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【RX+師弟悪魔】
ソレが二つある理由 3 R-18 α×X グロ表現あり

※ほのぼの展開にするつもりだったのに、某キャラが暴走しグロ展開に
先に謝罪するのと共に、苦手な方は充分に御注意くださいませねm(_ _)m

暗がりの書架の先にあるのは、青が基調のメディカル室
作りかけのアンドロイドのボディーが、散乱するその先に
リクライニングチェアを備えた、診察台?
いや手術台が、ポツンと無影灯に照らされていた

「付き添いの諸君は、そこらにかけていたまえ、適当に片づけてね…」

ヨカナーンはぶっきらぼうにそう言うと、ゼノンだけを診察台に導く

自力でその上に腰掛けはしたものの、どうにも落ち着かない
頭上の無影灯の明かりが、眩しすぎる事もあるけれど
自分自身が患者の立場になる事は希だからか?
「医者の不養生」とはよく言ったモノだが…
僕の患者さんも…こんな感じに不安感を抱くモノなのかな?
ガラにも無くそんな事を考えるあたり…やはり弱っているのだろうか?

カラカラと音がする方を見れば、アンドロイドの少女が
診察器具を乗せた、銀色のワゴンを押してくるのが見える
テキパキと柔らかい膝掛けをかけてくれると、手術用覆布をする前に、
保定用の拘束帯を肩と腕に巻き付けようとする

ビクッ……… 医療行為としては安全対策としては当たり前の行為だ
なのに…身体の芯の震えがゾクリと上がる、嫌な記憶が頭を掠める

「サローメ…多分大事にはならないから、ソレは要らないよ」
「了解いたしました、マスター」

文化局のメディカルスタッフよりも、聞き分けのいい機械少女は
あっさりと拘束帯の装着を諦めてくれたので、ホッとした表情を浮かべると

「なんだい?まだ私にビクついているのかい?」

サングラスを検査鏡の様な?奇妙な眼鏡に掛け替えた獣が
ぴょこんと診察台の上に飛び乗ってくる 治療・診察と解っていても、
この角度でこの男に覗き込まれるのは、相変わらずいい気持ちはしない…
理解を超えた【屈辱】を強いられたあの時を思い出すから

「当然でしょ…僕は案外『根』に持つタイプなんだよ」

それが【力】を手に入れる為の代償とは言え、火傷はまだ癒えきってはいない

「悪魔の癖にそういう繊細すぎる所は、好意的だよゼノン
だが…望んだのは君だ、私が無理に強要したワケじゃないよ」

ニヤニヤと笑うその顔は、相変わらずいけ好かない

「ソレに自惚れてもらっては困るよ、私が欲しいのは、【完全体のサローメ】だ…
解っているだろ?君だけでは【欲情】は出来ても、【満足】は出来ないんだよ、
それに私も馬鹿じゃない…魔界にとっても大切なお客様の前で、
無体な事をする程野暮じゃないよ、どれマズは患部を見せてもらおうか?」

機械少女が、丁寧に包帯を解いてくれるのと同時に
獣の肩口の小窓がカパカパと開くと、細いマジックハンドが何本も生えてくる
それくらいなら…頸に見合った体格の身体に移ればいいのにと思う一方で
この【小さな身体】のままと言う事は、ソノ気は一切無いと言う事か?

それに安堵している自分自身に、苛立つ自分もまた確実に居るのだ

「どうだか…でも今ならそんな事になる前に、貴方を始末する力くらいはあるよ」

義眼の左目がギロリと、胸元の獣を睨みつけるが…男は悪びれた様子もない

すっかり包帯が取り払われた、腫れた右目を覗き込むと
溢れ出す涙を何本も試験管に取り、こびりついた分泌物もサンプルとして
丁寧に採取しはじめる、腫れ上がった患部への刺激に小さく震える様子を伺い
またニタリと笑うと、獣の前足のままで器用に試薬を注射器に込める

「私を始末する?【エンジェル・アイズ】が惜しくて、出来もしないくせに?
そうカリカリと興奮すると、平常時の患部の様子が解らないよ」

眼輪筋にそってプスプスと注入される薬液の冷たさと、染みる様な鈍い痛み
診察台の肘置きを握りしめ、その痛みに耐えるのだが
すかさず機械少女の両手が、両肩を固定する為に抑える
出来の悪い人形の様にフラフラと歩行するように、ワザと作られているのだろう
僕を押さえつける力の強さを、加減の繊細さを考えれば…
彼女は見た目よりも、遙かに高性能なアンドロイドの様だ

この男の悪趣味は相変わらずだ…
紛い物のサローメはあくまでも不完全に…どうせそんな皮肉なんだろう?

