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【見習い拷問官と教官】
【修正版】『見習い拷問官と教官』3 R-18 先生はヤバいです…

仕事上がりの後も勉強は終わらない…主の居ないエースの執務室に戻ってきたジェイルは
部屋の一角に用意された、自分のスペースに、ポフリと座り込んだ
端末はエースのソレと共用で使っているが、それ以外のモノが、ソコには積み上げられている

「この程度のモノには、一通り目を通しておくんだな、元スフィンクスなんだから簡単に頭に入るだろ?
まぁこんなモノは予備知識だが…頭に入れておけば損はない、後はいかに実戦を踏むかだな」

と軽い口調でエースは言った、彼にレベルに追いつくには必要な事なのも解るのだが
………予備知識のワリには量は膨大すぎやしない?コレ?

主には…生物学と、解剖学の学術書関連が殆どで
各属性の主要な魔族の肉体構造と特性を、図式で詳しく開設されたモノと
実物を切開した画像・映像資料が半分で
残りは極初歩的な医学書や応急手当の手順、プラス心理学の関連書籍と言った所だろうか?
属性・種族毎の価値観・世界観の差などの資料もあるようだ

学術書とは言え…徹底的にバラさた肉体の図解は、グロテスクで
見る者によっては、嫌悪感や恐怖を覚えるモノも多い類いの資料だが…

不思議とそんな感覚は沸かない…むしろその造詣に美しさすら感じる

自分で捕らえた獲物を解体した事はある
砂漠での生活を続ける上では必要な事だと、医者でもあった守り役が、手取り足取り教えてくれたものだ
ソレを食肉として、市場で売る為に皮を剥ぎ
腐敗を遅らせる為の臓器の抜き方、血抜きと処置は、元々完璧にマスターしているのだが

その行為自体に特に何かを感じた事もない
溢れ出す血と廃棄部分の始末が、面倒で煩わしいとすら感じていたから
身体の中身まで…じっくり眺めた事はなかったのだが

こうやって改めて学んでみれば…持って生まれた身体の部分に、不必要なモノなど何も無いと言う事はよく解る
そして、速やかに相手を殺しトドメを刺す事と、相手を殺さずに生かす手法は…表裏一体である事も

実戦の参考にもなる、図解や映像資料は、比較的興味を持って眺められるのだが…

理論的なモノ…価値観的・世界観的なモノの習得の方には、少々骨が折れる
魔界の生物はその姿も様々で、同じ属性や魔力レベルでも、その特性はバラバラだが
文化的なモノとなると…さらに細分化されてしまうのだ
本格的にソレを理解しようとすれば、その資料が多岐にわたってしまうのも、やむおえないが…

課題の多さには、やはりゲンナリする

幸い悪魔より学習能力が高い魔神であった自分には、「習得」は困難な事ではない
その気になりさえすれば、たやすく頭に入ってしまう筈………と解っていても

寝ても覚めても、仕事の事ばかりでは、いささか辟易としてくるのも仕方がない事だ

それでも【出来ない理由】を考えるのも時間の無駄だ
必要以上にエースに弱味を魅せたくはない、俺にだって意地はあるから

来客用のソファの上にコロンと寝転びながら、取り出した図解のページをぱらぱらとめくって居ると
不意に大きな影に、照明の光を遮られて、ジェイルは書籍から顔を上げた

何時の間に部屋に戻ってきたのだろうか?それとも自分が少し疲れているのだろうか?
足音どころか気配すらも感じさせずに、すぐ側にやってきたエースが
ご自慢の長身を屈めて、じっと自分を見下ろしていた

「少し顔色が悪いな…根を詰めるは結構だが、適度な息抜きも必要だな………」

そのまま俺の頭撫でてくる手が、妙に温かく心地良く感じる…ガキ扱いされるのは嫌なはずなのに
多分だけど…この時は相当に煮詰まっていたのいかもしれない、自分では気がつかないうちに

