す

「嫌?触られるのが嫌ならもう、止めてしまおうか?」

勿論そんなつもりは無いのだが、意地悪くそう言って指を引き抜くと
そんなこの世の終わりみたいな、顔をするんじゃ無いよ、泣かなくていいから

こんな恥ずかしいモノは、もういい加減に外して欲しいのに
「その格好がセクシーだ」と言われて、なかなか外してもらえない…
肌にぴったり張り付いてしまって、自分では少しも動かせなかったソレが
ずらされている感じから考えれば、何らかの封印がついていたのかな

でも…もう…そんな事なんて考えられないよ…

隙間から中に入ってきた指に中を嬲られ、自分でもびっくりするほどの甲高い声が漏れる
ああ…お願いです、もっと奥まで、奥まで触って下さい…もっと
嫌じゃないです…恥ずかしいから…口に出てしまうだけ、
止めちゃいやだ、お願いですもっと

ひんひんと泣きながら、縋り付く俺を「可愛い」と言われ、
強く抱きしめられキスをされる、脇腹に軽く痛みを感じる程にベルトがずらされると
溶けきったソコに熱い塊が宛がわれ、一気に貫かれる

「ひぅんっ…ああっああん…」

性急に中に穿たれたソレは、何時もより大きくて、強くて
反射的に逃げ腰になる身体を、引き寄せられると、
片脚を抱え上げられ、更に奥まで抉られる 
堪らずに弓なりに反った身体を、押さえつけられ、中を貪られれば
そのたびにカチャカチャと鳴る、無粋な金属の枷の音が、耳についく
半分飛んだ意識下でも、ソレが堪らなく恥ずかしくて、俺は目を堅く瞑った

「まだ…お腹が痛かったかもしれないねぇ、大丈夫かい?ルーク?」

ソコを責めたてられながら、そんな事を聴かれても…もう解らない
背中側のチャックを下ろされ、剥き出しなる白い肩
胸を下着越しに胸を揉まれ、突起を刺激されるもどかしさに啼けば
すぐさまソレを剥ぎとられ、啄まれると温かい舌が、堅くなった先を愛撫する

「痛くてもいいです…ああ…ああっ、もっと…」

もっと中まで掻き回してください、何も考えられなくなるくらい

恥じらいながらも無意識に揺れる腰が、貪欲に快楽を貪っているのが解る
皇太子は目を細めると、遠慮は一切捨ててしまう、
少々乱暴なくらい相手を揺さぶっても、もっともっととくねる身体は
浅ましくて愛おしい…このまま閉じ込めて、孕ませてやれない事が惜しい程に

「ひぅ…ああっ…」

玩具に翻弄されていたとは言え、日中あれだけ絶頂を感じていたはずなのに
ちょっと刺激されただけで、簡単に零落してしまう身体が恥ずかしい
同時に中に迸る熱さを感じながら、流す涙は口惜しさか?別の何かか?

長い夜はまだ始まったばかりだ

※※※※※※※※※※※※※※

「少しだけ、痕になってしまったみたいだね…」

腰に巻かれたままだった、貞操帯を外しながら
赤くなった痕を、ダミアンは優しく舐め上げる
同時にヒーリングも流し込まれているのか、妙に温かいのだが
敏感になった身体は、そんな刺激にも過敏に反応してしまう…散々啼かされた後だと言うのに、
悲鳴を上げた事が、恥ずかしかったのか、俯くルークにキスをすると
皇太子はまだ少女の身体のままの彼を、背後からふんわりと抱きしめる

「こんなに引っ掻いてしまっては、爪も痛んでいるだろう?見せてごらん」

おずおずと差し出される手首を、そっと引き寄せると…
やっぱり傷だらけだねえ、綺麗な爪も指先も、唇をよせてソレも癒やす
爪の傷は…朝になったら侍女達に手入れしてもらおうね
マニキュアの色は何色が良いだろうか

