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【見習い拷問官と教官】
『廃城の砂猫』12 赤髪 R-18 A×J 微妙に暗黒設定有り注意

垂れ下がる赤い髪…、赤い髪が揺れるている
飽きもせずに俺を抱き、中を貪る悪魔のソレを見ていると
何故だか、急激に酷い頭痛が始まり、痛くてたまらない…

もう…俺自身は、進化してしまう事に、諦めを感じているのに
この悪魔ときたら、まだ諦めるつもりは無いみたいだ

唐突に?魔力のレベルを上げる?だか、何だか言われて
俺を組み敷いたままの男の髪は、目の前でゆっくり変色していった

漆黒の闇の色から深紅に…

身体の一部が変質・変化するのなんて、魔族なら当たり前の様によくある事
変色と同時に、膨れあがった相手の魔力レベルに、少しは驚きはしたけど
途端にドクリと心臓が大きく脈打ち、何故だか急激に頭が痛くなった…
羽化の影響?いや…そんな話は聞いた事が無い…ズキズキと脈打つのは何故?

「うぁ…ふぁ…あああっ…あんっ」

そのまま床の上に組み敷かれて、行為を続行さても、もう抵抗する気も気力も無い
逃げられない以上、無駄に抵抗したって、無理矢理ヤられるだけだ… 
それに…もう間もなく、この身体ともお別れなら、
最後の行為くらいは、楽しんでやるつもりだったけど…痛みで集中出来ない

喘ぎ声に入り交じる、俺の苦渋の声と、頭を抑える仕草に気がついたのか?
「何だ?辛いのか?」と相手に聞かれ、頬に首筋をねっとりと愛撫されたけど
「何でもない…何だか変に頭が痛いだけ…」と、力無く答えて横を向けば
「そうか…」と短く答えただけで、行為を止めてくれる気配は無い様だ

むしろ…そんな痛みなど、快楽で忘れさせてやるとばかりに
俺の片足を高く持ち上げ、股関節を限界まで押し広げてくると、
此方の都合などお構いなしに、更に奥の方を嬲り突き上げてくる
折り曲げられ、無理な体勢を取らされる俺は、必死に絨毯にしがみつき爪を立てて呻いた

いくら相手が、力の差がありすぎる上級悪魔とは言え
出会ったばかりの相手に、ここまで好き放題にされている自分が、
情けなくて…悔しくはあるのだけれど………

中が熱い…熱くてたまらない…

コレが最後と思っているから?なのかな?
強引で荒っぽいのに、妙に優しくもある、相手の手練手管に溺れているのか?

気がつけば…俺も、俺の身体も、快楽を貪る道を選択していた

風呂場やベッドで加えられた、殆ど暴行に近いソレに比べれば…
多少は?気を遣ってはくれているみたいだけど…
じっくり丁寧に愛撫されて、気持も良くはなっているんだけど
震える太腿を、大きくていやらしい手に、さわさわと撫で回されると心地良くて
柔らかい身体がたまらないな…と囁かれ…前を握り絞められ、刺激されれば
気持なんてなくても、身体だけはビクビクと、簡単に反応してしまうのだけど…

具合が悪くて弱ってる俺に、興奮してるんだろ?アンタも?どうせさ?
内側をえぐるソレは、さっきよりも強くて熱いから、直ぐに解るよ

魔神も悪魔も関係無いんだな…ココは弱肉強食の魔界だから
捕らえた獲物に対して、捕食者が過剰に興奮するのは本能、その逆もまたしかり

もういい加減、中を抉る相手の大きさに、慣れてしまったから…苦痛ばかりじゃないけど
最後の相手が、馴染みの相手じゃなくて、突然やって来た強姦魔になるとは思わなかった
何処か釈然としないけど…行為の最中に俺が成体になっちゃったら…どうするんだろう?

