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【RX+師弟悪魔】
ソレが二つある理由 6 姫君の呟き グロ背徳描写連発…飛ばし読み可です

目が覚めたのは…多分半日以上経った後だろうか?
やけにゆっくり休めたと思ったら、大きめの箱の中にいた
『目くらまし』の魔法が掛けられたソレの御陰で、誰の目にも触れなかったらしい
ご丁寧に適当な部屋から拝借してきたのだろうか?
内側には、やたら手触りのいい毛皮の敷物が敷き詰められていた

身体を起こすと、弾ける様に魔法がかき消える
ヨカナーンは既に居なくなっていた、僕の上にかけたマントを残して

不本意ではあったが、傷を治してもらったのと、力を分けてもらった分
少しは魔力が戻ってきても…元の姿に戻りはじめてもおかしく無いのに、何故だ?
縮んだままの身体を見渡すと…何て事はない、コレも嫌がらせの一種か?

薄く光るアールデコの模様が…略式の封印が、両腕と両足に巻き付いている

有る程度のレベルまで、魔力と体力を温存・回復しない限り
省エネモードの幼体の姿を解除出来ない様に、勝手に固定されている
眠っている間にあの男が、掛けた施術だろう…

とことん戦えない状態に追い込まれたのだから、魔界に逃げ帰っても仕方がない

お優しい事に『帰還する理由付け』までしていただけたワケですか、大賢者殿に
ココまで徹底されると、逆に清々しさまで感じるが…素直にソレに従う気にもなれない

だが…現実問題…これからどうすればいいのだろうか?

ただ一瞬反覆しただけでも、震えが止まらなくなる程の【あの体験】
あの目が集積する情報量は、僕が予測していた範疇を遙かに超えている
例え上手く手に入れたとしても…使用者に合わせて働くなんて事は…
多分ないのだろうな、あの捻くれた持ち主の事を考えれば…
摘出した後も、自己意識を持つぐらいの芸当は、やってのけるだろう

単純な移植手術等とはワケが違う…義眼として封印を掛けたとしても
何処まで制御出来るのだろうか…否、制御可能な代物なのだろうか?

あれほどまでに凄まじいモノだとは、正直考えていなかった

もう一度対策を…受け入れ準備を万全にしなければ
とても手に負える代物にはならないだろう

老師が見せられたソレとは、レベルが違うからだろうか?
無様に吐いたワリには、まだ…諦める気にもなれないどうしても
大概僕も、おかしくなっているのだろうか?

いや「狂気」も「妄執」も本来は【鬼】の専売特許だからか?

このまま…様子を見るべきか?一度魔界に帰還すべきなのか?
決めかねて思い悩む僕の耳に、離れた場所からの小さな泣き声が聞こえる

「サローメ?」

普通の状態では無いその嘆きと、神を呪うその声に
引き寄せられるのは悪魔としては当然か…いや【あの後】何があったのか?
存外魔力を消耗する、特定の対象・人物に化けるのは、まだ不可能だが
目くらまし程度の小さなモノには…かろうじて化けられそうだ
面倒事を避けるには、中途半端なヒトガタは極力避けるべきだろう
一番楽に化けられる猫の姿に変化すると、僕は泣き声に向かって歩き出した

※※※※※※※※※※※※※

押し込められた別室のベッドの上で、娘は一人泣きじゃくっていた
目の前で唐突に命が奪われたから、その恐ろしさと恐怖だけではない
何故あの男が、【あの扉】から出てきたのだろうか?
亡くなられたお父様と私しか知らないハズの【あの通路】から何故?

ガチャリと扉が開くと、興奮気味の叔父が現王が部屋に入ってくる
娘は手にしたクッションを、男に投げつける

「近寄らないで、ケダモノッ!あんな小さな子供を私の目の前で殺すなんて…」

ボフリと床に落ちるソレに目もくれず、養父は養女に語りかける

「サローメ、お前は世間をよく知らない…奴隷を装った暗殺者等いくらでも居る
例え子供であろうとも、後宮への侵入者は処分すべきなのだ」

最もらしい講釈をしながらも、目はギラギラと娘の肢体を見上げる

「ならば…貴方も侵入者よ叔父上、何故あの通路の事を知っているの?
あれはお父様と私だけの秘密のはず、お母様だって知らないのに、どうして?」

そうあの通路は元々あったモノでは無いのだ

嫉妬深く情緒不安定な母の目を盗み、父親が娘に逢いにゆくための秘密の通路
通路は秘密裏に造られ、それに関わったモノは機密保持の為に暇を出されたはず
否…暇を出したと父王は言っていたけど、おそらくは関わったモノ全てが
この【秘密】を守る為に始末されてしまったのだろう、幼い姫でもソレは解る
だからココの存在を知って居るのは、王女付きの一部の侍女だけのハズ
親族・王族とはいえ、部外者である叔父が知るはずの無いモノ…