「話も聞いてあげずに、酷い事をして悪かったね…」

ポツリと呟かれた主の言葉に、ルークは驚いた様に振り返る

「いえ…俺も、混乱していたとは言え、申し訳ございませんでした」

どうせ後からバレてしまう事なのに…隠したままで何とかしようだなんて
俺も必要な説明が足りなかった事は、反省しているんです

シュンと下を向くその表情が、妙に儚げで寂しそうで
ダミアンは、もう一度その身体をギュッと抱きしめる

「説明不足はお互い様だろうね、私も思慮不足だったよ…今回は特に
仲直りの印じゃないけど、一つだけルークのお願いを、何でも聴いてあげるよ、私に出来うる事なら何でもね」

そんな事でこの子の優しい気遣いを、嫉妬で踏みにじってしまった事が、
チャラになるとは思ってはいないが…そう言わずには、いられなかった
唐突にそんな事を言われても、困った様な表情を見せたルークではあったが
フッと何かを思い立ったのだろう、妙に真剣な眼差しでコチラを見上げて来る

「無礼を承知で…お願いしてもよろしいでしょうか?」
「お願いよるけどね、何が望みかな?」
「もし貴方にとってソレが苦痛では無いのであれば…貴方の翼を…見せて頂けないでしょうか?」

ぴたりとダミアンの動きが止まる、始祖ルシファーの直系であるならば
熾天使の姿が捨てられない【天界の呪い】が本当なら…その背には12枚の翼があるはずだ
しかしソレは同時に、皇太子ダミアンの、【天界コンプレックス】の元凶でもあるはず
ソレを悪魔の家臣に晒すなど…彼のプライドが軋まないはずが無いのだ

少しだけ…仄暗い表情を見せたダミアンではあったが…

「いいよ…でも今回は特別だからね、私はこの姿が…あまり好きでは無いからね…」

ふわりと広がるのは、まぶしいばかりに、白銀に光り輝く12枚の翼…
ルークのソレとは一回り大きさの違う、成体の熾天使と見まごう白翼
同じ階級で、同じ枚数の翼を持つ天使であっても
個々の個体の持つ霊力の差はかなりある、そしてその差は翼の色と輝きに反映される

多くの部下を伴ったまま地獄に堕ちた、「明けの明星」と呼ばれた天使は
他のどんな天使よりも強い霊力と、銀白に光り輝く翼を持っていた
神のソレをも凌ぐのではないかと思う程に

その始祖から数えて45代目…歴代魔王の婚姻による努力も空しく、
天界の光を、天使のままの姿を、打ち消す事は叶わない
その内面は、王家の血統は、間違い無く地獄最強の悪魔だと言うのに
燦然と輝くソレは…魔力の強さに呼応するように、逆に輝きを増してしまう

何代か前の大魔王は、思い余ってその翼を自ら切り落とした者も居たらしいが
そんな思いも空しく…瞬く間にソレは再構築されてしまったと聴く
まるで…その行為を嘲笑うかの様に
天界の天使ですら、欠損した翼の自己再生は、出来ないと言うのに

コレは…どう足掻いても逃れられない呪いだ、
未来永劫、血脈が続く限り、苦悩する様に仕向けられた罰
気を抜けば…魔界人にすら足下を掬われる、ソレを誘発する為の姿
より魔界の住人の目には忌々しく写る様に、反感を買う様に…

「コレで満足かい?ルーク?私自身もこの忌々しい光が苦手でね………」

そう言ってダミアンは、再びソレを体内に格納しようとするのだが、
その前に小さな手がソレに触れ、ふわりと頬刷りをして抱きしめる
久しく他者に触れさせた事の無いソレに、突然触れられ、ダミアンは酷く狼狽するが
ルークは構わず、翼ごと主に抱きつき縋り付く

「苦手だなんて言わないでください、俺は貴方の翼は綺麗だと思いますよ…」

元天界人だったからじゃない…悪魔になった今の目でも
貴方の翼だから綺麗だと思うんです だから嫌いだなんて言わないで…

リップサービスでもなければ、変な同情でも無いんです、俺を信じてはくれませんか?