同族ならともかく、他族のアンタにとってはマニアックもイイ所じゃん
ぼんやりと、そんな、どうでも良い事を考えているけど…
頭痛と目眩はやっぱり止まらないや、何なのかなコレ…痛い…最後までついてないや

※※※※※※※※※※※※※※

「平たく言えば、馬鹿だな…お前、いやお前の一族全体がか?」

別に悲壮感に酔ってたワケじゃないし、間違っても同情して欲しいとも思わないけど
ぶしつけに何を言い始めるんだよ、このド鬼畜の不法侵入者は…
流石にムカついた俺が、ギロリと相手を睨み返すと、赤い悪魔はヌケヌケと言い放つ

「最初から、お前の望みは、解りきっていた事じゃないか?ソレが弾きたいんだろ?
これからもずっと?だから、あの無駄にかさばる、デカブツの身体に成りたくない
それだけじゃないか?ソレの何が悪い?そんな単純な事で、愚痴愚痴グタグタ、悩みやがって……」

そりゃ「極論」はそうなんだけどさ、アンタに俺達の何が解るのさ?
そんな簡単に、無神経に言うなよ…そんな理由で【親神】になりたく無いなんて、言えるワケないじゃないか
俺もスフィンクスなんだから、ソレがどれだけ【非常識】かぐらい解るよ…

ギターをギュッと抱えたまま俯くジェイルに、エースは更に畳みかける

「大体さ、何でお前等は、成体になっちまうと、もう小さく成れないないんだよ?
ソコがまずおかしいだろ?魔力レベルは、俺達、上級悪魔と同等なくせに?」

下級悪魔ならともかく、中級以上の悪魔と同等の魔力を持つ者なら、姿を変異させる事も
その質量すら自由に変える事が出来て当たり前だ、お前等に出来ないワケないだろ?
心理的な問題の方が大きいんじゃないか?デカブツ至上主義的なコンプレックスか?

仮にだ…その器官が、進化で破損してたとしてもだ
魔術・服薬でもいい何とか出来るレベルだろ?自分の身体を縮める事くらい?

俺達悪魔より歴史があって、賢いってのが、お前等の売り文句じゃないか?
何でその程度の事が出来ない?と言うか?その手段が開発されないんだ?
俺はその事も方が、遙かにおかしいと思うのだがね?

【親神】になってしまってから、身体を小さくする手段を考えるだって?
無茶言うなよ…と反論しようとしたけど、そうだよね?
何でその方法が、今迄考えられ様とは、しなかったのだろうか?
俺だけでは無く、スフィンクス全体がさ…何故?

【親神】になる事が最上と教え込まれていたから?弱い身体の事を忘れたいから?

「そうだな、王都の文化局にはな…歳はそう変わらないが、いけすかない鬼が居てな…」

俗に言うマッド・サイエンティストと言う奴か?コレがまた無茶苦茶な奴でな
天界の本が読みたいって、それだけの理由で、単身人間界に行った挙げ句
たらし込んできた、織天使の【千里眼】を頂いて、自分の【義眼】にしてやがる
何時暴走するか解らないソレを、直接はめ込んでいやがる…自分の眼をくり抜いてまで

「誰もが納得する様な、ご立派でご大層な理由付けなんて、要らないだろ?
魔神だって、快楽主義が本分の魔族のクセに、何、薄ら寒い事を言ってやがる?
何かをやる動機なんて、それくらい馬鹿らしいぐらいが、ちょうどいいだろ?」

他にどう思われようと、非難を浴びようが関係ないだろ?
お前自身がどうしたいか?もう一回、自分自身に聞いてみろよ、ガキはガキらしく

しかも、あのイカレ学者は、【鬼の衝動】を抑える新薬まで開発しやがった
手に入れた義眼の力を使ったとしても、鬼族が何代にも渡って諦めていたソレをだ

「確かにアイツのオツムは、ずば抜けてイイ、ちょっと特異な鬼らしいけどな…
だけどよ…たった一名の鬼に劣る程の、技術力と分化しか無いのかよ?魔神は?
ソレは流石に無いだろ?少なくても、俺達悪魔が、ガキの頃から脅され、
仕官学校で習った【砂漠の脅威】は、もっと有能だったはずだがね………」

そんな事言われても…俺だって、どう答えたらいいか解らないよ…

結局何も言い返せずに、耳をふせ更に下を向いてしまう
そんな俺の顎を、くいっと持ち上げると、赤い悪魔は深々と唇を重ねてくる
相手は俺が抱えていたギターを取り上げて、側にそっと立てかけると
腰を強く抱き寄せ、勝手に身体を弄りはじめる、まだヤる気かよ…飽きもせず?

