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【見習い拷問官と教官】
修正前・教官様も身体をはります 一本鞭は危ないです

効果的で使い慣れているとはいえ、爪や牙の使用は禁止した方がいいだろう
放っておくと、コイツは面倒がり【備品の道具】に手をつけない
素手を使うのは特別気に入ったヤツだけで充分だ…
拷問官もまた常に危険にさらされている事に、コイツはまだ解ってはいない

「これから暫くは、素手と爪を使うのは禁止」
「え〜なんで」

局内の廊下を歩きながら、指示を出せば即刻口答え

「前も言ったろ?お前の手は別の使い道があるんだろ?
今までのと同じ様に誰彼構わず、素手で引き裂いていたら
何時かお前の手の方に傷がつく、それは困るだろう?」

流石にツマラナイ事で、コイツの手に傷を付けたくは無い

「備品は揃っているんだから、面倒がらず使い方を覚えろ
相手の属性を調べもせずに、素手でヤるなんざ100年早い」

【猫】なんだから…食えるか?食えない毒か?もとい
虜囚の【体液】が身体に対して無害か?有害か?ぐらいは解るか?
しかし…収監前に万全に身体検査をしてもなお
万が一と言う事もあるので、完全に安心は出来ない

「それと…問題はマダあるな、無駄に傷を大きくしすぎだ
処刑命令が出た収監者ならともかく、詰問中はちゃんと生かさないと…」

すれ違った局員が持ってきた書類に目を通しながら、続けると
頭一つ分違う低い位置で、ほわほわの毛玉がボソリとつぶやく

「ホント…エースって小言が長い………」
「何か言ったか?」
「いいえ、何でもありません、上官殿」

まったく減らず口だけはいっちょまえだ

クソ忙しい中、ワザワザ備品倉庫までやって来たのは他でもない
当面の練習台の鞭を、ジェイルが振りやすいサイズの鞭を探しに来たのだ、

流石に俺専用の装備では、初めて使うには無理がありすぎるからな

「まぁ…人間みたいなやり方だが、マズは振ってみろ」

備品として保管されているモノから、数本を選ぶと
馬の尻尾の様な【バラ鞭】を最初に渡してやる
握りやすい様にサイズは小ぶりだが、ズシリと重い【持ち手】の質感
実用性の高い破壊力はあるモノを選んで渡してはいるのだが

実際に使った事のない少年には、物足りなく感じるようだ
俺の腰に装備されている【一本鞭】をジッと見ると

「エースが使ってるみたいな、長いヤツがいい」

やっぱりな…この件に関しては、コイツだけの問題ではない
どいつもこいつも、必ず同じ事を言うんだよな…気持ちは解らなくは無いが
頭ごなしに「まだ無理だ」とは言わない、実際に使ってみればすぐに解る事だ

「振れるか?俺のは特別に重いぞ…」

まったく…ついさっきまで、やる気ゼロだったのに
突然キラキラした目で、見上げるじゃない
差し出された手にワザと軽々しいように、ソレを乗せてやれば
ガクンと下がる腕と、慌てた表情が…可愛らしいじゃないか

持ち手に形状自在魔法とウェイトを仕込んでいるからな、
特別に重いんだよ見た目以上にな…

まぁ【自分専用のオーダー鞭】を持つ頃には、その意味も解るはずだろう

虜囚の血と脂が染み込み、ミンク油で丁寧に手入れが施された鞭は
艶々と黒く光り、悪魔の目にも魅惑的に写るのだろう………
たどたどしく皮の編み込みを撫であげるヤツの目は、恍惚としている

やっぱり…【こちら側】だな…

そんなジェイルを横目に、備品の椅子を引っ張り出すと、
少し離れた場所に置き、的代わりの【空きビン】をその上にセットする

「ソコからコレに上手くヒット出来たら、そいつをくれてやってもいいぞ」

ぴょこんと飛び出す耳と尻尾、信じられないと言う目がコチラを見ている

「嘘…」
「嘘じゃないぞ…一発で割らずにヒット出来たらな…」

俄然やる気になったのだろう、ピクピクと揺れる耳は…
本番では締まりが無さすぎるが、今は大目に見てやろう

長すぎる鞭を大きく振りかぶる姿は、ソコソコは様にはなっているが…

そう簡単にはヒットしない…するワケが無い、そういうモノなのだ
「割らずに」の言葉の言葉に躊躇したのか、不自然にばらけた鞭先の力はなく
的どころか椅子からも外れたソレは、虚しく床に弾くだけだった

「えっ…あれ?」

傍目には簡単そうに見えて、実はコツがかなり必要
コレばかりは実際にやってみなきゃ解らない

背後でニヤニヤと笑う俺が、癇に障ったのだろう
金色の目が、キッと俺を睨み付けると、
数打てば当たる!とばかり無茶苦茶に打ち込み始めるのも計算のウチ

勢いがあれば…多少は真っ直ぐには進むが、細やかな調節は出来ない
それ以前にほら、もう息が上がって来ただろう?
日常的に使わなくていい筋肉を、かなりの頻度で使うからな
慣れないヤツが力任せに振り回した所で、まともに打ち込めるのは5〜6発