そう言って見上げて来る紫の瞳は、闇に染まっているはずなのに…何故か透明で
気がつけば…自身も涙を流している事に気がついた、皇太子は、自分のソレを手で触れ、呆然とする

何でこんな事で涙が…嫌っていたはずなのに、この翼を、忌々しいこの姿を
なのにソレが好きだと言われて、泣いているなんてオカシイじゃないか…
全くらしくないじゃないか…

自分に近い姿の天使達を闇色に染める事で、鬱憤を晴らしていたはずなのに、
いつの間にか…簡単に悪魔の姿に変化できる、堕天使達に嫉妬していた…
だから悪魔になってしまえば、興味が失せる、時には…憎んだりもする
それが【王家の悪癖】の真実、受け止めきれない自分自身のコンプレックス

今目の前に居るルークにすら、うっすらとソレを感じていたのに
ありのままの私を好きだと言ってくれる、この子に…
何故…無用な引け目を感じていたのだろう、忠誠心を試す様な無茶をしたのだろう

情けないな…我ながら…

ソレを口にする勇気はまだ持てないが、ただ相手を抱きしめる事はできる
何も言わずに抱きついてくる主を、ただ優しくなでるルーク姿は…
元々中性的な上に、女体化してる効果もあるのか、幼い時分に無くした、母親を思い出す

そうだ…母上だけだった、一切の下心も侮蔑も同情すら無く、
私のこの翼を綺麗だと言ってくれたのは
当たり前の悪魔とは、かけ離れたソレを、嫌い発作的に傷付けようとする度に
優しくその手を包み込み、翼を撫でてくれたのは彼女だけだった
魔界生まれの悪魔だと言うのに、白翼に対するアレルギーが、無いはずはないのに
血の繋がり故の情か…それとも私や父上限定だったのかもしれないけれど

ホントに…面白い子だね、ルークお前と言う子は

いっその事、このまま女性体のままに固定してしまって、
側室の一名として、後宮に迎えてもいいくらいなのだが…
本魔はソレを望まないのだろうな、恐らくは…残念ではあるけれど

「何だかこうしてると…少しだけ養育者を思い出すのですよ…」

久しぶりに広げた翼を、格納するタイミングを見失ってしまって、そのままルークを抱きしめていると、
ふわふわと私のソレに触れながら、ポツリとルークは呟く

「養育者って…神の門番の事かい?」

神の門番・天界の殺戮人形、と呼ばれる四大天使ウリエルが、
養護施設の管理者をしているらしい、と言う報告を聞いた時は、悪い冗談かと思ったくらいだが…
実際にルークの記憶から、取り出した映像を見せられた時は…

何故だか…それに違和感を感じなかった、
むしろソレが当たり前の様に思えたのは何故だろう?

魔界側の同じ様な立場のエースが、彼をよく知らない者には
職務第一で、残忍非情の冷血漢と揶揄されるのと同じで
一見迷いの無さそうなあの鉄仮面も、無慈悲な冷酷な態度も、フェイクなのか?
事前に与える恐怖感で、取るに足らない相手を遠ざけ、
任務を遂行の障壁を、効率よく減らす手段なのだろうか?

「ゼノンに聴いたよ…養育者で教官でもあるんでしょ?
魔界サイドからは、何時も先陣を切って、断罪の剣を振り回す
彼の苛烈な部分しか見えないからねぇ、彼は厳しい先生だったかい?」

「転魔した身で、殿下にこんな風にお答するのは…不敬罪に当たるかもしれませんが
厳しい人でしたよ、それでいて親代わりの優しさのある方でした…
訓練を受ける前は、幼くて養護院の外の事をまだ良く知らなかった頃は、
何故あの人が、鉄仮面だ殺戮人形だ等と呼ばれるのか?
そちらの方が、理解出来ないくらいでしたよ………」

何も知らなかった頃は、ただ無防備に彼に甘える事が出来た

でも…子供のままでは居られない、天界では「罪深き者」としての宿業を知った時
自分の存在意義に苦悩する孤児達の為に、用意された【役目】
それが【特殊工作員】でも、人間を導く為の特殊能力を持った【聖人】であっても
まだ天界人だった頃の自分には、必要なモノだったのだと考えています今でも
それが正規の天界人のソレよりも危険で…捨て駒に等しい役目だったとしても