「それに…お前がこのサイズの身体と両手に、執着するのと同じくらい、
ダミアンも執着してると思うぜ、この身体にはな…
みすみす、獣の身体にしてしまうにゃ惜しいな…勿論この俺もな」

そう言われて男の指と舌が、少し肌を這い回ったダケで、ゾクゾクと迫り上がってくる感触
何だろう?俺の方もちょっとおかしいや…何時もなら、こんな簡単にヨくは成らないのに
ロクに抵抗もせずに腕の中に収まり、短い吐息を吐く俺に、相手は怪訝な顔をする

「何だ、もう抵抗しないのか?」
「したって…どうせ無理矢理にでも、スるんでしょ」

「ほ〜諦めと聞き分けがいいのは、良い事じゃないか」だなんて………
言ってる事がさっきと全然違うじゃん…などという反論はあっさり聞き流され
抱きしめられ、首筋を刺激されるだけで、ヒクヒクと身体が反応しはじめてしまう

「さっきみたいに、乱暴にサれるのは嫌だ…コレが最後になるのかもしれないし、ちゃんと気持良くしてよ…」

そう言って、皮肉も込めた視線で、キロリと相手を見上げれば
「誰を捕まえて、ほざく口だ」と笑われ…有無を言わさずに、床に組み敷かれた

それでも…肌を刺激するソレは、ベッドの上よりずっと丁寧で濃厚で…
さっきとはまるで違う、媚びているのかと思う程の、優しさを含んだ愛撫は
首筋から胸へ、脇腹へ…キスマークの痕を確かめる様に、下へ下へとゆっくりと移動する、
じれったくなる程の緩慢な速度で
脚をこじ開けられて、勃ちあがるソレを、しゃぶられ、舐めあげられてしまうと
何も考えられないくらいに、気持良くて、俺はただ夢中に相手の髪を掴む
押しのけたいのか、もっとシて欲しいのかも、解らないくらいに

「ふぁ…あああっあん…」

ぬちゃぬちゃと漏れ出す水溶性の音と、ピンク色に紅潮する肌が、
自分でも気恥ずかしいくらいの、甘ったるい声が、神経を逆撫でする
無意識に手の甲で、自分の口を塞ぐのは、僅かに残った恥じらいだろうか

悔しいけど…気持がいいよ、もっと、もっと強くシてよて…

前を舌で刺激されながら、後ろにぬぷりと挿し込まれた指が
筋肉質で…少しだけ堅くて…その節の感触すら拾ってしまう程に
俺のソコはソレを締め付けてるんだ、気持のイイ場所を触って欲しくて

無意識に腰くねらせる俺を見て、相手はニヤリと目を細める
アイツと趣味が被るのは不本意だが、可愛いなお前…もっとよがれよ…よがり狂え

少し無骨なくらいの指が、ぐちゃぐちゃになったソコを、更に強く押し広げ
本数を増やされ、まるでつま弾かれるかの様に、中を刺激されると、
本当に息が止まりそうで、女みたいな、あられも無い悲鳴を止める事が出来なくて
我慢出来なくなった俺は、悪魔の口に吐き出してしまう
最悪な事にも、ソレすらも強く吸われて、舐め取られてしまうと
休む暇も与えずに、まだ萎えずに過敏になっているソコに、クニクニと甘噛みをされる

「やぁっっっああっっひっうん」

弓なりにしなる身体をヤンワリと押さえつけられ、中の指がナニの様に内側を突き上げはじめる
やぁ…もう許して…これ以上責め立てられたら、また変になっちゃう
グリグリと内側を突き上げるソレに、ただ髪を振り乱し、翻弄されながらも、
俺も相手にしがみつく、俺も我慢はしない、自分でも気恥ずかしいくなる声で啼く