※※※※※※※※※※※※※※

その後だった…藪から棒に「チェスをしよう」とエースに誘われた

「ルールは知っているか」?と聴かれて、俺は「勿論知って居るよ」とは答えたけれど
コレって何か仕事に関係があるのかよ?と言うか?本当にただの息抜きなのだろうか

ソファに設えられたテーブルの上に、盤を出されて駒を並べられても
相手がエースなだけに考えてしまう…コレにも何か意味があるのか?と

勝負が始まっても、特に仕事に関する話も、重要な話は出てこない
むしろ?敢えて仕事の話を避けているかの様な、とりとめのない会話の中
少し奇妙な程静かに、淡々とゲームが続くのだが………
場の駒が減り、ジェイルの敗色が見えてくると
駒と盤に目を落としたままのエースは、柔らかくジェイル問いかけてきた

「そうだな…お前は、自分の仕事で一番大事な事って何だと思う?」
「いきなり何だよ…やっぱり手加減と技術?」

ある程度予測して居たとは言え、唐突に問いかけられた初歩的な質問に、ジェイルは、模範解答の様な返事を返す
白のクィーンの駒を弄び、頬杖をついたままの彼は、少し不機嫌な様だ

最初からゲームに集中出来ないせいか、自分のペースが上手く掴めないのだ
それに手が詰まり追い詰められて、敗色の濃くなったゲームだ、愉快な筈はない

「確かに模範解答だな、それは…だが現場で通用する、本質的な回答としては不正解だ
重要なのは対象者に対する【愛情】だ、お前自身が如何に奴等を愛せるかだな…」

本気か冗談なのか解らないエースの返事に、ジェイルは更に不機嫌な口調で答える

「痛めつけてる容疑者に対して愛情???意味わかんないんだけど…」
「だからお前は、まだまだお子様なんだよ」

摘まみ上げた黒のナイトを進めながら、エースはニヤニヤと嫌な笑みを零す

「例えば、ココにAと言う主犯格の容疑者が居るとしよう………
コイツは反逆者で、数々のテロを企て実行もしているが、証拠を決して残さない
実行犯は別に居て、本星のコイツはノラリクラリと逃げ回り、絶対に尻尾を掴ませない
しかも社会的な身分もそれなりに高い…迂闊に別件逮捕も出来ない状態だ
そんな場合、ジェイルお前ならどうする?」

白のクィーンが、黒のナイトを取るためにさらに動くのだが…
ソレが罠である事にジェイルは気がつかない

「どうするって…ひたすらボロを出すチャンスを伺い、ソイツに張り付くしか…」
「御明算…その課程は、女を口説き落とす時と、同じだと思わないか?」
「えっ?」

白のクィーンが移動が移動した事により、開かれた道を密やかに進む黒のビョップ

「容疑者が次にどんな行動にでるか、どんな手段を考え、思いつくか…
ソイツの立場と地位、状況に合わせた心理状態になりきって考える
相手の先手を打って裏をかき、先に行動を起こしジリジリと逃げ道を塞ぐ
ソイツとその事件の担当になったら、明けても暮れてもソレばかり考える…」

黒のビショップの奇襲攻撃、白のキングを一気に詰める

「それって【恋愛ゲーム】と同じだろ?ほらチェックメイトだ」

元々敗色が濃厚だった上に、途中からエースが仕掛けてきた、揺動作戦にも乗ってしまった様だ
思考を攪乱され、あっと言う間に「ゲームオーバー」になってしまったが…悔しさは感じていなかった
若いジェイルは、エースの問題発言の方に興味が有ったからだ

「つまり…鬼の情報局長官様は、犯罪者・容疑者に【恋】してるって事?」

「ああ…俺の所にまで、わざわざ上がって来る対象者は
優秀なウチの局員の手に負えなかった、とんでもない【じゃじゃ馬】ばかりだ
手強さは半端じゃないから、何時もベタ惚れだなドロドロに」