まるで聞き分けの無い子供だねぇ… そうカラカラと笑う声にムカムカするが
外部刺激に連動し、さらに溢れる涙で視界は急速に曇ってゆく

「少しだけ腫れを抑える薬と、鎮静剤を投与したから
そのまま楽に暫く休んでいたまえ、その間にサンプル調査をするからね」

ご丁寧に肉球まで付けられた獣の小さな手が、汗の浮いた額を撫でる

〜おやすみ…サローメ、少しの間だが良い夢を…〜

だから僕は『サローメ』じゃない…【悪魔】の【鬼族】のゼノンだ
そんな声で囁かれても…夢見なんて良いワケがない

ヨカナーンのテリトリーに居ると言うだけで、不安な気持ちで一杯になる
誰も知らない…知られたくない過去の秘密を握る男
最弱の自分を強引に暴いた男の膝元で、ゆっくり休めるワケがない

狂ってはいても…ヨカナーンも馬鹿では無い、悪魔になってからは特に打算的で狡猾だ
それに…変質者の拘りなのか?劣情の対象としては【サローメ】にしか興味は無いので
ライデンやゾットに余計な?ちょっかいは出さないハズなのだが
ココで眠るのが意識を手放すのが、とてつもなく恐い…僕自身が………

それでも…おそらく僕の体質に、頼んでもいないのに合わせられ
微調整されているであろう、導入剤の睡魔には叶わない

だからココはキライなんだよ…そう呟いてゼノンの意識は混濁していった

※※※※※※※※※※※※※※

夢を見ていた…あの時の悪夢…

そう…何故こんな事になってしまったのか?
それが最初から用意されていた『罠』だったのか?も最早解らない…

「くっ…はっぁ…あっ」

高位悪魔の自分が…しかも若輩とは言っても、成体の雄の僕が
地下牢の冷たい床の上で、複数の人間に押さえつけられ犯されるなんて
こんな展開を誰が予想しただろうか?

既に変化を解き、悪魔の姿に戻ったゼノンは
唇を噛みしめながら、乱暴でおぞましい刺激に耐えていた

はじき飛ばす事は簡単だ、自分にのし掛かるこの兵士達はみな正気ではない
僕を見る目はみな曇って虚ろだ…今自分が何をしているかも解っていない
予言者の仮面をかぶったあの男に、戯れに暗示を掛けられているだけだ
でなければ…完全に正体を現した自分を、角と牙を剥き出しにした悪魔を
組み敷くなんて芸当は出来ないはずだ…ただの人間の神経では

「ほら…私を誘惑して堕落させるんだろう?坊や?
傀儡のコイツ等くらいは、満足させられなきゃ、とても・とても…」

【禁忌】を犯しても構わない…お前が欲しいと思わせられなきゃ?
誘惑なんて出来ないだろう?悪魔の坊や?色っぽい声くらい出してみたらどうかね?
そう言って天使は、ニヤニヤと僕の痴態を眺め楽しむばかり

天使は必要とあらば…人間に暗示を掛ける事も、殺傷する事にも制約は無いが
悪魔は違う…契約や取引も無しに、その存在を脅かす事も傷つける事も出来ない
ソレがこの世界での理…特に人間界に異界のモノが関わる為の秩序

ソレを逆手にとり、まさか人間を手駒に間接的僕をいたぶり嬲るとはね

性的営みを禁忌とする天界の者は、代わりに血を好むモノが多い
直接手を下し、命を奪う殺戮の快楽に身を委ねる天使なら常識的だ
故に禁忌そのものに触れる事はおろか、関わる事にも躊躇するのが当たり前なのに

こんな陰湿な手段を取る天使は初めてで、未熟な僕の理解を遙かに超えていた

確かに多淫は悪魔のたしなみ…どちらも経験が無かったワケでは無いのだが
悪魔の中でも【鬼】と言う特異種族であるが故に、抱かれる対象として見られる事は愚か、
普通の【火遊び】の対象として見られる事も久しくなかった

鬼の血を引く悪魔の発情と渇望は、常に相手の危険を伴うからだ

愛しいと思えば思うほど、その肌を切り裂き貪り喰らいたい欲望が衝動が
無意識の内に【絶望的な結末】に至る事も少なくは無い…
二重三重に【暴走】への封印をしかけてもだ