やるせなさを、何処かに押しのけたくて、ただ刹那的な快楽に溺れたくて

「ふん、そんなに気持がいいか?この淫乱猫が…けど、やっぱり可愛いなお前
もう一つだけ試したい【手段】があるんだが、付き合いきれるか?どうだ?うん?」

手段?手段って何の事?朦朧とする目と意識で、相手を見上げ様とするのだが
唐突に中の指を抜かれ、脚を高く持ち上げられると、一気に男のモノが入ってくる
その大きさに下腹が急激に締まり、過呼吸の様な荒い息が止まらないのに、悪魔は構わず中を掻き回してくる
中はもうグチャグチャだから、派手でいやらしい水溶性の音が、変に耳に付く
何だよコレ恥ずかしいよ…男の腰が大きくスライドされる度に、痙攣がとまらないよ

ちゃんと質問に答える余裕なんて、勿論なくて…ただ喘ぐ俺の態度を承諾と取ったのか?
男は突然ピタリと動きを止める…ザワザワと部屋の空気が振動で震える

「魔格が交代する直前まで、魔力を解放する…少しばかり、姿が変化するが騒ぐなよ…」

三つ目を下手に刺激しない様に、お前も過剰反応するなよ
万が一アレが暴れ出したら、俺ダケじゃ止められ無いからな………

悪魔は短く俺にそう続けると、その口角がニタリとつり上がる
混濁する意識下でも、繋がったままの相手の魔力波動が、一気に上昇してゆくのが解る
何?コイツ?今迄の力がマックスじゃなかったの?

ゆらりと男の上半身が揺れると、別の生き物の様に、その髪がうねる
漆黒の髪が、ジェイルの目の前で変化してゆく、その根元から紅蓮の赤に
同時にギラギラと光る緑色の目は、飢えたな肉食獣のソレその物で…
本能的な震えが駆け抜けてゆく 最初に感じた、得体の知れない恐怖感はコレか?

「よしよし…イイコにしてたら、もっと良くしてやるから…」

心なしか、その声もワントーン低くなった様に感じる

何かを下手に刺激するなって、言われた様な気もするけど…その意味も良く解らないから
ブルブル震えながらも、俺はただ、されるがままに、悪魔に身体を預ける
ドクリと中のソレが脈打ち、大きくなった様に感じて、ジェイルは息をのんだ
噛みつく様なキスが首筋に落とされるけど、下手をすると、そのまま食い千切られそうで怖い

「ひぅっ…やっあ…ああっあんっああっ」

狼狽する暇も与えてくれない、中のソレが容赦無く、狭いソコを押し広げてて抉る
恐怖に縮こまっている事などお構いなしだ、此方の制止も哀願も聞いてはもらえず
ただ翻弄され、追い詰められる感覚に、切羽詰まった悲鳴と啼き声が上がるが
それが更に悪魔を喜ばせているのは明白で、彼はただ泣き喚く事しかできない

それなのに…その上、同時に迫り上がってくる、この変な頭痛は何なのだろう?
ズキリと頭の中の最奥で、何かが目を覚まし、のたうち回っている様な奇妙な感覚
軽い吐き気を催す程のソレに蝕まれながら、身体を揺さぶられるのが辛くて
何とかやり過ごそうとするのだけど、止まらない目眩と痛みが酷くて

それでもソレを素直に言えなくて、ジェイルは啼きながら低く呻いた

※※※※※※※※※※※※※※

流石にガキを相手に、無茶をしすぎて居るのだろうな…目的が別にあったとしても
俺が動く度に身体だけは、ヒクヒクと反応してるが、目はドロリと虚ろに曇り
散々啼かせすぎた喉は、完全に枯れ果てている様だ
羽化の速度は…多少は、遅れてきてはいる様だ、足止めのにはなっているのか?
赤髪の気は、黒髪のソレよりかは、効果があるようだが…
流石にコレ以上の行為の続行は、坊主の身体が持たないだろう