【身の丈にあっていない鞭】を振り回しても、思う場所に当たらないのだ
先端部分にかける絶妙な力加減、背筋にせりあがる反動の上手い逃がし方
その全ての条件が揃わないと、遠心力に振り回されるばかりで
あさっての方向に飛んでしまう…ただそれだけの事、

特に扱いの難しい【一本鞭】の場合はね

「これで納得出来ただろ?最初は軽いヤツにしとけ
何なら、もっと簡単なヤツから始めた方がいいか?」

と言ってエースは、拷問用とはとても言えない、
威嚇用の音だけの【平鞭】を引き出しの奥から探り出す

流石にカチンと来たのだろう、フシャーと膨れあがったジェイルは
最期の一撃とばかり、渾身の力を振り絞って打ち込みやがった

豪快に的を外すと思ったソレは、
中途半端に壁にぶち当たり、蛇の様に跳ね返ってくる

ゲッ…嘘…避けられない…

反射的に固まってしまった少年は、ギュッと目を瞑るが
あれ…振って来るはずの【痛み】が何時までも来ない
代わりに大きな手に、ポンポンと頭を撫でられる

「大丈夫か?初心者にはありがちなミスだな…」

恐る恐る目を開けると、俺に返って来るはずのソレは…
俺を庇うように差し出されたエースの腕に、幾重にも巻き付き
プスプスと白い煙が上がっていた

「ゴメン…エース…」

上手く言葉が出なくて、思いがけず手が震えてしまって
鞭の持ち手を取り落としそうになると、すかさず声が降りてくる

「おいおい、俺の大事な【彼女】なんだから、落とさないでくれよ」

そう言って笑うと、自分の腕に巻き付いたソレを
剥がすように、ゆっくりと外してゆく

「やれやれ自分の【女】に食いつかれるとはな…」

思いがけない痛みに顔を歪めながら、傷痕をみれば
鞭の痕のカタチに出来たミミズ腫れの表面が、摩擦熱とは別に爛れている
無意識にジェイルが発動してしまったフィラメントは、【炎】の属性?
悪魔に変異する前の種族を思えば、【風】か【土】の属性になると思っていのたが

〜お前そんなに俺の事が好きなのか?〜

変異系悪魔の属性は、変異直後の環境・心理状態にも左右されるらしい…
そんな話を大昔にゼノンから聞いた時は、眉唾だと思っていたが

ココまで露骨だと…逆に気恥ずかしくもあるものだな

「その怪我を早く手当しないと…」

ゆらゆらと揺れる金色の目が、泣きそうなツラで俺を見上げる

「大丈夫だ、見た目は派手だが…たいした事はない
それよりな…こういう事故は、結構有るから気をつけろ
拷問官様が自分の鞭でノックアウトされたら、様にならんだろ?」

あと耳もな…チロチロと腕の傷を舐めあげながら
エースは、こみ上げる【にやけ笑い】を我慢していた

ジェイルの属性が【炎】になりつつある事を知ったら…

仕えるべき主であり盟友でもあり、恋敵でもある皇太子ダミアンは
どんな顔をするだろう?きっと地団駄を踏んで悔しがるに違いない
それが今から楽しみだ………

「まぁそんなツラするな、最初はこんなモンだ誰でも」

俺も最初は、盛大に自分の顔面を強打したもんだ
ぽつりと呟いた失敗談が余程ツボだったのか?
ようやく何時もの元気が戻って来たようだ、やれやれ

「一人前になったその時は、最初の鞭は俺がプレゼントしてやるよ」
「マヂで」
「俺の鞭と相性が良かったんだろ?なら同じ職人が作ったヤツがいいだろ?」

炎の属性の悪魔が身につける【特殊装備】なら、
贔屓にしている職人以上の腕の持ち主は、思い当たらないからな

しかし…新人教育も楽じゃない、教官もしっかり身体を張ってます


続く… いいのかこの調子で


暫く別章を書いていたため
お休みしちゃったけど、再開してみました☆

段々清く正しい?SM講座に成りつつありますが…
適度に楽しんで、このまま?ゆるゆる?続行したいと思います
こういうノリが大好き☆な方のみ、気長にお付き合いください

一本鞭が超危なくて、御主人様・女王様が危険なのも本当です
ちなみに顔面強打は…私自身の経験だったりします ほほほほほ
故に使いこなせた時の喜びは…他の道具とは格段に違いましたね
やはりカッコイイのですよね、Sから見てもMから見てもね、
練習はとっても大事ですが…

と言ってもココで書くやり方は、全体のほんの一部分ですから
真似っ子は絶対にNGですからね、餅は餅屋にと言う事でお願いします

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あきゅろす。
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