確かに…そう言われてみれば、その主張も解らなくも無いけど…
それって普通の【欲情】とか【恋愛感情】とはまた違うんじゃ?と考えるのだが
戸惑いの表情を見せるジェイルの様子に構う事なく、エースは更に持論を続ける

「だが…時間をかけて追い詰めて、ようやく墜として手に入れれば
すぐにお前等【獄卒】に取り上げられてしまう…
俺の【愛】は何時も片思いのまま、成就はしないのさ………」

大抵の場合は【処刑による死別】でTHE ENDだからな…
そう言ってエースはクスクスと笑った、氷の様に冷たい笑み、凶悪すぎる面で

最初から解ってはいたけど、【悪魔の思考】ってちょっと独特?だよね???
俺も【スフィンクス】としては…はみだし者で、問題児の自覚はちゃんとあるけどさ

核心的な部分でのぶっ飛び方は…生粋の悪魔の方が相当上だよね…

「変態………」

思わず口に出てしまった言葉すらも、赤い悪魔は鼻で笑った

「何とでも…だがお前の仕事も、俺のソレとは少し意味違うが…根幹部分は同じだぞ」

負けたままでは勝負は終われない…と、カチャカチャとチェスの駒を並べ直す俺の手を
背後からふんわりと抱きしめられてしまう、何時の間に背後に回ったのか?

「一番大切なのは、担当の虜囚を、偏執的に愛する事だな
何処までやればいいか?何処まで相手が耐えられるか?ソレを見極めろ
なに…監視映像もあるだろう?四六時中一緒なのと同じなんだ
注意深く観察すれば、自ずと見えてくるだろ???そいつのクセと耐久性が
全部じゃなくていい、気に入ったヤツだけでいい…マズはそこからだな」

無遠慮に腰に回ってきたエース腕につかまりながら
すぐ目の前で、赤い唇に愛撫される自分の右手を、指先を、ぼんやりと見つめる
背中を駆け上がるざわめきは…もっと違う場所を触って欲しいから?だろうか?

性感帯を刺激されているワケではない、ただ指先をしゃぶられているだけなのに
何でこんな事で、感じてしまうのか解らない…たった数回寝たくらいで何で?

※※※※※※※※※※※※※※

別に悪魔に抱かれたのは、エースが初めてなんかじゃない…

砂漠に居た頃は…男でも女でも構わなかった、抱く抱かれるも関係ない
同族から隔離されて、孤独で寂しかったから…確かな温もりが欲しかったから
例え相手が他族でも、気に入ったヤツなら問題ない、熱を解り合う事に躊躇などなかった

俺から誘えば…断られた事なんてない、悪魔のセフレが幾らでも居た

養い親でもあった、ダミアンだってそうだ………
何時だって優しく抱き締めるばかりで、俺が嫌がる様な事をされた事も無いのに

だから…こんなにも自分本位の男に、俺の方から惚れてしまうなんて、絶対に無かったはずなのに

何故だか…この赤い悪魔には弱い

こうして思わせぶりに抱き締められると、それだけでも、身体の芯が途端に熱くなる…
多少の無茶をされても構わないから、強く抱かれたくなる、彼が欲しくてたまらなくなる

こんなおかしな感覚と感情を持ったのは、多分エースが最初だと思う………

最初の出会いこそは最悪最低で、殆ど強姦状態で乱暴に抱かれた

それまでは…他の相手には、俺の虚弱な体質を気遣われていたのだろう
どんなヤツにも、壊れ物の様に大切に扱われ、優しくされた事しかなかったのに
突然やってきた彼は、そんな事は一切お構いなしで、無茶苦茶だった…

俺が生まれるずっと前に、魔神と悪魔の戦争があった事は知ってるけど
まるで、その昔話に出てくる方の「悪魔」のイメージそのものだった

ロクに状況把握も出来ないままに、獣か何かの様に捕獲され、鎖で繋がれた
触れてはならない砂漠の禁忌・魔神である事も、ダミアンの養い子である事もエースには関係なかった様だ
そのまま失神してしまうまで、グチャグチャに犯された時は…ただ怖いばかりで
抵抗も出来ずに、泣き喚く事しか出来なかったけれど………

