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【位相空間】
堕天 10 R-18 転生 後半ダミ×L有り

翼の付け根の腫れもひいてくると
翼を体内に折りたたむ行為も、ようやく出来る様になった
恥ずかしい話だが、折りたたむ事が出来るなんて事も知らなかった

腫れが引かない内は、特に何処かにぶつけてしまう度に、
痛くてたまらなかった分コレは助かった
出し入れの仕方は、研究員の有翼種族の職員が教えてくれた

その後はすっかり萎えてしまった、足の筋肉を付ける歩行訓練

言動は確かに?不思議な研究員が多いみたいだけど…
文化局の職員は、根気強く面倒見のいい悪魔が多いみたいだった
御陰で俺は【隔離病棟】に閉じこめられている?と言う感覚をあまり持たないで済んだ

それから暫くして…俺はようやく文化局の医療棟から出る事を許された
だからと言って、いきなり【自由の身】になれるワケでは無いらしい

魔界で産まれたワケではなく、属性毎の族長からの祝福を受けていない為
俺には魔界の【認識コード】が【戸籍】がまだ無いからだ

コードが無い今は、俺はまだ皇太子殿下の持ち物と言う事になるのかな?

水妖の一族に引き取られる事は、決定事項みたいだけど
その前に【行事見習い】もかねて、一度大魔王宮に戻る事になったらしい

「ついでに、略式だけど【バプテスマ】も受けてしまおうね」

と言って皇太子殿下が、寄越してきたのは…
コード登録と一緒に受ける儀式用の【正装】にと
俺用?に用意したという煌びやかな衣装で…
完全に殿下の趣味か?一応は濃いめの紫が基調ではあるものの、
ボリュームのあるレースや銀モールをふんだんに使ったソレは
天界では考えられない様な派手派手しさの上に、
何処につけるのか解らないパーツも多すぎて、面食らってしまった… 

今まで、決められた制服しか着た事がなかったから

「絶対似合うから、着てみましょうよ」

と女性職員に取り囲まれ、着付けてくれるのは嬉しいのだけど
好きなよう弄られる髪に、ジャラジャラと追加されるアクセサリーの数々
最初は引っ張られるのは痛いし、くすぐったいし、ちょっと煩わしい…
と思ったけど………いざ出来上がって鏡の前に立ってみると
どうしよう…普通に可愛い………かも?

自分にこの手のモノが似合うなんて、今まで考えた事も無かったけど

「すっごく可愛いよ、ルークちゃん」

何故かシュウが赤面してる?
着付けてくれた職員達も、きゃあきゃあと写真も取っている
何だか気恥ずかしさで一杯だったけれど、素直に御礼を言った

そして…病棟を退院するその日

手の空いている職員全員で見送ってくれたのが、何だかとても嬉しかった
外の悪魔は文化局を、【生体実験室】と言って恐れているらしいけど
そこまで恐れられる理由が、この時の俺には皆目見当がつかなかった

※※※※※※※※※※※※※※

「じゃぁ…そろそろ行こうか?」

普段は同じ様なデザインの?ラフでゆったりした法衣か、
その上に適当に白衣を引っかけた姿しか、見たことの無いゼノンが
大きめの開襟のついた、軍服調でゴテゴテの衣装を着ているのにも驚いたが

付き添いでついてきたシュウの格好がまた…何?その金モールだらけの詰襟は
一応?理学生の正装らしいのだが、派手が基本なのか?魔界と言う所は
普段見慣れた白衣姿からは、かけ離れた姿に目を丸くしていると

「そんなにビックリした目で見ないでよ、似合わないのは解ってるから」

恥ずかしそうに背を丸めるその肩に、ルークは抱きつく

「そんな事無いよ、カッコイイよシュウちゃん」

大男の顔が耳まで真っ赤に染まる
魔界で初めて出来た友達は、本当に気持ちが優しくて可愛い奴で良かった

ゼノンの後について、王宮内の廊下を進むのだが
行く先々で…チロチロと見られる視線と、ヒソヒソと話される声がする
内容までは聞こえないけど、多分俺の事なのだろう
今まで治療を受けていた文化局とは違い、ココはまだまだ知らない悪魔の方が多い
滞在時間はコチラの方が長くとも、幽閉されていたあの部屋と医務室しか知らない
当然他の悪魔とも殆ど接触はしていない