一気にまくし立てる養女の剣幕に、一瞬身じろぐヘロデ王ではあったが
思い切った様に額を抑えながら、ゲタゲタと下びた嘲笑をもらす

「美しいだけで頭の足りない娘と思っていたが、なかなか冴えておるではないか?
我が姪にして、前王の忘れ形見のサローメ…いや【狗の王女】よ」

小さな身体を小さくして、相手を睨む王女を覗き込む様に王は続ける

「我が前王とお前の密通は、知っておったよ…兄上が存命の頃からな
私は嫉妬したものだよ、全てを手にいれられる兄上のお立場に
兄上が居る限り、私は何もかもが二番手だ、アノ男が存在する限り
だからヘロディアを誘惑したのだよ、良き協力者となってもらう為にな」

ゆるゆると伸びてくる男の手を、小さな手が勢いよく払いのける
よく手入れされた爪が引っかかり、男の皮膚に薄い傷を残すが
ヘロデは愉快そうにソレを舐めあげる

「お前も知っての通り、近親婚は我が国の神の前では御法度だ
ましてや実の父娘の関係など、狗の子にも劣るモノだろうに
だが私なら…叔父である私なら婚姻は認められている
今からでも遅くは無い、悔い改めて私の妻の一人となるがいい」

「近親婚は叔父上も一緒じゃないの?兄嫁と婚姻する事も認められない
嫌っ近寄らないで汚らわしい、私に触れていいのはお父様だけよっ!」

逃げ道を塞ぎじりじりと迫ってくる男から、何とか逃れようとする娘を、
強引に押さえつけると、乱暴に引き裂かれるシルクの夜着が悲鳴をあげる
剥き出しになった乳房をしゃぶられ、娘は憎悪と嫌悪感でいっぱいになる

「嫌っ放してっっ!お母様を后にするのではなかったのっっ!」

藻掻く身体を押さえつけながら、ヘロデ王はせせら笑う

「ああ后にしてやるとも、それが兄殺しの手引きをしてくれた報酬だからな
だが…本当に欲しかったのも、愛しいと思うのもお前だ、サローメ
お前は姿だけは美しいからな、男を狂わす魔性だよ」

実の父親ですら誑かされる程のな…

姫君の拒絶の罵声と悲鳴が聞こえないワケではあるまい
それでも…外で待機しているハズの近衛兵は、誰一人止めに入らない
全ては新王の御心のままに…了承済みと言う事か?

ああ…結局あの時と同じなのね…

美しいお前が悪い、魔性の魅力で誘惑するお前が悪い
何時だってそう…己の醜い欲望を全て私のセイだと言って
言い訳しながら、娘の身体を貪るの…自分は悪く無いといいながら

お父様も叔父上も…【狗】と同じなのは一緒でしょ?
王族でありながら…小娘に罪を押しつける事しかできない憐れな男ども

お父様に初めて抱かれた時も、泣いて嫌だと言ったのに
侍女達は一人も部屋に入っては来なかった、今の近衛達のように

それでもイイ子にしていれば…お父様は優しかった
ただの娘であった頃よりもずっと…
父親としての資格も威厳は失いながらも、禁を侵した弱い男として
避けられない様に、嫌悪されない様に、男なりに必死だったのだろう
欲しいモノは何でも与えてくれた、望みは何でも叶えてくれた、身体と引き替えに……

だから娘は妥協する、自らの身を守るために
王族とは言っても…所詮自分は踊り子から、身分の低い者の娘である
王の気紛れで、母親同様にどうにでもなってしまう立場である事を
幼いながらに理解していた、生まれながらに身についた帝王学で