最後の猛りを坊主の中に流し込み、ズルリとナニを引き摺り出せば
ヒクリと震える子供の身体が妙に痛々しい、閉じきらないソコからは、コポコポと俺のなごりが流れ落ちる

「大丈夫か?坊主?少し休むか…」

ぐったりと床にへたりこんでいる、相手を助け起こしてやるのだが、問いかけには答えず反応は薄い
部屋の隅にしつらえてあった、冷蔵庫から適当な飲み物を探り出し、渡してやっても…自力で飲む気力も無い様だ
世話がやけると思いながらも、此方も強く抱きすぎた自覚はある、
口に含んだ水を、口移しで飲ませてやるのだが、やはりどうにも具合は悪そうだな…
羽化には関係なさそうな、突然始まった頭痛とやらが、かなり辛いのか?
顔色の悪さも苦悶の表情も何か痛々しい、自分が与えたモノとは無関係なせいか尚更に?

相当痛むのか?額を強く抑える坊主の手をどかして、ソコに触れるのだが
熱があると言うワケでもなさそうだな…なけなしのヒーリングを、注ぎ込んでやろうとしたのだが…
掌に気を込めるのと同時に、苦しげに瞑られていた、金の瞳がギンと見開かれる

「あっあああっっっ」

突然洩れる鋭い悲鳴、ジェイルは両手で頭を抱えると、震えながら悶えはじめる
首の鎖がジャラジャラと鳴り、焦点の合わない目で、宙を見つめたまま突然何かを叫んだ

『やっ嫌だっっ…やめてっやめてよぅ………』

スフィンクスの言葉に戻ってしまった彼が、口走るのは…誰かの名前?
上手く聞き取れないのは、記憶が浮上してくるのを、彼自身が押さえ込んでいるから?
それとも他者から与えられた、強力な呪いか?暗示か?時限発動的な指令か?
尋常じゃないその様子は、明らかに…【何らかの記憶操作を受けている者】に、よく見られる状態だ
尋問室で腐る程ソレを見て来た俺だ、コレばかりはゼノン以上に、見間違える事は無い

『おい…何が嫌なんだ?誰がお前に、苦痛を与えているんだ?』

ガタガタと震える身体を抱きしめ、出来るだけ優しい口調で問いかけるのだが
ショック状態は改善されはしない、魔力波動の籠もった鋭い爪がガリガリと立てられ
防御魔法が施されている軍服はともかく、地肌の露出していた部分は血まみれになったが
藻掻く子供を解放してはやれなかった…錯乱状態のまま、放してやるのは危険すぎて

ただ…怯える視線のその先にあるのは、どうやら俺では無いらしい
泣き濡れる目に写っているのは…俺の髪?変色した俺の赤い髪の方か?

『嫌っ…伯父貴……嫌だっ…こんなの嫌だっ』

伯父貴?コイツの伯父?あの写真の赤髪の男の事か?

俺は慌てて、髪の色を元に戻そうとするのだが…ふとその手前でソレを止めた
面がよく見える様に、髪をかき上げると、正面から強く抱きしめた

『よく見ろ…俺は、お前の伯父では無いだろう?落ち着くんだ…
お前の伯父は、一体お前に何をしたんだ?何があったんだ?
全部吐き出してしまえよ、隠しているモノを全部…
思い出せ、何を忘れている?何の記憶に鍵をかけているんだ?』

俺の問いかけに、相手は答えようとはしなかったが…
フーフーと髪の毛を逆立て、尚も藻掻いていた身体が、徐々に静かになる、息づかいも
これだけ密着していれば、気がついたのだろうか?獣らしく臭いの違いで?
俺が、問題の伯父では【無意識下の恐怖の対象】では無い事に、気がついたのか?