どうしよう…この後一名でココに残らなきゃならないのに…
不安気に床を見つめる俺に、ゼノンが背を向けたままポツリと囁いた

「頭の翼だけでも、今広げられるかな? そしてもっと胸を張らないと」

翼?広げられるけど…それに何か意味があるの?
解らないままにファサリとソレを広げると、アチコチから感嘆の声が漏れる

確かにあの鱗のカタチは、東の海竜のモノ 公爵の忘れ形見と言う噂は本当か

先程までよりは?幾分和らいだ視線と空気に、
ホッと小さく溜息をつくと、ゼノンの小さな声が聞こえる

「何事も最初が肝心だからね、協調と同じくらい威嚇や権勢もね」

研究ラボ内で見た、掴み所の無い飄々としたイメージしか無かったけど
こうやって見ると…ちゃんと政府高官の高位悪魔なんだ
その広い背中を見上げながら、少しだけ感心したような不思議な気持ちになった

そして…たどり着いたのは【謁見の間】

やたら大きな扉の向こう側から、強く感じる魔力の波動は皇太子殿下のソレと
もう一名は?誰だろう? 恐怖心は最早無いけど、その桁外れな力の差には
やはり絶対的な畏怖を覚える、コレは悪魔としては当たり前の本能なのか?

「お届け物を…新たな海竜の御子息をお連れしました」

重い音を立てて開くその向こうで、何時も以上に派手な装いの皇太子が
その横で負けず劣らず、派手派手しい衣装ながら静かにに佇む、
金の髪に青い紋章の悪魔は…あの姿は、下級天使だった俺にでも解る

「大儀であった…ゼノン これより拝命とバプテスマの儀を執り行う」

凜としたその声…あれが地獄の副大魔王

※※※※※※※※※※※※※※

「本来は水妖の長であられる、オーケアノス将軍の役割ではあるのだが
将軍は只今遠征中であられるが故に、吾輩が代役を拝命した
同族の長老の方が良いとは思うが…特例につき許して欲しい」

「いえ…そんな事は…」

まさか副大魔王が現れるとは思っていなかったルークは、
しどろもどろになり、動揺を隠せないが、
その肩を抱き、付き添い役のシュウがそっと耳元で囁く

「ルークちゃんの父上の格を考えれば、これくらいは普通だよ
コードを新たに入れる事になるから、右手の手首を出して…」

そう言ってチラリと見せられた、シュウ右手首には薄っすらと何かが光っている

差し出した右手首に抜かれた剣が当てられると、
その冷たさにビクリと震える…これもまた苦痛を伴うのか?
金色の悪魔は、俺の怯えた表情に気がついたのか?クスリと小さく笑う

「大丈夫…コード消去をする時と違って痛みは感じないから」

えっ…消去って…まさかアレを知っているの?

「深淵の王の御名において、新たな眷属に名を与える………」

その後の【言霊】なんてまるで覚えて居ない…
何処まであの映像が洩れているのか?と思うと、それどころじゃなくて
右手首の上にジワジワと浮き上がる、新しいコード番号と名前
仰々しいワリには、【拝命】と【登録】はあっと言う間に済んでしまう

後は…型式通り皇太子に忠誠を誓うだけ
跪いて差し出された手の甲にキスをすれば、それで儀式は終わり

俺はそのまま、大魔王宮に残る事になるけど
ゼノンとシュウは、文化局に戻らなければならない

「次のお休みは、絶対にルークちゃんの水都帰還に合わせるから
必ず連絡してきてね、案内したい場所が沢山あるからね」

名残惜しげに俺を抱きしめるシュウは、廊下でまた号泣している
「今生の別れ」とかじゃないのに…そこまで泣かなくても
結局ゼノンに、引き摺られるように帰ってゆくその背中を見送り

俺は案内された控え室で、じっと皇太子殿下を待つ事に
時計の針の音が妙に耳につくのは、緊張と不安からだろうか?