その後の顛末を考えれば…その行為もチャラにするべきなのだろうな

同族に命を狙われていた自分を、守ってくれたのは事実で
そして…その【圧倒的な強さ】に焦がれてしまったのも、自分なのだから
例え対戦相手との圧倒的な力の差から来る、余裕であっても
戦闘中に俺の宝物・機材にまで、気を掛けてくれた気遣いは、素直に嬉しかったから

最初はそんな感じだったから…自信過剰の嫌な奴かな?とも思っていたんだけど

行動を共にしているウチに解ってしまった、威圧的なのは表面上の雰囲気だけで…
本当は誰よりも面倒見が良いのだ、それにダミアンとはまた違う、兄貴体質で優しい

勿論…保護欲を爆発させる相手は、極限られているみたいだけど

エースを良く知らない奴は、表面上しか見ない奴等は、残酷無慈悲の極悪悪魔だの、冷血漢の言うけど…
そんなのは、役職と仕事ぶりのイメージから来る誤解だよ…

自分だって職務に忙しくて、睡眠時間もロクに確保出来ない時もあるくらいなのに
面倒で厄介な筈の俺の教育指導を、他の奴には任せないのは…
エースが必要以上に俺を気に掛けてくれているから…それくらい俺にだって解ってるよ

確かに俺に対しては、ちょっと口五月蠅くて、鬱陶しい時もあるし、指導が厳しすぎて、おっかない時もあるけれど
教育係を引き受けた責任感からだけじゃない…情が籠もった言葉には、感謝はしているんだよ俺なりに

気恥ずかしいから、それをエースに直接言う事は無いし、つい口答えしてしまう事も多いけれどね

だから…コレ以上俺の事で、忙しいエースに迷惑を掛けたく無い、勿論ダミアンにも
出来うる限りに【早く独り立ち】をしてしまいたい、一人前の悪魔になりたかった
特にエースの前では【甘えたガキ】のままでは、居たくなかった
早く大人になって、対等な関係に、存在になりたかった

例え砂漠で宣言した通りに、素手で彼をブン殴る程に強くなれなかったとしてもだ

※※※※※※※※※※※※※※

エースの赤い唇は…満足するまでジェイルの指先を舐め回すと
その手の甲をなぞり、じれったいくらい緩慢な速度で腕を移動する
ようやくソレらしい場所に…肩から首筋にキスを落として、良い場所を探りはじめる
同時に胸元に滑り込んできた指が、胸の突起をやわやわと刺激してくるので
ジェイルは堪らずに小さな悲鳴を上げる、その吐息には既に熱が籠もっていた

よろける少年の身体をしっかりと支えてやりながら、エースはその耳元で囁いた

「まぁ…お前はまだ見習いだからな…収監者の選り好みはまだ出来ないか?
取るに足らないヤツも、気に入らないヤツも、相手にしなきゃならないだろう?
そいつ等は…唯の練習台だと思っておけばいい、その後の本命の為のな
気の乗らない時の手の抜き方も、ちゃんと教えてやるよ…
だから気に入ったヤツと当たった時は、時間を掛けて愛してやればいい
必要な情報を聞き出した後は、虜囚の処分は自由だからな…この特別監獄はな
尋問中に殺処分する権限はあるが…すぐに殺してしまうのは勿体無いだろ?」

そのまま、鋭敏になった耳と首筋を重点的に、じっとりと舐め上げてやれば
ビクビクと震える細いうなじが、ピンク色に染まってゆく様が、堪らなく色っぽい

おっと…見習いでも拷問官だからな、半端な場所にキスマークは【威厳】を損ねるか…
痕を付けないように注意しながも、ワザと音を立てながら強く吸ってやる
ココを攻められるのが大好きだろ?解りやすいヤツだよ、お前は…

だが…それも「注意深い観察による理解」のウチだな…物覚えのいいお前なら解るだろ?

