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【見習い拷問官と教官】
【修正版】『見習い拷問官と教官』4 R-18G 教育方針はスパルタです

結局、エースの職務上の都合も有り
ジェイルは暫く【情報局預かり】と言う事になった

あくまでも、仮の肩書きを付けてやるつもりで
ジェイルを獄卒にしたダミアンからすれば
複雑な心境であろう事は、容易に想像出来たが…
背に腹は代えられないと、渋々ながら許可を出した様だ

俺が刑務所に頻繁に出向くより、越権行為にはならないだろう?
局内で全てを収めてしまった方が、より細かく指導してやれるからな…

「………コイツでいい、ココに連れてくてくれ」

持ち込んだ簡易端末を使い、画面を眺めていたエースは
予め選んでおいたリストの中から、今日の練習台を指名する
局内に収監している虜囚の中でも、もう利用価値の無い連中ばかりだ

同じ端末の別ウィンドで繋がって居る秘書官に、その旨を伝える
「解りました」と短く答えた相手が、プツンと通信を切れる

情報局の詰問室だからな…シンプルな机と椅子があるだけ
監獄の拷問室と違って、あからさまなモノは何もない
固い椅子に腰掛けたジェイルは、幾分緊張しているのか
少し不安気な様子で此方を見上げている

そう言えば…直接に俺のソレを見るのは初めてか…

まぁ…今日は「恐ろしいモノ」を見せつけるつもりはない
あくまでも、コイツに「最初の一歩」を教えてやるだけだからな

間もなく外の廊下から、威勢の良い怒号が聞こえる
全く…何時もの事ながら、取るに足らない三下ほど虚勢を張り、良く喚くモノだ
精一杯の威嚇のつもりなのだろが、喚くヤツほど簡単に墜ちる
少し遊んでやっただけで、許しを請い、全てを吐き出してしまう
堪え性もなくてつまらない…本来は俺が直接手を掛けるヤツじゃない

ノックと共に連れ込まれたのは、先程選んだ男だ
後側に両腕を拘束され、両脇から局員に押さえ込まれたソイツは
扉が開くその時まで、無駄に吠えて暴れてはいたのだが
部屋の中に俺の姿を確認すると、硬直した様に動かなくなった

魔界の犯罪者、またはソレに荷担する者が
この俺の顔と姿を、知らない訳がないからだ

言葉もなくガタガタと震え始める男を見て、エースはニヤリと薄暗い笑みを零す

※※※※※※※※※※※※※

何故自分の様な身分の者 が、こんな大物の拷問を受けねばならないのか?
楽には死なせては貰えない…見せしめにされてしまう
此方の考えも及ばない様な残忍な手口で嬲り殺されるに違い無い

恐怖の余りに、その場で腰が抜けてしまったのだろう
両脇を局員に支えられ、何とか立っては居るものの
歩く事は愚か、自力で立ちあがる事すらも、出来なくなったのだろう
結局そのまま引き摺られる様に、室内の連れ込まれた

嫌な笑みを浮かべたまま、ツカツカと男に近づくエースは
首に彫り込まれた収監Noを、念のためもう一度確認すると
既に剥き出しになっている男の胸板に手を添える

資料によれば…案件21543・計画段階で抑えられたテロリストの一味
その下っ端の一名か…追加の自白・証言の 利用価値は無いに等しい

事の成り行きを、離れた場所から見て居るジェイルを振り返り
「近くまで来い」と呼べば、するりと猫は俺の脇にやってくる

それとほぼ同時だっただろうか?
怯えきった男の脚が、生温かいモノで濡れたのは…
床に広がるソレでブーツも濡れる

良くある事ではあるが…早すぎるソレに苛立ったのだろう
赤い悪魔は一度その手を引くと、言葉も掛けずに男の腹を蹴り上げる
柔らかい肝臓の存在を、膝に感じる程に、めり込んだ一撃に
ぐもった呻きと共に、血と胃液がごぽりと口から溢れた

「いい大人が…みっともないだろう?ガキの前で………」

ボタボタと涙を流しながら、迫り上がる内容物に咳き込む男の髪を引き掴むと
近距離で 男に笑いかけるエースのその顔は、妙に優しげなのが逆に怖い…

今回の暴行の対象は自分ではない
側で見て居るだけなのに…よく知って居るはずの相手なのに…
何処か為体の知れない怪物の様にも思えて、ジェイルはぶるりと身震いをする

そうだ…あの時と同じだ、エースの髪が赤く変色した時に感じた
言い知れぬ恐怖感にソレは似ていた

更に同席している他の局員の様子を伺えば、こんな光景には慣れているのだろうか?
ストイックな程に、顔色一つ変えない彼等に対しても…不安感を感じてしま
俺が未熟だから?それだけなのだろうか?