※※※※※※※※※※※※※

コツコツとノックをされ、振り返ると皇太子が佇んでいた
儀礼用のマントを侍女に預けると、周囲に居る侍従を全て下がらせる

二名だけになると、おもむろに声をかけられた

「まだ私が怖いかい?」

その問いに、俺は上手く答えられない…
小さく震える肩を、後ろからやんわり抱き締められる

「ルークが望むなら優しく抱いてあげよう…今度は無理矢理じゃなくてね」

恐る恐る振り返れば、顎を取られ深い口付けをされる
初めてされるソレに息の仕方が解らず、息苦しさに身じろぎしながらも、
辿々しく答えようとするその様を、緑色の瞳が愉快そうに見ている

ゆっくりとブラウスのボタンが外され、スルリ上着ごとずらさる
と剥き出しにされた肩に、柔らかく湿った唇が落ちる

「あっ………」

小さな吐息を確認すると…皇太子はその身体を抱き上げ、
そのまま自ら寝室に相違転位すると、あの豪華なベッドにそっと降ろす
とろける程優しくしてあげよう…苦しかった記憶を塗り替えるくらい
逃げられないよもう…【見えない枷】をつけてしまうからね

※※※※※※※※※

「あっ…あん」

何故この行為を嫌がっていたのか?今では解らない程気持ちがいい
腰をくねらせ、もっともっととねだる痴態には、
泣いて嫌がっていた天使の面影は無い…

身体が飢えていた…心より先に肌を求めていた
心の隙間を、不安な気持ちを埋め尽くす為に

僅かに残る羞恥心と恐怖心からか?明確な言葉は無いが
確実に自分を欲してやまないその様子に、気を良くしたダミアンは、
角度体位を変えながら…更に奥を抉り続ける 焦らすように時間を掛けて

しかしタガが外れたようなその貪欲さに、コチラが先に絞りとられそうだ

「怪我に障ると控えていたのだが、寂しかったかい?」

休憩がてらにワインを差し出せば、素直に受け取るが
その手は、やはり病み上がりだからか?細く青白くやや頼りない

事を終えて冷静になってみれば…
自分でも想像していたより、乱れてしまった事実が恥ずかしく
何処を見ればいいのか解らない

すっぽり被ったブランケットの下で、
今更ながら羞恥心で、赤く染まった顔を隠し
無理に煽った酒は、思った以上に強く渇いた喉を焼く

ケホケホと咳き込む様をみて、皇太子はクスクスと笑う

「無理に背伸びしなくても大丈夫だよ」

価値観も世界も反転したのだから、ゆっくり慣れていけばいい

「研究ラボで治療中に…この世界の色々な事を教わりました…」

ポツリポツリとルークのつぶやきが聞こえる

正直まだ混乱しています…自分が悪魔になった事も
翼手と母の事、封印の件も…全てが悪い夢のようにも思える
でも転魔前は…あれ程焦がれていた天界への想いは何故か今は少しも感じない…

怨みこそはしないが…恋しいとも帰りたいとも思えなくなってしまった

血脈の全てが黒く染まったから、脳にまで及んでいた侵食と封印が解けたからだよ
そう言ってゼノンもシュウも丁寧に説明してくれたけど…

その程度で簡単に変わってしまうモノなのでしょうか?信念や心持ちと言うモノは?

肉欲の件だってそうです…あんなに背徳感しか感じなかったのに
今は肌の温もりが恋しくて仕方が無いんです…
私の本質は、ここまで軽くてうつろいやすいモノだったのでしょうか?

悪魔である事も天使である事も最早どうでもいい…
怖いのは【予測不能な自分自身の心理変化】の方だ

泣きはしないが、考え込むその表情は深く沈みがちで
ダミアンは困ったモノだと頭を抱える

固い…悪魔になっても固すぎる思考、
強情さは【封印】や【洗脳】とは無関係だったな…と改めて思う

「私はね…お前が天使でも悪魔でも愛おしいと思うよ」

ブランケットごとその肩を抱きしめると、ゆっくり言葉を選んでささやく

「今までの世界は…お前の本来の力を封印する為の世界で、
弱者として服従を迫る世界だった…本来の力が戻った今
以前の世界に疑問と反感を持つのは当たり前だろね
だが【自分の世界】を取り戻したのだから…
これからは【自分の意志】で踏み出す それでは納得できないかな?」