ならば…この身に溺れている間は、この男を利用するしか無い
禁じられた恋故に、自らが弱い立場と勘違いしている父親に
本来の立場を思い起こさせては為らないのだ

したたかな娘に、自分の立場が脅かされると母親は嘆く
ソレは違う…自分もまた娘に守られている事など
彼女は気がつかないのだろう、成り上がりらしい単純な嫉妬で

だから…叔父上とはその関係になる気は毛頭なかった、その必要が無いから

以前から解りやすい欲望で、自分を眺めているのは知っていた
だが…王に意見出来る立場でありながら助けてくれるワケでも無い
何よりも…父王に似たその面差しと眼差しに嫌気がした

前王が唯一残した実子・一人娘と言う肩書きさえあれば
他に世継ぎが、身分の高い別の母から実子が
生まれる可能性のあった以前とは、格段に違うのだ
姫の身分はある程度は、【保証】されたモノに変化する
少なくても【政略結婚のコマの価値】は出来たと言うのに

例え婚姻と言うカタチでも、この重苦しい背徳感しかない鳥籠から、
逃げ出す機会が、ようやく訪れたと言うのに…
目先の事しか考えられない、あの母親にブチ壊されたのだ
自ら非難される、身を危うくされる立場に堕ちてしまった母親

かつての…成り上がった頃の美貌にしか、縋る術を持たない母親は
何時までも理想の夢を見続け…現実との差を認められない

嘆いていたのは母親の愚かさ…父親の死では無い
だがソレに気がついたモノは居たのだろうか?
いや…気がついても皆、見ないフリを決め込んだのかもしれない

抵抗しても無駄…諦めた体で大人しくなった養女の身体を貪る叔父

どうして男って…こういう時同じ行動に出て、同じ表情をするのかしら

ただ漠然とそんな事を思いながら、下卑た表情でのし掛かる男を眺める
何の感情も湧かない…ただ滑稽で憐れな男 為政者のセンスなど有りはしない
欲望のままに王座も女も手に入れた所で、それは唯の一瞬の喜び
民衆の反感も買いすぎれば、貴方の身分だって保証されたモノでは無いのにね

醜い…何もかもが醜いのよココは…

それでもソコでしか生きられない事も、賢い姫君は知っている
無遠慮に吐き出された男の熱を感じながら、王女は小さく溜息をつく

※※※※※※※※※※※※※※

泣きもせずコチラを見ようともしない養女に、流石にバツが悪かったのだろう
事を済ませたヘロデ王は、足早にその場を立ち去った 近衛兵達もソレに付き従う

取り残されたサローメは、ただ疲れ切った身体を横たえる

叔父の行動は、有る程度は予測出来た事だ
無理に奪われた事が、ショックでは無いワケでは無いのだが
とうに処女を失い打算的に生きてきた彼女は
コレに対して泣き喚き嘆く程の事では無い…ただソレだけだ

嘆くとすれば、結局はココからまた逃げられない事

父親によく似た男に蔑まされながら養われ
母親の恨み言を聞く毎日と未来しか、自分には用意されて居ないとすれば
ここまで待った…父王が逝去するまで、我慢した労力は全て無駄になる

そう思うと口惜しくて、涙が溢れてきた

いっそ自分をココから連れ去ってくれる男でも現れないか?

そんな子供みたいな夢を見た時期もあったけど
そんな【都合のいい存在】など居るワケが無い
みな王族が恐いのだ…専制君主に逆らってまで、姫君を救うモノなど
おとぎ話にしか出てこない、充分すぎる程解っていた

それよりも大変なのは…叔父とも身体を繋いでしまったこの事実に
あの母親が気がついた時の対応だ、半狂乱になるのは間違いない

どういった立場で通せば…彼女は傷つかないのか?
否…コチラに危害を与えないだろうか?

以前から自分に懸想していたらしい叔父に、無理矢理奪われた憐れな娘
泣きながら、母に庇護を求める【か弱い娘】がいいのか?
それとも…いっそ開き直って、共に叔父を取り合う【女】の立場がお気に召すか?