上昇した魔力波動が下がってゆく、曇った目が次第に光りを取り戻す、
不自然な身体のこわばりと力が、少しづつ緩んでゆくのが解る
俺も押さえつける力を緩めてやりながら、その後頭部を優しく撫でてやった

『落ち着いたか?どうだ?何か思い出したのか?』

出来るだけ優しく、もう一度問いかけるのだが、縋り付く相手の震えはとまらない
再び頭痛が始まっているのだろうか、額には再び汗が噴き出し
状況が把握しきれていない、気怠そうな目が、此方を上げてくるばかりだ

『………何だか、頭が痛くて、凄く重くて……思い出すって…何の事?』

一連の様子や反応を観察する限り、コイツが意図的に隠しているワケでも、とぼけているワケでも無さそうだ
それだけガッチリ、【何か】にガードが掛かっているようだ
本魔にとって耐えがたい経験や、事実を消去する為の、
自己防衛の自己暗示だけでは、ここまで強固なモノにはならない
となると…【外的な要因】が強いと考えるのが、極自然な事だ…

やはり…俺の読みは当たっているのか?
写真でしか見ていない、あの男の嫌な目を思い出し反芻する
実の甥で血縁者に、保護を与えるべき子供に、あの男は何をしたと言うのだ?
何かがある…表には出ていない事実が、ダミアンも知らない、コイツも自覚してない何かが…
それが何なのかは、未だ解りはしないのだが、ドロリとした薄暗さを感じる
そして、その事実を正確に認識する事が、この坊主にとって良いとも言えない…

『まぁいい…これ以上頭痛が酷くなっても困る、今は何も考えなくていいから』

俺の血に塗れてしまっている指先を、丁寧に舐め取ってやりながら
ズキリと背中に走る傷の痛みを確かめる、致命傷では無いが、かなり深く入っているな
緊急事態とは言え【力の暴走】を、至近距離から受け止めたのは、此方のミスではあるが…
常に張りっぱなしの簡易なモノとは言え、まがりなりにも俺の防護魔法をだ、
こうもたやすく突き破るとは…なかなかヤるじゃないか、このガキも

元が虚弱体質だろうが、何だろうが関係無い、素質はキチンとあるようだ
スフィンクス成体になったとしても、転魔して悪魔になったとしても
上級悪魔クラスの強い個体に成長するのは、間違い無いだろうな

「コレ…俺がやったの?ごめん、ごめんなさい………」

朦朧としていた意識が戻り、血の臭いにようやく気がついたのか
ジェイルはブルブルと震えながら、悪魔の言葉で謝ってくる
悪かったと言うより、コレを理由に、更に酷い目に遭わされるとでも思っているのか?
怯えて半泣きの目が、俺を見上げているのが、行為とは裏腹に可愛らしくもある

「ワザとじゃ無いだろう?だから今回は許してやるよ、だから、そんなに怯えるな」

火炎系悪魔の俺は、ヒーリングは苦手だからな、後でお前が、綺麗に舐めてくれるならチャラにしてやるよ
そう囁きながら頬にキスを落とすと、震えながらも抱きつてくる仕草はやはりガキだ

やれやれ…さっさっと帰ってきやがれ、馬鹿皇子…

最悪、親神になってしまっても、もう砂漠に置いてゆくのは無理そうだ
ゼノンなら或いは…あのデカブツの身体を縮める事も、可能なのでは無いか?
お得意の?魔術やら、得体の知れない薬物やら、改造手術なりで何とか?

だが…あの学者に、解剖・改造魔に、コイツを好き勝手に弄らせる事にも、抵抗はある
出来れば…このままの状態のコイツを魔都に連れ帰るのが、望ましい
ソレはダミアンだって同じのはずだろうに? 何をグズグズしていやがる?アイツは?

揺動作戦とは言え、安易にこの場を立ち去った皇太子に、苛立ちを感じ始めているエースの耳に
僅かに届いた水の滴る音…ソレは何処から聞こえた?