主に地上に降臨するのが役目の、翼の無い者は、人間とのハーフですから
霊力が低いのは当たり前でしたよ、でも有翼種なのに力が無かった俺は…
訓練所ではミソッカスでしてね、訓練に着いてゆけない事もよくある事で
同じ年頃の訓練生には、随分馬鹿にされたモノでしたよ…

力を封印されていたなんて、その当時は知りませんでしたから

悔しくて哀しくて…よく訓練場で、居残りの自主トレーニングをしていると
何時の間にか…彼が現れて、付き合って頂いた事も、お忙しい方だったのに

時々息抜きと社会勉強を兼ねてでしょうか?少人数ずつに分けた子供達を連れて
外に連れ出して下さる事も在りましたね…彼も好きだったのでしょうか?
街から離れた、美しい水辺や山野が多かった様に感じます

「でも…他の天界人にとっては、養護院の子供達は厄介者でしかない
何の関係も無いのに、好奇心まがいの嫌な目で見られた事は有りますよ
そんな時…あの人は翼を広げて、子供達を隠し護ってくれたものですよ
邪な視線を私の子供達に向けるなと言って、今殿下にして頂いている様な、こんな感じで」

そう言って懐かしそううに、ルークは目を細める

こんな事を言ったら、エース長官にも、ウリエルにも、怒られるかもしれませんが
少し似てますねあの二名は、表面的な恐怖感じゃなくて、隠している裏の顔の方が、
もっともウリエルは、融通が全然利かなくて、真面目すぎて…ソコは大きく違うけど
何時も何処か哀しそうな顔をしている事が、多かった様に感じますが

白くなってパニックになった時、殿下にも父上にも、隠さなきゃと思ったのと同時に
後で冷静に考えれば…文化局にゼノン先生に、直接連絡を入れれば良かったのに
エース長官に連絡を入れたのは、そんな事も影響してるのかもしれませんね

自分でも彼に対する気持が何なのか?まだ良くは、解りませんけど

「天界の彼が恋しいかい?無理矢理、悪魔にした私を憎んでいるのかい?」
「まさか…そんな事はありませんよ、この姿に本来の姿に戻して頂いた事には感謝してますよ」

あの時…殿下に拾われなかったら、自分が本当は「何者」なのか解らないまま
とっくに自己崩壊していたはずですよ、あの泉の前で…鱗と黒い羽根を毟りながらね
他の悪魔に見つかるまでもなく、自力でどうにも出来ずに自決してましたよ
だから俺は運が良かったんでしょう?今はそう思っておりますよ…

「ただ…ウリエルを前に、全力で彼に立ち向かえるかと言えば…まだ迷いはあります」

最初から同族意識なんて欠片も無かった、他の天界人なんて、もうどうでもいいんです
実際に対面してみなければ解りませんが…同じ救護院の出身の工作員であっても同じ事
恐らくは…当たり前の天界人より、闇に染まりやすいはずなので、
殺さずに堕天させる努力は、するかもしれませんが…

今は…混血児の俺を、家族と同族と認めてくれた水妖一族の方が、
魔界サイドの繋がりの方が大切なんですよ… 勿論殿下、貴方も…

だけど…ウリエルに刃向かえる程、俺はまだ強くない、もっと強くならなきゃ…

彼の事だから、行方不明になった俺が、転魔した事ぐらい気がついている
封印を施された、要注意被験者であったのなら尚更に
ならば…必ず俺を処分しにくる、戦場で出くわしたのであれば必ず
俺の逃亡を許したのは…自らの責任と言って、断罪の天使として
そして俺が、全力で立ち向かって来る事を望む…そういう人だから

彼から逃げるつもりも、彼の攻撃から護られるつもりもありませんよ

そう…ウリエルが、他の悪魔に傷つけられ殺されるくらいなら、ソレを観るくらいなら
俺自身が彼を殺しますよ…間違い無く確実に、彼を殺す権利は誰にも譲らない…
愛していますよ…今でも彼を、だからこそ俺自身の手で彼の頸を取る
例え相手がエース長官でも、ダミアン様貴方でも…その役目は譲らない