父王の死に母が何らかのカタチで関わっている事は、薄々解っていたが
そのクセ前王の逝去以来、余計に情緒不安定になった母ヘロディア
その側に寄るのが恐くて疎ましくて、あえて腫れ物に触るまいと避け続けていた分、
どう対応していいか解らない…自室に戻る前に侍女達に対面する前に
これからの立ち位置ぐらいは、自力で決めなければ………甘えてはいられない

寝具の中で思案するサローメの耳に、低い声く押し殺した声が届く

「サローメ…起きているのでしょう?」

ハッとして部屋の入口を見れば…蒼白の顔をした母ヘロディアが
やはり夜着のままたたずんでいた、夢遊病を患った患者の様に

「お母様………」

泣いたらいいのか?苦笑いしたらいいのか?娘は咄嗟の判断が出来ずにいた…
おそらく一部始終は見ていたのだろう、いやもっと前からかもしれない

可哀想なお母様…捨て身で頼った男にも捨てられる…そう思っているのね
掛けるべき言葉が出てこず、沈黙と静寂が流れる

※※※※※※※※※※※※※

以外にも先に口火を切ったのは、母ヘロディアの方だった

「ああ…可哀想なサローメ、恐かったでしょうに」

そう言って近づいてくる母の口調は、ヒステリックに叫ぶ何時もの口調ではなく
幼い頃の…遠い昔の自分に向けられていた、母親の優しいソレだった
少々面くらいながらも、腕を広げ抱きしめられるその胸に顔を埋めると
何故だか涙が溢れてくる…こんな風に抱かれるのも久しぶり

そう最初から親子関係が険悪だったワケでは無いのだ

母が嫡子を生めなかった事を、侍女達は残念だとは言っていたけど
母自身は、乳母に養育され、直ぐに私の手をすり抜けていってしまう男の子より
女の子の方がずっといい…こうやって手元に置き慈しむ事が出来ると
私を溺愛していた時期も確かにあったのだ

だが…何時の頃からだろうか?私が幼児から少女に、女に成長するにつれ
父親の邪な情欲が、母を飛び越え実娘に向けられる様になると
母は自身の美貌の急速な衰えを感じる様になった様だ
美しく成長する娘が、自分の美しさを吸い上げていると妄想する様になる

数人の妻を抱える広大な後宮は、母娘が別々の宮に住む余裕は充分にある

何時しか関係は余所余所しいモノとなり、
公の場でしか顔を合わせない状態になったのは、王族としては珍しくはない

実の娘に奪われた王の関心を取り戻そうと、母は母なりに努力をしたが
それが報われる事はなかったのだろう…次第に不安定になる彼女の言動は
そうでなくとも…背徳感しかない父親との関係に悩む娘を
さらに不安にさせるモノばかりで、ますます溝は深まってしまった

結果…母は叔父と共謀して、父を殺してしまったのだろう
自らを裏切り苦しめるだけになった存在、それでも愛していたからこそ
殺してでも手に入れたかったのだろう

打算的な私より、ずっとロマンチストだった母…可哀想な母
愛した相手がお父様でなければ、あんなヒトデナシでなければ
妻を多くとれないレベルの貴族であれば、幸せになれたかもしれないのに

「お母様…」

もっと話し合えば良かったのかもしれない
あの男の…新王の甘言に乗ってしまう前に…私も勇気が足りなかった
現実を受け入れる勇気も…母とちゃんと向き合う勇気も…
無邪気に抱き上げられていた頃に比べれば、小さくなった母の肩と胸元
でも柔らかくて温かい…そして懐かしい香り

話合わなければ…これからの事を グズグズしている時間なんて本当は無いのだ
あの男の事だ、母だけでなく私にも直ぐに飽きるだろう
欲望の為には、実兄を殺すような男は信用出来ない
今の内に共に身の振り方を考えなければ…邪魔者/不要なモノと判断されれば
特に共犯者の母には、どのような酷い濡れ衣がかぶせられるか解らない
秘密裏に毒殺した上で、病死と発表する事ぐらいやるだろう