「殺しの達成感じゃない、他者をいたぶり、嬲り上げる感覚と快楽を覚えろ…ジェイル
何…お前は本質的には【猫】なんだから、その素質は充分にある…難しくは無いからな」

「………そんなモノなのかな………」

殺伐とした俺の指示に、ようやく答えるジェイルの声は、欲情に濡れている

全くこんな時だけは、驚く程に素直で、可愛いヤツだよお前は
物欲しげに、俺を見上げる目にそそられて、その唇にキスを落とす
貪る様に舌を絡ませて答えてくるのが、愛おしくてたまらない
絡みつく舌の感触を楽しみながら、下肢に触れてやれば…触って欲しかったのだろう
既に勃ちあがったソレの熱が、じんわりと俺の手にすりよってくる

「なんだ…欲求不満だったのか…」
「そういうワケじゃないけど………あっ」

このところ俺もオーバーワーク気味で、此方の方は構ってやって無かった
コイツも課題をこなすのに必死で疲れていたのだろう、自分でする気力も無かったか?
温もりに飢えきった身体は、ちょっと触ってやっただけで過剰なまでの反応する…相当溜まってるんだろう?
まぁいいさ…息抜きとご褒美も兼ねて、たっぷり可愛がってやるまでだな

長い指先がジェイルの前をやんわりと包み、扱き上げる
格納しておけなくなったのか?スルリはみだす尻尾と、獣のソレに変化してゆく耳の柔らかさに苦笑しながらも
大きく変形したその耳を、更に丁寧にしゃぶってやれば、ボフリとふくらむ尻尾は正直だ

俺の手のなかでひくついている、まだ生長期のソレも一緒だな

多少種族は違ってもコイツは元々享楽的だ、ツマラナイ恥じらいや意地で、我慢など出来る筈もない
あっけない程に、簡単に一度目の熱を吐き散らして尚、更なる刺激を強請りくねる様は酷く淫らだ

吐き出したソレを後ろに塗り込み、更に手持ちの潤滑剤を足してやりながら掻き回せば
内側はまるで別の生き物の様に熱くうねり、俺の指に絡みついてくる

「ひっあっ…あああっん」

髪を振り乱して啼き、悶える様は、間違い無く完全に悪魔だ…身体だけはな
生粋の悪魔より、エロに生き物に成りはてているクセに
精神面が何時までも魔神のままで、悪魔になりきらないのは何故なのか?

血液交換による転魔は…人間の洗脳の様な生やさしいモノではない

肉体的な変化だけには留まらない、血液と一緒に体内に取り込まれた【黒い毒】が
精神面や価値観にまで食い込み浸食してゆく
当魔が望む望まないに関係無く、短期間で悪魔らしい思考にチェンジしてゆくのが普通なのだが
どうにもコイツのソレは…染まりきっていない様に感じる
元々魔界の生き物で、堕天使共の様に、その変化が解りやすいワケでは無いにしてもだ

ここ数日間、さして重要ではない虜囚を宛がい、コイツの様子を観察してはいるが

拷問官の職務を恐れているワケでもなく、センスが無いワケでは無い
むしろ審問中に無意識に見せる薄暗い笑みは…間違い無く【此方側】のモノだ

しかもソレは血と殺戮を好む、一般的な悪魔が持つソレとはまた違うのだ
もっと徹底的に歪んだモノだ、命を弄ぶ事に快楽を感じる者の目だ…

自らの姿に近い者…いや完全なる同族であっても、傷付ける行為に躊躇を持たない
むしろソレ喜びを感じる、加虐性癖者のモノだ…完全に

場合によっては、自分の肉体や立場すらも犠牲にしても構わない
刹那的で狂った快楽を、渇望するレベルの攻撃性をキチンと持っている予兆すらある

これは同等の性質・資質を持つ者や、真逆のソレを持つ者にしか解らない独特のカンだ

そして…おそらくソレは、転魔の影響ではなく、本来魔神が生来から持っている気質なのだろう
………にも関わらず、コイツは未だに加虐行為を楽しもうとはしない…それは何故か?