自分に向けられるソレとはまれで違う、エースの冷たさと残酷さに
子供のジェイルは、ただ怯える事しか出来なかった…
だ から気がつく事も出来なかった、彼の恐れる悪魔が、哀れな男に一撃を入れた瞬間
その衝撃を逃さない様に、男の背中が押さえられていた事にも

※※※※※※※※※※※※※※

ぐったりと崩れ墜ちる虜囚の身体を、強引に引き摺り上げ立て直すと
エースは改めて男の胸元を探り始める
冷たい汗に塗れた肌を撫で回していた指先が、外側からソレの位置を確かめると

突然その指先が、肌に食い込んだ、しかし出血は一切していない
まるで水か?それに類似する何かに沈める様に
エースの手首全体が、男の肉体の中に吸い込まれてゆくのだ

「………良く考えてみれば、完璧にズルイ手段だよな…」

一滴の血も流さずに、ズブズブと肌の中にめり込んでゆく手
異様な 光景を見下ろしながら、男はその圧迫感と吐き気に呻く
自分が何をされているのか?下級悪魔の彼には理解出来ない

しかし…呆然とソレを見て居た男の額に、ぶわりと冷や汗が浮かぶ
突然、生物とは思えない、機械的で激しい痙攣を起こすと
足腰も立たなかった筈の男は、拘束具を引き千切らない勢いで藻掻き、悶え苦しむのだが
それも想定済みなのか、局員は力尽くで彼の身体を押さえ込んでしまう

そしてそのまま、ズルリと身体から引き摺り出されたのは
ボンヤリと赤く発光する球体、魂そのものとは違う何か…

体内から腕を引き抜けば?または、完全に取り出してしまえば
耐えがたい苦痛も少しは和らぐのだろうか
男はゼーゼーと荒い呼吸を繰り返してはいるが、静かにはなった

状況が全く解らないままに、ジェイルはエースのが握り絞めているモノを見る

ちょうど林檎ぐらいの大きさの、掌に収まるサイズのソレは
エースの手の中にやんわりと掴まれ、ブルブルと小刻みに震えている
まるで意思を持って居るかの様で、何とか逃げだし本体に戻ろうと藻掻いていた

「これが…俺達の魔力の源の【コア】だ…」

エースにそう言われて、ジェイルはようやくその【球体の正体】に気がつく
何時も拷問室の片隅に置いてある、小型の封印具を思い出した
アレは収監者の生命維持装置の一部で、後付けされたモノと思い込んでいた為
悪魔の身体から、直接取り出されたモノとは思っていなかった

「………魂とは違うの?」

恐 れよりも、好奇心の方が勝っているのか?
スンスンと臭いをかぎ、ソレ覗き込む少年にエースは更に続ける

「厳密に言えばだな…魂の一部ではあるが…魂そのものとは違うな
コレを取り出されたからと言って、スグに魔族は死なない、魔力の源と言えば妥当か?
…魔力だけを別ユニットとして、体外に取り出して奪う事が出来るんだ、何故だかな…
まぁ誰にでも出来る事じゃない、取り出し方には少々コツは居るがな」

そう言われた上で「もっとよく見てみろ…」と指摘された、何も無い筈の空間には
半透明の無数の繊維を束ねた様な?細長いコードの様なモノが、ぼんやりと光っている
そしてそのコードは【コア】と男の肉体を繋いでいた

さらに目を懲らせば…コアの周囲全体 にも同様の繊維が纏わり付き
まだ生きている男のコアを離すまいと、がっちりと掴んでいる様にも見える

「コアを取り出されると、魔力は当然無くなる上に再生能力も無くなってしまう…
どうだ?恐いだろう?根性の無いヤツはコレだけでも、洗いざらい全部吐いちまう
効率よく収監者を追い込む為に、俺達だけが許された【特権】だ…やってみるか?」

そう続けるエースが、手の中のソレを解放してやると
【赤い玉】は銀色のコードを伝い、シュルリと宙を舞と、男の胸の中に帰ってゆくのが見えた

「えっ…俺、こんな事出来ないよ………」

魂全体を奪うならともかく、魂の一部を切り取って掴み出すなんて、今迄聴いた事もない
いきなり実践を要求されて、困惑するジェイルを、エースは鼻で笑った

「拷問官になる前に、ダミアンに【印】を貰ったろう?
アレが身体に刻まれてる限り、お前にもコレを施行出来る権限がある
情報局員と獄卒だけが許された権利だ…コツさえ掴めばすぐに出来る………」