情緒不安定な母が、興奮しないような言葉を選ばなければ

次の言葉をつむぎだそうとしていた、姫君の喉がゴポリと鳴る

吹き出すのは言葉ではなく、真っ赤な鮮血…
無防備な背中に、深々と突き刺さる女物の短剣を握りしめるのは
彼女の実母であるはずの王妃………

「良い子ね、サローメ…だからお願いよ…私の若さと美貌をこの母に返して…」

母親に抱きついたまま痙攣する実娘を、さらに抱きしめると
ヘロディアは、更に深く刃物をその身に突き立てる
ジワジワと広がる出血が、豪華な寝具に赤い染みを広げてゆく

「もう一度…あの人に愛されたいの…もう一度私だけを見て欲しいの…」

夢うつつの様な瞳は、実娘を映してはいない…何処か遠くを見ている
あるいは現王ヘロデも彼女には、愛してやまない前王に見えていたのかもしれない

完全に狂っている…この憐れな王妃は…この女は…

ああ…やはりこういうカタチでしか、ここから自由にはなれなかったのね

急速に霞んでゆく視界と…喧しい程の耳鳴り
憐れな母を恨む気にはなれないけど、逃げ出せなかった自分が自分が歯痒い

小国の王女はこうしてその短い生涯を終え、命を落とした

※※※※※※※※※※※※※※

だが…本当の意味の地獄絵図は、ソコからだったのかもしれない
魂が身体から離脱しかけている今、姫君に物理的な痛みは無いのだが

他人事の様に見下ろす【殺しの現場】の母親は、ヒトが思う醜悪な鬼そのものだ

倒れた娘を実娘とも、ヒトとも見ていないのだろうか?
下腹を切り裂くと、柔らかい皮膚と筋肉の下の臓物を探る

自分から美貌を若さを、毟り取ったソレの確実な死を確かめる為?
いや違う…奪い取られたと思いこんでいるソレを取り戻す為だった

血塗れの両手で肝を引きずり出すと、頬をよせその生温かさを確かめる
そして躊躇を感じさせる事もなく、血の滴るソレを喰らい貪りはじめる…
僅かにつながった体組織は、痛みを感じるのか?
放り出された娘の肉体が、ビクビクと震える

狂っていながらも…命の源は肝臓であると言う【古い俗信】は頭に残っているのか?
娘のソレを喰らった所で、若さも時間も戻りはしないと言うのに

目を覆いたくなるような、その光景を目の前に
気丈な姫君の精神も焼き切れそうだ、誰が悪い父が?叔父が?自分が?
ココまで母を追い込んだと言うのだろうか?

思わず口にするのは、神を呪う言葉…
私は私達はこのような目に遭わなければならない程の罪を
果たして犯したのでしょうか?

『誰が悪いワケでも無いよ…これがヒトの弱さだからね』

魂だけの存在になった娘に話しかけるのは、焦げ茶色の毛皮?毛足の長い猫?
猫はニッと笑うと、一瞬の内に膨れあがる

『お前は………』

叔父上に刺し殺されたハズの奴隷の子供? ああ…やっぱり私も死んでしまったのね
死んだ後だと言うのにお化粧してるなんて、変わった子供なのね…

『昨晩は手当をしてくれてありがとう、僕はゼノン…君の嘆きに導かれた悪魔だよ』

悪魔?確かに角は生えてるけど…何を言っているのかしらこの子は?

『と言っても事情があって魔力を奪われているから、僕も大技は使えない
君はもう死にかけているから、魂の売却も悪魔召還も完全には出来ない
出来る範囲は限られているけど…君の願望はなんだろう?可能な限り答えるよ 』

そう言って差しのばされる悪魔の小さな手を握りしめれば…温かい…
ああこんな温もりが欲しかったダケなのに、何処で間違えてしまったのかしら

『………アナタが何者なのかは解らないけど、今はココに居てちょうだい』

せめてこの狂宴が終わるまで…狂った母親がこの場を離れてくれるまで

『了解…詳しい話はまた後で、無理に全部見届ける事は無いからね』

ふわりと胸元に抱きついてくる小さな身体を、娘はしっかりと抱きしめる
この子が居てくれて良かった…でなければ耐えられなかったかもしれない

目を瞑り…背後で繰り広げられているであろう光景に目をそらすと
小さな手が優しく耳を塞いでくれる…自分の心音は最早聞こえない
魂だけになっているから…でも小さな手から相手の鼓動はきこえる
それが酷く懐かしくて温かい…

何者でもいい最後にこの場所に、この子が来てくれて本当に良かった



続く


だからどうして?グロになっちゃうのか?
それは錆寝が血塗れ趣味の変態で、ド根暗だからさ〜あはははは
しかも肝心の悪魔様より、外野が出しゃばりスギなんですけど
とまた言われそうですが…サロメの話も大好きなモンでつい
次回は修正しますんで、アノ有名なシーンに突入しますんで
更にグロくなっても…許してくださいませませm(_ _)m

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