だからか…この頃の僕は、悪魔にしては蛋白な方だったと思う
誰かを大事に思う事も、恋する事も無い、それよりも学問に夢中だったから
ソレはあくまでも、その場限りの相手と打算的に済ますモノ

例え相手を嬲り殺してしまっても、ソレなら傷つかない自分自身も…

必要以上に他者と肌を合わせる事に、恐れすら感じていた…
そう言っても過言ではなかったかもしれない

「反応が堅いねぇ…悪魔のクセに、多淫は君達の特権でたしなみだろうに?」

ふざけるな…魔界の住人の全部がソレに当てはまると思うなっっ
しかもこんな無茶苦茶なやり方で、イイなんて思えるワケが無いだろう

そう叫ぼうとしたその口に、兵士のナニが強引にねじ込まれ
嗚咽し震えるその身体を別の兵士が、突き上げ中をかき混ぜる
獣の様に這い蹲り、たかが人間に抑えつけられ犯される悪魔を見下ろす天使
【異常】としか言い様の無い空間で、天使は明かな蔑みの感情を剥き出しに
サディスティツクな笑みは浮かべているものの、少しも興奮はしていない

熱も含まず、ただ経過観察をするような冷徹な瞳…ソレがさらに自尊心を傷つける

【誘惑する】と言っても…相手は年長の天使だ…そういうつもりは毛ほどもなかった
それに研究職と言う職務上、年配者の扱いには慣れているつもりだった
権力争いに敗れた偏屈に、悪魔としての要職と権利を新世界での生活を提案保証する…
それが駄目ならスキをみて、生命活動ギリギリの部分だけもぎ取って、魔界に持ち帰る

この男を前に、そんな甘ったるい考えだった自分が、今はとてつもなく恨めしい

※※※※※※※※※※※※※※

とにかく…最初はヤツとの信頼関係が必要だ

そのためには姫君のお守りとして、これ以上無駄な時間を浪費する余裕はない
何とか牢番として配置換えして頂かねばならない、勿論あの姫様の命令で特例的に…

走り去った姫様に少し遅れて、後宮に戻れば…
姫様の御寝室は、侍女達の悲鳴が飛び交う戦場の様な有様だ
初めての自分からの【愛の告白】を、無惨に退けられた姫の嘆きは底がしれず
母親譲りのヒステリーは止まらず、部屋の調度品は破壊しつくされた

流石はアノ王妃様の娘、可憐な見た目とは裏腹に血は争えぬと言う所か
実際…王族の娘にしては、政略結婚が遅れて居るのには
この気性以外にも、幾つかのワケと事情がある様だ

一つは母譲りのその美貌、他国の王族からの求婚者が絶えず
求婚者同士の戦乱・揉め事を避けられる適度な嫁ぎ先を、前王時代から決めかねていた事
二つ目は、母親の身分の低さもある…前王は子は娘サローメ一人だけである
【直系の子】を産んだ功績で、王妃の地位は手に入れたものの
元は踊り子上がりの母から生まれた姫の、外交上の価値は低い事
求婚者は絶えなくとも、正室・王妃として迎え入れるつもりの王家はおそらく無い

三つ目は、現王と前王からの【異常なまでの執着心】だ
叔父である男を惑わすだけではなく、実父である前王ですら
その美貌を我がモノにしようと狙っていたのではないか?

醜聞好きの民衆の間では、まことしやかにそんな【噂】が流れていた

何れにしても…本来であれば
とっくに他国に嫁いでいてもおかしくは無い歳でありながら
王宮に軟禁されている姫は、宮廷の中だけが全ての世間知らずなのだ
表面上はただチヤホヤと褒め称えられ、相手の真意など考えもせず、求婚される毎日
そんな自分が、自ら愛を告白した相手に受け入れられないなんて結末は
彼女の中では、どうしても納得出来るモノでは無いのだ

「ヨカナーン様は予言者です、普通の殿方とは違う考え方の持ち主
差し支えなければ、姫様の御為に彼の人となりを探りとうございます
私の後宮警護の任を解いて下さい、そして彼の牢番の責任者に
必ずや姫様のお役にたってごらんにいれましょう」