「自身の世界?」

ただ与えられた言われた通りに【課題】を淡々とこなし、
【機械の様に従う事】で身体と心を守ってきた堕天使は
自らの意志で歩く事も、何かを決定する事にも恐れを抱く

極当たり前の行為だと言うのに… 皇太子はさらに優しく囁く

「例えば…私と初めて出会った時、お前は私を天界人と勘違いしたよね?
悪魔になった今の目で見ると、この姿をどう思う?」
「どうって………」
「違和感を覚える、そうだろう?それが悪魔としての正常な感覚だよ」

〜これは天界が大魔王家にかけた呪のようなモノだよ〜

遥かなる昔…神に反逆者した天使の一群は、そのまま地獄に堕とされた
多くの天使は堕天と同時に、悪魔の姿に替えられてしまったわけだが…
始祖ルシファーはリングを取り上げられはしたが、翼を折られただけで、
その姿は【暁の明星】と言われたそのままだった…何故だと思う?

「嫉妬と反感を煽る為だよ…」

【天使紛い】のこの姿は魔界の住人の目には目障りだ…
勿論堕天した者からは特に尚更にね
噴出した不満が始祖を始末する… 神はそう考えていたらしい

かつての反乱軍の部下達に、嬲り殺される酷たらしい最期を期待してね

ところがね圧倒的な力の差で、結局始祖は地獄の支配者になった
今ではこの姿であろうとも…大魔王に不満を漏らす者はいない表面上はね

力こそが全てのこの世界では、出自も姿も関係は無いけど
力を失えばソレでおしまいでもあるんだよ

自らの子孫にその【業】を負わせたくなかった始祖と初期の王家は
元々地獄に住んでいた魔族と、積極的に婚姻を結んだそうだけど
いくら血を重ねてもこの姿は変わらない…【神の呪】であるかの様に

「【大魔王家の悪癖】についても誰かが教えてくれただろ?」

確かにこの姿には…コンプレックスが無いとは言わない
私は悪魔なのか?天使紛いの偽物なのか?悩んだ事が無いと言えば嘘になる
だからか?どうしようもなく汚したくもなる
階級に関係なく、何も知らずに清いつもりで居る天使共を見ると特に

「最初にお前を見つけた時も、その衝動が無かったとは言わないよ」

しかし…よく見れば珍しい【混血種】じゃないか?
そして天界人には決して見えない筈の【嘆きの鏡】でお前は泣いていたじゃないか
地獄に堕とされた始祖が、あの泉に姿を映し嘆き悲しんだのと同じ様にね

何だろね…【自分が何者なのか解らない】お前の嘆きは、
私の悩みとリンクしていた…だから攫ってきた
魔界にとっては、想定外であった母上も持ち込んではしまったが…
後悔はしていないよ、お前をココに連れてきた事をね

「思う通りに生きてみたらいい、ここは魔界だ
力さえあればどんな事でも成す事が出来き、手にする事も出来る」

〜強くなればいい…誰の支配も受けなくてもいいくらいに〜

「でも…」

何かを言おうとしたルークの唇を、再び皇太子のソレが塞ぐ
逃げうつ舌を最初よりも、強く深く吸い貪りながら
スルリと下をなで上げれば、先程十分に吐き出したはずなの
にもう素直に反応する、滑稽なくらい簡単に
そして名残の残るソコを再び弄ってやり、クチュクチュと音をたてれば…
ヒクヒクと反応しながらも、真っ赤に染まる顔が愛おしい

「聞き分けが良く成りすぎた身体に関しては、
私に責任があるな…満足するまでつきあってあげるよ」

どうせ完全に【堕天】したら、私が飽きると言う話も聞いているのだろ?
普通ならそうだが…どうやらお前は違うみたいだ

「当分逃がしてあげないから、覚悟するといいよ…」

そう言って簡単に火のついた身体を再び貪られる
ああ…冷たくひえた身体が溶けてゆく…当たり前の温もりが欲しい…
永い時間求めてやまなかったモノは、直接的な肌の温かさは
視点や立場を変えれば、簡単に手に入るモノだったのだろうか?

それが例え一過性のものであったとしても…

それが哀しいのか寂しいのか解らない
解らないから、熱を求め互いの身体を貪りあうのか?
ポロリと溢れた涙もまた、床を転がり見えなくなってしまった


続く

エロ本らしくなってきたかな?
のほほほほ〜まだまだ続くのでありますよ

えっ?だって【アイツ等】がこのままフェードアウトすると思います?
するワケないでしょ?ダミ様よりきっとシツコイでしょ多分


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