行為その物に嫌悪感を持っているワケではない
ソレを施行する自分自身の在り方に、未だに疑問がある様だな…

かつては…その短い寿命を憂い、日常的に死の影に怯えていた、その影響もあるのだろう
完全に悪魔に成るためには、必要な職務と頭では解っていても
ソレを喜ぶ自分自身に、強い抵抗感を感じているのだろう
無意識下でストッパーを掛けている様にも感じる

それがお前なりの【砂漠の民】のモラルだと?慈悲深さだと言うのか?プライドなのか?だとしたら失笑モノだな…

ダミアンから聞いた話では、魔神もまた血を好み、公開処刑の娯楽を持つと言うではないか
俺から言わせれば、悪魔を低俗呼ばわりする連中の文化も、さほど差があるとも思えないのだが

まぁ理由は何でアレ…今のお前はもう魔神ではない、完全に変異悪魔なんだ此方側のな

以前の価値観が、どうしても打破出来ないと言うのなら、切り崩してやるまでだ…
じっくり調教してやるさ…闇の色に染め上げてやるさ、この俺がな

潜在的な加虐癖に自覚が持てないなら、それを認めたくないのなら
詰問室に特大の姿見を付けてやろうか?浅ましくてエロチックな姿を楽しめる様に
血塗れでねっとりと笑うお前の自身の姿を…キチンと自己認識出来る様に

「エースぅ…もう、もう嫌だ…ちょうだい…そんなんじゃ足りない…」

腕に巻き付いてくる尻尾が、縋る様にその先を求め絡みつく
哀願に答える様にくねる腰を撫で回し、すっかり柔らかくなったジェイルの後ろを慰めてやれば
塗られたモノの助けもあるのだろう、本数を増やした俺の指を、難なく受け止めると
くちゅくちゅと卑猥な音をたてながら、完全に泣き濡れていた

俺のナニが欲しくてたまらないか…指先の動きに合わせて悶える痴態に思わず喉が鳴る
抱き寄せていた痩躯を、そのままソファに押しつけると、スラックスを一気に下ろしてしまう

コイツの甘ったるい声で既に勃ちあがったソレを、その入口に宛がってやれば
それだけで興奮しているのか?それとも期待か?ブルリと震える感触が伝わってくる
全くド淫乱な猫だ…相手がその気なら、俺も手加減をしてやる必要は無い
少し乱暴に尻尾を引っ張り上げると、昂ぶるソレを背後から一気に中に叩き込む

「ーーーーっ」

ジェイルが大きく身悶えるその振動が、伝わってしまったのだろう
テーブルの上のチェスの駒が、バラバラと床に落ちる

少しばかり性急すぎたのか?声にならない悲鳴を上げて、猫の背が反り返るのだが
女でも受け止め切れない事のあるソレを、小さなソコはがっつりと飲み込んで離さない
多少の軋みはあっても、構わず中を強く突き上げてやれば…最初こそは苦しげな声を上げながらも
直ぐに俺のモノに馴染んで順応してしまうのだ…そのクセ、どれだけ身体を重ねても、緩んでしまう事もない

ダミアンがコイツに執着したのも解る…滅多にお目に掛かれない極上の身体だ
魔界全土を探したとしても、コレ程に具合がよい猫は、早々お目に掛かれないだろう

ゆるゆると、内側の好きな場所を刺激してやりながら、腕の中で喘ぐ相手を見下ろしエースは考える
ジェイルの転魔の状況を反芻しながら、フッとある事に気がついた

そうだ…コイツは【闇の力】が足りないのだ…ダミアンの血で転魔したワリには…
天然気質だから?だけではない、例え生来の残虐性や加虐癖があったとしても
コイツの魂の根幹が、恐ろしく無垢で、黒く汚れた部分が極端に少ないのだ
温室で甘やかされ、大切に育てられた、子供の乳臭さが抜けきれていないのだ…