それが…養育者である彼に、俺が出来る最大限の礼儀であり、恩返しですから

そう言って、私を見返す目は…強く真っ直ぐで
先程まで、腕の中で啼いていた相手とは思えない程だ

だが相手は、目指す者は、戦闘タイプでは最強と言われる、断罪の天使だ
封印から解放されたとは言え、ルークが彼に対抗出来る程の力を持つまで、どれくらい掛かるのか…
将来的に同レベルの力を持ったとしても…恐らくは相打ちが、関の山だろう

それでも、この件に関しては…誰も立ち入る事は出来ない 
例え次期大魔王である私であっても、天界の統治者たる神であろうとも

あまりにも無謀で危うく、生真面目すぎるこの想いが
今後…この子の命取りに、ウィークポイントに成らなければいいが

だが…ルークを処分しようとする、ウリエルを、仮に今私が仕留めたとしても
安全が確保されたとしても、この子は決して喜びはしないだろう…

ルークの望みは強くなる事、災いであり、かつての大切なモノを自ら切り裂く力を持つ事

ルークを抱きしめたまま、少しだけ、寂しげな笑みを浮かべたダミアンは、
綺麗に手入れされた爪を、自らの手首に宛がうと、一気に切り裂く
目の前で白い肌がぱっくりと開き、傷口から滴り落ちる赤い血に、ルークは慌てて振り返る

「殿下…何を…」
「早く男の子に戻りたいのだろ?だったらコレをお飲み…」

一番簡単に転魔する方法は、大魔王家の血を含む事 これは王族に許された者の特権だ
当事者が望む望まない事にも、元の種族属性にも一切関係無い、
ソレは対象者の身体に馴染み、じわじわと【黒】に魔族に変質させてしまう

肝心の本魔の、王家の血筋の外観は、少しも変えられないと言うのに………

ぽたぽたと滴るソレを、以前無理に含まされた時は…一滴でも飲み込むものかと、抵抗したものだが
今は完全に悪魔に転魔しているからだろうか?
同じ鮮血の臭いが、酷く甘美になモノに変わり、中枢を刺激する香りに感じる
ゴクリと鳴る喉の音に、自分自身で驚く 悪魔らしく感覚が変わったのは良しとしても
大切な方が傷つき血を流しているのに…コレは如何なものか? 躊躇するのはソコだ

「遠慮はいらない…私が許したのだから、
コレも私の一部だ、ただ流してしまうのは勿体ないだろう?
悪魔にとって血液交換は、契約と同じだからね
私の血がお前の中に入る事で、より深い間柄になれるなら…ソレもロマンチックだろ?」

もう転魔してしまっているお前には、あまり意味は無いかもしれないけれどね

そう自嘲するダミアンの横顔が、やはり少しだけ寂しそうで
何よりも肌の上を流れるソレが…酷く綺麗にみえて…美味しそうで

戸惑いがちに伸ばされた手が、そっと皇太子の手首に触れると
闇をさした唇がその傷口に重なり、柔らかいその舌がその上をなぞり舐め上げる

甘い…生温かいソレは間違い無く命の一部なのに、強い毒の味がする

ホシイ…コレヲモットホシイ…

目の色が変わり、本能のままに、途切れそうになる理性を、必死に奮い立たせる
獣の様に荒くなる息づかいを聴いても、皇太子は至って冷静だ
ルークの頭を撫でながらも、傷付けたその腕をさらにその口元に近づける

「そう…それが本来の悪魔の姿だ…遠慮は要らない、必要なだけ貪ればいい…」

くちゅ…傷口に浅く入り込んだ、舌と牙が嬉しげに血を啜る様を
寧ろ冷笑を浮かべながら、皇太子は見下ろす 傷を広げられる痛みなど些細な事だ
口元を血まみれにしながら、恍惚な表情でソレを貪るコレは、完全に私のモノだ…

元の所有者が、神でも、その門番であっても、知った事ではない

私の血なら…相手が誰であっても、染まるのは早い

金髪の根元が、ジワリと黒く染まり始めるのと同時に
膨れあがったルークの魔力の波動が、反転したのが外側からも解る

「ふっ…あっああっっあっ」

突然自らを振り切る様に、傷口から口を離し、私から後ずさると、
少し離れた場所で、両肩を抱きしめ、ルークは震えている
取り込んだ魔力が、少し強すぎたのだろうか?
ダミアンは、手首の傷を抑えながら、その肩に触れようとすれば…