言われてみれば…魔王宮を離れる前夜に、何某かの呪を掛けてもらった様な気もする
両手の甲に何かの紋を書かれた、ダミアン自身の血で…すっかり忘れていた

でも…俺だけが悪いワケじゃない、ダミアンも悪いんだよを

自分の手元から、俺を手放す事を惜しんだダミアンのしつこさときたら
まるで普通じゃなくてさ、その期日が決まってしまうと
ベタベタと構い続け、昼夜問わずに俺を抱き続けた
公務とやらに支障が出るのでは?と此方が心配になってしまう程に

思い当たる「印」とやらを貰ったのも…多分SEXの最中だったと思う
だからソレに伴う説明なんて、されても殆ど頭に入って来なかった

ブチ切れたエース程ではないけれど、ダミアンとのソレだってかなり激しいから

その時の事を想いだして、目を反らす俺の様子に、事情を察してくれたのだろうか
エースはただニヤニヤと笑うばかりで、ソレ以上は何も聞かなかった

そのままエースが、局員達に目配せをする

取り出されたコアが、体内に戻ったとは言え、意識が朦朧としていた虜囚は
二名の会話がよく聞こえてはいなかった…が、これだけで許されるはずもない

緩み唾液が滴る口に、予告もなく押し込まれる口枷は、顎が外れてしまいそうな 代物だ
勿論舌を咬まない配慮ではなく、勝手に死なない様にする為のもの
テキパキと虜囚の拘束を追加する局員達も、慣れたモノだ
男はロクに抵抗も出来ないままに、仰向けのカタチで机の上に固定されてしまう

そうなってしまえば、彼をこの部屋に連れてきた彼等は、お役御免の様だ
「後は御随意に…」とばかりに、彼等の上官に敬礼をすると、部屋から出ていってしまうのだ

見開かれた男の目が、ギョロギョロと動き、凝視した視線がその背中を追う

………待ってくれ…ココに置いていかないでくれ…

もし彼が口を利く事が出来たなら、きっとそう叫んで懇願したに違いないのだが
呼吸そのモノすらも阻害されそうな程の厳しい枷からは、ぐもった呻きしか漏れない
必死に藻掻く彼に合わせて、ギシギシと机が軋むのだが
見た目より重いそれはビクともしなかった、そして現状は彼を待ってくれない

局員退出を待たないで、ちょこんと男の腹の上に馬乗りになったジェイルは
不安そうな目で男の顔を見下ろす、その両肩をやんわりと抱いてやったエースは
その耳にそっと囁く、勿論その下の男にも聞こえる様にはっきりと

「肉を切り裂くんじゃない、水の中の石を拾うイメージだ…さぁ…やってみろ」
「うん………難しいなぁ…失敗したらゴメンなお前」

頼りなげな瞳が、少しだけ申し訳無さそうに、じっと男の顔を覗き込む

こんなガキにやらせるだと???ふざけるなっ…助けて!助けてくれーーーっ

唯一自由になる首を激しく振り、身体に残った最後の力をかき集めて男は拒絶する
何とか逃れようと、藻掻き暴れるのだが…完全に固定されていては最早どうにもならない
最初の蹴りで鬱血した腹部が激しく上下して、乱れた呼吸と心臓の音をダイレクトに感じるが
少年一名分の体重を、腹筋の力だけで退かす事など出来る訳もない

どうにもならない絶望感が…逃れ様のない死の恐怖が…
男の思考とプライドを焼き尽くしてゆく

おねがいです、何でもしますから…どうか、どうか助けて下さい

どうして、つまらないテロ行為になどに、荷担してしまったのだろう?
言われた通りに何でも白状もするし、告白もする、だから助けて………

言葉にならない彼の叫びは、やがて嗚咽に変わるのだが
この部屋に残った二名にソレが通じるとは、到底思えなかった

先程と同じ様に胸板を這い回る指先、しかしソレは頼りなくて覚束ない…そして

ブツリッ…と嫌な音がする、今度は肌を、直接突き破る傷の熱さを感じる
体内に侵入してきた爪が何度も傷を抉り、筋肉組織を引き千切ってゆく
邪魔な肋骨と胸骨が折り取られ、その下の臓器すらも無作為に弄られる

鉄錆と脂の臭いが室内に充満してゆく………

響き渡る絶叫、枷をしても尚、封じきれない断末魔を上げ、男はただ叫び続ける…
その声帯が、肺が、横隔膜の全てが傷付けられ、すっかり抉り取られてしまっても
彼は慈悲と許しを請うのだろう…その行為が全くの無駄な行為と解っていてもだ