「そのまま伏せろっ坊主っっ」

咄嗟の事に呆然としている子供の頭を、強引に下にかがませると
エースは庇う様にその上に覆い被さり、戦闘用の防御結界の盾を瞬時に張る
キーンッキーンッと金属製の音が響き、バラバラと床に落ちるボウガンの矢
バタンと開かれた部屋の扉から、一斉に打ち込まれたと覚しきソレには
生意気にも、術式処置が施されているらしいく、
得体の知れない象形文字が刻まれ、その部分だけが赤く光っていた

「これは………」

エースの下からソレを覗き見た、ジェイルの表情が一瞬にして曇る

第一波の一斉射撃が収まり、エースが体勢を立て直すのと同時に、
軽やかな身のこなしで、部屋に飛び込んできた影は三つ
黒づくめの衣装の工作員か?身体のラインにぴったりな薄手の衣装を纏っている上に
それらしい軽装甲だけを見れば、一見?その道のプロ?の様にも見えるが
にしては…機能的とは言えない、砂漠の民族衣装独特のショールの様なモノを、胸元から顔面に巻き付けている
目視で確認出来るのは、ソイツ等の目だけなのだが、あからさまな憎悪の視線
まったくもって、クールとは言いがたい、プロならば…仕事に私情など挟まない
それが暗殺稼業の絶対条件な事を考えれば…コイツ等はにわか仕立ての素人か?

一言もしゃべらない彼等は、一斉に小振りの柳葉刀を抜き、ジリジリと間合い詰めてくる
本来の目的は俺か?それとも坊主か?その両方なのかは解らないが…
血を見ずに、穏便に済ませられる相手では、なさそうだな

「何で…何でアンタ達が、何でこんな………」

ジェイルには相手の正体がわかっているのか、カタカタと震えている
戦闘の邪魔になる鎖を外してやり、「離れるなよ」と短く告げると、ただ素直に頷いた

「お願い…出来るだけ殺さないで、コイツ等は………」

魔力波動の差で正体がバレ無い様に、複雑なジャミング電波の発生装置を、携帯しているようだが
使っている武器が特徴的すぎれば、そんなモノは意味が無いだろうに…
例え相手を確実に仕留める自信があったとしても、詰めが甘いんだよ、ド素人が…
エースは口角を吊り上げると、戦いの喜びに狂喜した表情で答える

「解ってる…俺も、無駄な外交問題には、したくは無いからな…」

もう無理に魔力を抑える必要は無い、この場所が特定されてしまっているなら…
一気に燃え上がるのは、赤い悪魔の戦闘用の炎のフィラメント
ジェイルを抱えたままのエースを中心に、開放・具現化する炎の渦に
暗殺者達は、一瞬は怯みはしたものの…根本的な力の差を、考えていないのか?
数で押せば、あるは…とでも思っているのか?三名は一気に切りかかってくる

「馬鹿っ駄目だってっっ そんなシステム頼みじゃ殺されるっっ」

ジェイルの悲痛な叫びが、彼等に届いたかどうかは解らない

三方に同時に吹き上がる炎が、情け容赦なく、刺客達を飲み込み、焼き払ってゆく
一瞬は張られたシールドが、彼等を護りはするのだが…機械で強化された程度のソレは
地獄最強の破壊者の攻撃を、受け止めきれるワケも無いのだ
例えソレが本気には、程遠いレベルの攻撃だったとしても…
瞬時にして破壊された、能力補強システムは、ショールに隠された胸元に装着されていたのか?
小規模の爆発が、立て続けに起こるのと同時に、結界は消失・火だるまになった彼等は
断末魔の様な、悲痛な叫び声を上げ、次々と部屋を走り出ると、縦穴の下へ飛び込んでゆく
恐らくは、彼等が侵入経路に使った筈の、地下水脈の水を求めて