性転換で若干高くなった声ではなく、何時もの、男の子の方の声がかえってくる

「御無礼を…もう大丈夫です、ありがとうございました…」

まだ血の臭いに酔っているのだろうか?口元の血を拭いつつも
身体の震えは止まらず、未だ興奮状態のままではあるが
顔を上げたルークは、無理に作り笑いをする

全く…どこまでも意地っ張りなモノだ、この子は…
私もただ苦笑して、答える事しか出来なかった

※※※※※※※※※※※※※※

翌朝、男に戻ってしまったルークを見て、侍女達が残念がったのは、言うまでも無い
まぁ男の子に戻ったとしても、あのドレス姿は結構似合っていたので
あの後、もう少しだけ盛り上がってしまったが…

ルークは恥ずかしいと、相当嫌がっていたのが、それがまた可愛らしくて…
うん、次に呼ぶ時の為に、また似合いそうな衣装は揃えておこう

レースたっぷりの可愛いらしい服を着せるくらいは、虐めのうちには入らないだろうから

直ぐに仕官学校に戻しても良かったのだが、根の詰めすぎは明かな上
彼の養父も心配している事から、とりあえずは水都は実家に送り届け、しばらく静養させる様にと伝えた
皇太子と言えど、深海に存在する水妖の都には入れない、とは言っても次期大魔王である、
水中仕様の身体ではなくとも、無理をすれば、侵入出来ない事も無いのだが
水妖達の領域に、無粋に踏み込む様な、真似はしたくはなかった、いかにルークが心配でも

その入口の陸上の都市まで、ルークを送り届けてやると、馬車の中から彼を見送る、
非公式な訪問だ、今回ばかりは、水妖達に要らぬ気遣いをさせたくはなかったからだ

ぺこりと馬車に向かってお辞儀をしたルークが、公爵家の門に向かえば
同じく青い紋を持つ水妖達が出迎える、魔力の波動の強さから見て使用魔ではない
出迎えた家族にも、心配をかけてしまったと思っているのだろうか?
若干困った様な、はにかんだ笑みを浮かべながらも
安心したような面持ちで、門の中に消えてゆくその姿を、確認出来ただけで良かった

何故だか…安堵にも似た、不思議な感覚をダミアンは感じる

ルークは、今は水妖の家族が一番大切だと言っていた

水妖は元々眷属意識が強い種族だ、例え他族との混血児であろうとも
自分達と同じ血が、少しでも混じっているのなら、何ら問題はないらしい
そして一度同族と認めた者を、邪険に扱う事は決してない
その分身内だけで固まりがちで、一切の交わりの無い者には冷淡すぎる、困った特性はあるのだが
少なくとも…あの子にとっては良い環境なのだろう
差別と偏見の目を向けられ続けた、天界での生活よりずっと

いずれは…神の門番と、戦う事を自ら決めた子だ
その過酷すぎる運命を思えば、せめて今は穏やかに暮らして欲しい

そう考えるのは…悪魔らしからぬ、私のエゴなのかもしれないな…

王都に戻る馬車に揺られながら、ダミアンはそう思っていた



end

暗いですね…天使ちゃん編は、やっぱり暗くなりがちだけど
人魚編と差分をつける為にも、これくらいは有りと言えば、有りなのかな?
にょたルークちゃんと、火炎鬼畜コンビのエロが主体だった筈なのに
ダミ様とウリエルが出張りすぎですね〜 しかもド根暗設定
まぁこれも当サイトの味という事で、諦めてくださいね

その5まで伸びてしまった、長文を読んで頂きありがとうございました

しかし…今回ダミ様に、着せ替えフェチまで追加されてしまった
今後、無理矢理?ヒラヒラを着せられるルークちゃんの登場はあるのか?
人魚の方なら寧ろ、喜んで着そうですが、天使ちゃんは真面目ですからね〜
でも断り切れずに、きっと着るんでしょうね〜ソレはソレで萌えかもしれませんが

また何かイイネタが浮かんだら、天使ちゃん編も書き足したいものです

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あきゅろす。
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