※※※※※※※※※※※※※※

ただ物理的に胸を切り裂き、「中」を探る事は、誰にでも簡単に出来る…
要求しているのは、それではない霊体の部分摘出だ
机の下に滴り落ちる血は、ジワジワと床に広がり
枷だけでは押さえきれない泡と血が、ボタボタと男の口から溢れだす

「これ以上切り裂いても、ソイツが死ぬだけだな…」
「感覚的に掴みにくい…待って…もうちょっとで…」

目の前で俺が簡単にこなした行為が、自分にも可能な筈のソレが
上手く出来ない事が、余程悔しいのだろう、苛立ったジェイルはムキになっていた
血塗れの体組織を引き千切り、その奧を乱暴に掻き回す

その度にヒクヒクと痙攣する男の肌は、真っ青に変色して死蝋の色に近い

ヤレヤレと頭をかいたエースは、ジェイルを手を取り行為を中断させると
そのまま彼の身体を机上から抱き下ろし、男の口枷を外してやる

激しい苦痛に噛みしめた枷には、くっきりと牙の痕が残り
唾液と吐瀉物…血に塗れている
枷はもう使え無いかもしれないな…場違いな事を考えながらも
もう自力では動けない男の首の静脈に触れると、その状態を確かめる

かろうじてまだ生きてはいるが…もう時間の問題の様だ
練習台とは言え、まだ勝手にくたばられては困る

エースは苦笑いをすると、男の傷口に手を翳し時間を止める
火炎系悪魔の属性特性として、治癒魔法はかけられなくとも
物理的な出血だけは、止めてやる事は出来るのだ

コアがまだ体内にあるんだ、もう暫くは持つだろう

「身体で直接覚えるしかないか………
おい…ちょっとの間だけガードを解いてみろ 」
「え〜痛いのは嫌だよ………」

手慣れたエースがやっても、男は苦痛を感じていた
それを見せつけられた後では、尚更に恐怖感を感じるのは当然だ
例えそれが脅しのつもりで?ワザと痛みを感じさせていたとしてもだ

ふくれっ面で見上げるジェイルの頬を撫で、エースはその顎をツイと上げる

「このままじゃラチがあかない、痛くしないから早くしろ…上官命令だ」

反論を許さない威圧的な視線に、根負けしたジェイルが
渋々ながら自身にかけた防御魔法を、ガードを解除すると
するりと大きな手が、胸元から肌に滑り込んでゆく

思わず身体を堅くして逃げ腰なジェイルを、エースは左手で抱き留めると
ゆっくりと胸をまさぐり、肌の上からコアの有りかを探る

「苦痛は無い…感覚で覚えろ、【コアの摘出】は必須技能だ…」

プツン…実際音がしたワケではないが、そんな感じが…

僅かな抵抗を押し通して、大きな固まりが胸の中央を圧迫・貫通する
身体の奥へ入ってゆくのが解る…
それがエースの手のカタチである事を、はっきりと感じるまで
僅かな時間のズレが生じたのは何故なのか?
異様な現状を直視しながらも、変にハッキリした思考で分析してしまう
まるで他悪魔事の様に………

痛みは感じない…が、酷く気持ちが悪い…物理的に切り裂かれているワケでは無いのに

何かもっと再奥の大切な部分を、掻き回され探られる形容しがたい感覚と
せり上がる吐き気と嫌悪感?そして強烈な目眩に身体が震えるはじめる

そんなジェイルの様子を見て、赤い悪魔はニヤリと笑う

「肉の器じゃなくて、魂そのものをまさぐられてるんだ…気持ちが悪くて当然だ
吐くなら我慢せずに吐いても構わないぞ、そら…コレがお前のコアだ」

ぐにゃりと奥の方の【堅い何か】が掴まれた瞬間
バチリと電流を流された様な痛みが走り、細い身体が跳ね上がった

「痛い痛い痛いッ」
「実習だからな…もう少し我慢出来るな?」

ブチブチと何かが千切れる音がして、無理矢理引き摺り出される
身体の根幹から、巨大な何かが失われてゆく喪失感…と恐怖
痛みにと不安に叫ぶ事しか出来ないジェイルを、エースの腕がガッシリと抱きしめる

掻き毟る爪が軍服の腕に食い込み、したたり落ちる血が床に落ちるのだが
前の時と違ってエースは少しも気に止めない、ガリガリと食い込むソレを敢えて受けながらも
藻掻く少年の身体を、片腕だけでで更にしっかりと抱き寄せる

「ほら…見えるか?なかなか無い機会だから良く見ておけよ………」

ズルリと濡れた何かを引き摺るような?そんな感触を胸元に感じる

汗をびっしょりかいた額にキスを落とされ
半分意識が飛びかけた俺の目の前に差し出されたのは
どうやら俺のコアってヤツらしい?
さっき、男の身体から取り出したモノとは、少し色が違う?
深紅でギラギラと光るこれが、俺自身の魔力の源?