「酷いよ…手加減してって、するって、言ったじゃん…」

炎に包まれながら、落ちてゆく彼等を見下ろし、呆気にとられるジェイルは
震えながらも相手を睨み付けるのだが、エースは涼しい顔で答える

「ちゃんと手加減してるぞ、俺が本気ならアイツ等は、とっくに蒸発してるぞ
素人でも装備だけは立派なモンだ、すぐに消火出来れば、軽い火傷くらいで済むだろうよ」

だが…刺客は彼等だけでは無い様だな、無数に感じる小さな気配
威嚇の意味も込めて、あの三名を燃やしたくらいでは、引いてはくれない様だな

「モタモタはしていられない、第二波が来る、ココを出る…行くぞ…」

ジェイルの返事を待たずに、エースはその身体を小脇に抱えると
一気に部屋を飛び出し、再び紅蓮のフィラメントを、躊躇なく全開放する
四方に広がるソレは翼の形を取り、ジェイルを抱えたまま、縦穴に躍り出る

その光りで照らし出されるのは…物陰に潜んだ、黒ずくめの刺客達は
ざっと数えた数は30といった所だろうか?まぶしげに二名を見上げる彼等は
直ぐに体勢を持ち直すと、一斉にボウガンを射かけてくる

「何やってんだよっっアンタっっ!コレじゃ狙い撃ちになる!」

あまりに突飛で無謀な行動に、ジェイルは思わず叫び声を上げるが、エースは涼しい顔で、ニヤリと笑った
まるで…この程度の戦闘など、お遊びにもならない、とでも言うような余裕綽々の表情で

「コレだから、世間知らずの田舎者は困る…この程度の装備で、この俺を駆逐するだって?
舐めるにも程があるだろ?一匹残らず、焼き鳥にしてくれる………」

打ち込まれる矢を、全て弾きとばしながら、その中心でニヤニヤと笑うその姿は
魔神の幼生が成体から、聞かされ思い描く、残忍な悪魔の姿その物でもあるのだが
同時に妙に優しくて、力強く感じてしまうのが、始末が悪いんだよ…とてつもなく

「それに…あの部屋で、コレ以上暴れられないだろ?お前の大事なモノに傷がつく」

だなんて…戦闘中に吐く台詞かよ、何考えてるんだよ…この悪魔は?
勿論それだけの余裕が、あるからなのだろうけど…小憎らしい事、この上ないよな
思いもよらない相手からの襲撃に、傷付く暇すら与えないつもり?

同族に…【赤翼】に殺されかけている事実すら、どうでも良くなる程に?

次々と焼き払われ、撃退されてゆく同胞達を、見下ろす俺の心情は、複雑なモノなのだが…
隠された顔は、よく見えないけど、おそらくは…顔見知りも居るはずだ、ココがバレているなら
多分…一名きりだったなら、今更だけど絶望と喪失感に、哀しみでおかしくなっていたと思うケド

今、自分を抱え込んでいる、この腕の温かさがあるから、
自暴自棄にならないで居られるのかな、俺…相手は極悪すぎる悪魔なのに…
自らの操る炎に照らし出されている、凶悪な面を見上げながら
ただ護られているだけの、強がっていただけの自分の弱さを、改めて自覚する

親神に進化するにしても、悪魔に転魔するにしても
とっくに砂漠には、俺の居場所なんて、無くなってしまっているんだろうな

どちらにしても…既得権で護られたこの砂漠を出る限り、自分の力で強くならなきゃ
強くならなきゃ、生き残れない…この魔界では尚更に、俺は強くなれるのだろうか?この悪魔と同じくらいに

最早戦闘とは呼べない、一方的な加虐行為に、薄ら笑いを浮かべている赤い悪魔を
金色の瞳が、ただじっと見上げていた



続く

建前を排除した状態の【本音】は、結構単純明快?と言うお話?
進むべき道は沢山あるようで、突き詰めてゆけば、結構少なかったりする
本人と周囲がどれだけ納得出来るか?どれを選べば後悔が少ないか?
それだけの差なんですが、その兼ね合いが難しいんでしょうね、多分?

しかし…強姦魔の上に児童虐待容疑(笑)までかけられてる?長官様ですが
ちょっと男前に書きすぎですね〜我ながら、ドリームが最近入りすぎやわ
少し反省しよう…S側キャラまで、ドリーム満載にしたらアカンやろ?

この件の続きは日記の方に(^_^;)

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あきゅろす。
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