それに…ダミアン自身が無意識に手加減もしていたのだろう、あの大騒ぎの転魔の儀式の中ですら…

アイツが他者に血を分け与える時、特に相手を他族から強制的に転魔をさせる時は
それに伴う相手の都合や苦しみ等は一切考えない
その魔血に一番濃厚な悪魔の黒い気練り込んで、一緒に流し込むモノなのだが…
ジェイルの時は違ったのだろう…その行為に躊躇があったのか?あの馬鹿皇子にも

魔神から悪魔への転魔など前例がない、万が一失敗した場合に備えて…
極力余剰な負荷を掛けたく無かったのだろう、コイツの虚弱体質の身体に

そのそもダミアンが望んでいたのは、ジェイルが親神に進化する事の阻止であり
コイツの擬態ままの姿を、現状維持をしたいと言う気持ちの方が勝り
ますます黒のエナジーの注入量が、抑えられていたとも考えられる

だが…無事に悪魔が変化した以上は、そんな甘い事も言っていられないだろう?

今後は悪魔として生きるのであれば、魔力の強さだけでは駄目だ
同時に相手を出し抜く悪意も、計算高さも必要だ、小ずるさも美徳のウチなのだ
潜在的な精神の暗闇も、腹黒さも持たなければ…直ぐに足下を掬われてしまうだろう

「ジェイル…明日のスケジュールはどうなってる?」
「……そんなの、今聴かれたって、解らない………」

俺の与える快楽を貪るコイツに、そんな事を聴くだけ無意味か…
ソファにしがみつくその手を引きはがし、後ろに楔を穿ったまま、強引に身体の向きをかえる
流石に痛かったのか?ジェイルはぐもった声を上げるのだが、エースはそれにも構ってはやらない
細い腰を更に引き寄せ、両脚を押し広げると、息をつく事も許さずに、敏感な中心を揺さぶり続ける
折り曲げた身体のさらに深い場所を、抉り上げてやれば、もうマトモに言葉も紡げないだろう
強すぎる刺激に泣き喚く猫を、緑の瞳が見下ろし愉快そうに笑う

「明日の訓練は、全部キャンセルしていい…ちょっと試してみたい事があるから付き合え」
「………試してみたい事?」

それって何?その言葉は続けられない、何をするつもりなのかも、答えてもらえなかった

最早自分で動くのも気怠い、上半身を抱き起こされると、有無を言わされずに唇を深く重ねられる…
喉をこじ開けてて、中に流し込まれるのは…熱を感じるねっとりとした何か…
それが膨大な質量の「闇」の気だと解り、ジェイルは思わずその金の瞳を見開いた

もう身体は半分悪魔に変異している、完全に魔神だった頃の様な、強い拒絶反応は…当然無いのだが…それでも受け止め切れない
まるで強すぎる原酒の様なソレに、強烈な刺激と圧迫感を感じたジェイルは、あまりの息苦しさに、上手く飲み込む事が出来ない
それでもエースは許してはくれない、咳き込み嘔吐く俺の頭を引き寄せると、口の中を更に貪る

「ふっ…んんんっ…んっぐっ……」

堪らずに爪の伸びきった手が、何とか相手を押しのけようとするけど
軍服に掴まる事は出来ても、爪を立てる事は出来ない…防護結界は完璧なようだ

そのまま震え藻掻く身体を、片腕だけで固定され、抱きかかえられると
容赦なく下から突き上げてくるのは、未だに俺の中に入ったままの熱い楔…
嘔吐き苦しむ俺を見て喜んでいるのだろうか?
何時もより大きく感じるソレに、グリグリと中をかき混ぜられて、責め立てられて…大粒の涙がボロリ溢れる