「綺麗な色だな…潜在魔力の差の分、光り方も違う」

エースの長い指先が、ソレをそっと撫であげるのだが
不思議と恐怖は感じない、さっきの嫌悪感や不安は感じない…
最奥のソレを無理に引き摺り出され、他者に掴まれていると言うのに

「痛くしないって…言ったのに…嘘つき………」

整わない息でそれだけ言い返し、ジェイルは思い切り睨み返すのだが
もう一度キスをされ、あの悪い顔で笑われた

「まぁそう言うな…コレでやり方は解っただろ?」

エースの指がふわりと広がり、捕まえていた俺のコアを解放すると
球体は大急ぎで俺の胸に飛び込み、吸い込まれる様に消えてしまった…
気怠い疲労感は残っている上に、あんなに痛かった筈なのに…
肌の上には傷痕が無いのが、不可思議でしょうがない

「うん………」

俺に掻きむしられたせいで、血塗れの腕に捕まり、立ちあがると
もう一度、机の上に横たわる男に近づく
血を流し過ぎたせいだろうか?残っている再生能力が追いついていない様だ…
呼吸が既に細く浅い…

「肉と肉で掴み合おうとするんじゃない…もっと奥の部分だな…
お前自身のゴーストの部分で、ソイツの核を掴み上げてみろ」

自身の左腕の処置をしながらも、既に煙草をふかしている赤い唇が指示する

もう失敗はしない…ここまで直接的に指導されて、出来ないなんてプライドに関わる
それに………もう一度あの痛みを感じるのもゴメンだね

ジェイルはさっきと同じ様に男の腹に跨がると、指先に力を集中させる

切り刻まれ、肉と骨が剥き出しになっている胸部には、質感がある筈なのに
ある一点でぬぷりと手首が沈んでゆくのが解る、水に手首を沈める様に
損壊した血肉には触れずに、その下にある別の何かに…

生きた霊体は…その血と肉と同様に生温かいが…肉体のソレととは手応えは全く違う
ある程度の弾力感はあるのに、それに纏わり付く実体は無い
辿々しく掻き回し…探るその指先に、コツリと当たる堅く熱い物質

ジェイルは夢中でソレを挽き掴み、一気に身体の外に引き摺り出した

「出来た…エース見て見てっっ!!!出来たよっ」

最初の課題をこなし、無邪気に笑うジェイルの笑顔の下でゴポリと音がした…
男は盛大に血を吐きだすと、そのままカクンと動かなくなった

手加減も解らない相手に、無茶苦茶に切り裂かれても尚、男が生きていたのは
彼が魔族で、まだ身体の中にコアがあったからに過ぎない
その生命維持の最後の砦を、取り出されてしまったのだから…
当然と言えば当然の結果なのだが…

犬死にではない…刑務官の職務教育には犠牲はつきものだ
まぁ処刑予定の虜囚も捕虜も、局内にもいくらでも居るからな

ヨシヨシとジェイルの頭を撫でながら、練習台の確保を考える
コイツを一人前にするには、後どれくらい生贄が必要か…

鬼教官はスパルタな上に実戦派 中途半端なシュミレーションなどはしない…


続く


悪魔様は本当に殺しちゃっていいからねぇ…
筋金入りのS子と致しましては、少し羨ましいですわ…ボソリ…
↓↓↓↓↓
書き直しても尚羨ましいわ〜人間同士じゃこうは行かないモノね

リアルの生きた肉体でやる前に、色んなモノで散々練習しますから
最終的にはMちゃんで試す前に、自分の肉体で納得がゆくまで練習するのが普通です

S側だからって楽が出来るワケじゃない、ソコは解って欲しいかな?
人間相手の場合は、わ〜失敗しちゃった、死んじゃったでは済みませんからね

SM倶楽部の新人だった頃、先輩に指導してもらった事
自分がソコソコの手練れになった後、後輩に指導した時の事
両方を思い出しながら、このシリーズは書いているのですが

実際は、こういう風になかなか上手く行かないものですよ
特に実習を受ける側の素質と、プライドの高さに関わってくるので
その辺りはちょっと愚痴も入るので
興味のある方は、更新履歴&日記の方も読んでみてください


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あきゅろす。
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