『ほら…無理にでも飲み下してしまえよ…ジェイル、俺の闇なら喰えるだろう?
ちゃんと出来たら、もっ良くしてやる……』

舌を嬲るエースが、心音でそう言ってくるけど、マトモに答えられない
この強引な行為が痛いのか?息苦しいのか?気持ちがいいのか?もう自分でも解らない
みっともない程に、ボロボロ泣いているから、ぼやけてしまった視界の向こうで
嫌な薄笑いを浮かべた目が、じっと俺を見て居る…

※※※※※※※※※※※※※※

煮詰まったコイツを休ませたくて、息抜きのつもりで抱いてやったのだが…

下準備もせずに、成り行きで「闇」を移植した事には、やはり問題があったようだな
過度に供給された「毒気」に当てられたのか?ジェイルは、酷く消耗してしまった様だ

それとも?久しぶりに下に銜え込んだ俺のナニが、気持ち良すぎたのか

早々に意識を飛ばして果ててしまった猫には、ぐにゃりと俺に頭を預けてへたばっている
その身体を抱き締めてやりながら、エースは、その魔力波動の変化をじっくりと観察する

未だに属性が定まらず…あやふやな気配はそのままなのだが
魔族としての闇の力の方は、少しだけ補填され、強化された様にも感じる

心拍数は、変にに乱れてはいない…拒絶反応も許容範囲だが
少々飛ばしすぎた、流石にキツかったか???
少しばかり反省した俺は、ほわほわの猫毛を撫でてやる、
元の種族を考えれば、やはりそう簡単には、悪魔になりきれないか…

「無理に起き上がらなくていい、目眩が治まるまで、そのまま休んでいろ
少し無理をさせすぎた様だからな………」

完全に堕ちてはいない様だが、自力で動くのには、まだ辛いのだろう
パタパタと耳だけで答えるジェイルの頭を、もう一度撫でてやりながら
エースは取り出した煙草をふかすと、その紫煙が登る先を目で追った

※※※※※※※※※※※※※※

ちゃんと目を開けて答えたいけど、目蓋が上手く上がらない程に消耗していた

結局…何だか解らないままに、好きにされちゃったけでど、あの後も散々啼かされ続けたけれど
流し込まれたモノが、身体の中で燻ってる感じがする…コレが悪魔が持つ「暗闇」なのだろうか?

転魔の瞬間…一斉に俺の中に入ってきた、ダミアンの血とは、また違う感じがする

全く異質なモノだった俺の身体を、強引に作り替え、組み替えてゆく様な、激痛は無いのだけれど…
じりじりと熱い…火傷をするか?しないか?のギリギリの温度のソレが、俺の内側にすべりこみ
ゆっくりと細胞の中に溶け込もうとして居るのを感じる…まるで真綿で首を絞められる様なそんな気分だ

それなのに…何故だかあまり不安感を感じない、危険な毒だと解っているソレを、受け入れようとする理由も解らない

朦朧とする意識の下では、それも上手く考えられ無くて
肌に感じる温もりに、抱き寄せられた胸板に、ただ寄り掛かる事しか出来ないなんて
我ながら情けないよホントに………こんな調子では、どれだけ時間が掛かるのだろう?
エースと対等の立場になれるまで、いや…そこにまでたどり着けるのだろうか




続く


加筆して尚、エース兄さんの職権乱用気味は、御健在ですな…

以前と大分変わりすぎじゃない???と思われるかもしれませんが
『廃城の砂猫』を書いた後だからコソのアレンジと、受け止めて頂ければ幸いです

スフィンクスの審判シーンで…泣き叫んでいた仔神が
生身を傷つける事を、厭わなくなるまでを
生来の残虐性を爆発させる様になるまでを
少しじっくりと書きたいなぁ…等と考えてます

悪魔様だから何でもありではなくて

故に心理描写の変化などに、ちょっとクドイ部分が出てくる事になると思われます
その点におきましても、読者様の御理解を頂けると助かりますm(_ _)m

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