破れた寝具から溢れ出た、羽毛が飛び散るその部屋で
泣きわめく姫の前に、膝をつきうやうやしくそう囁けば

ぴたりと泣きやむ少女は、存外したたかななモノである
幼少より側に使えた近衛兵ナラボートに、全てを一任する
必ずや私の役にたってちょうだい

コレが【身分の高い者の憂鬱】か?
相手が自分の為に働く…それを当然の行為として受け入れ
その裏に何かあるのではないか?等と疑う事も無い…

依存心の高いお姫様のおかげで、僕は簡単に予言者様の世話係に抜擢される

※※※※※※※※※※※※※※

こうして…話は冒頭にもどる、あっさりと牢番を交代した僕をみて
まぁこれくらいは出来て当然だな、とヨカナーンはただ目を細めた

変な小細工などは一切通じないだろう、だまし討ちも不可能…そう思えばこそ
自ら正体の全てを自ら明かした、エンジェル・アイズの研究の事も全てだ

鬼族として【深淵の住人】としての、誇りとプライドもある
だがそれ以上に…全ての知識を手に入れたい、肉眼を通して理解したい

これは文化局局員としての名誉欲では無く、僕自身の欲望であり渇望だ…
立場は違えど、研究職が本分の貴方になら理解して頂けるはず
だから貴方の片目を拝借したい、それにともなうリスクは甘んじて受けますよ

それに…天界における貴方への旧体制への風当たりの強さは、
研究員の僕ですら聞きいておりますよ…もういいじゃありませんか?
光を見限り闇の眷属になった所で、きっと貴方は何も変わらないでしょう?
いや…最初から、天使としての地位なんてどうでもいいんでしょ?

引き替えに貴方の魔界での身分と暮らしは、責任を持って保証はいたします
この僕に出来うる範囲であれば、どんな要求でも呑みますよ…いかがでしょうか?

熱弁をまくしたてるワケではなく、敢えて媚びる様に語る僕の話を、
古老は黙って聞いていた ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら

「なるほど…バイオ義肢の研究成果としては、興味深いモノだ
ただ私の眼球だけを奪えばいい…と言うワケでは無いのだね…」

積み上げられた、僕の研究資料の全てに淡々と目を通しながら
ヤツは信じられない言葉を吐く

「ならば…悪魔らしく誘惑すればいいじゃないか…解りやすいカタチで」

まるで師匠に対する礼を取る様に、うつむき頭を下げていた僕の髪を、
いきなり鷲頭噛むと、狼狽える暇さえ与えられず、いきなり唇を深く貪られる

「ーーーーーーッ」

「私を丸ごと手に入れなければ、お前の望みは叶わないのだろ?
ならソレらしく誘ってみたらどうだね?最もらしい理詰めは学者の悪い癖だ………」

確かに今の彼は、天使の霊体ではない…
しかし…いくら人間の肉体に宿っているからとは言え
天使が…高位天使が、いきなり自分から【禁忌】を破るのか?
有り得ない展開に硬直する僕の肩を抱き寄せると、ヨカナーンはケラケラと笑う

「そういう考え方は…まだまだ青い…温室育ちのお子様だねぇ?坊や?」

ぱちんと鳴らされた指の音に、ハッとなって辺りを見渡せば
何時の間にこの牢獄に入ってきたのか?虚ろな目をした牢番の兵士が5人
ゆらゆらと不自然な動きをしながら、回りを取り囲んでいた

まずい正体を見られたっ 慌てて角を引っ込めようとする僕をみて
ヨカナーンはさらに嬉しそうに笑う、凶悪すぎる顔で

「まずは…その価値がお前にあるか見せてもらおうか?コイツ等を相手にな」

突き飛ばされた僕を受け止めた兵士が、がっちりと羽交い締めにしてしまう
別の兵士が剣を引き抜くと、甲冑のジョイント部分をブツリと切り裂く
重い音をたてて床に転がるソレを、呆然と見る暇もない
チュニックも帷子も引きちぎられ、剥き出しになった肌に
乾いた手と濡れた唇が舌が、一斉に群がる感覚に鳥肌がたつ

「ヤメロッ…」

殆ど獣の咆吼に近い、悪魔の威嚇にも兵士達は無反応だ
何かの暗示か?でなければ、完全に正体を現した僕に触れる
躊躇や恐怖心くらいは、あってしかるべきなのに?

「御明算…ソイツ等は私の暗示にかかっているだけの憐れな子羊さ
悪魔は不便だねぇ…条件付きじゃないと、コイツ等には手が出せないだろう?」

そうだ…その通りだ、それがこの世界の揺るがしてならない【理】

「お上品な後期量産型の天使と、私を同等に見たのが運のツキだねぇ…
さぁ魅せておくれよ…ゼノン、君の価値を…欲望に見合うみだらな本質をね」

別の兵士から受け取った、酒瓶の封を口で開けると
鎖で繋がれた壁を背に、ドカリと立て膝をつきあぐらをかく姿はとても賢者には
否天使には見えない…むしろ僕よりもずっと悪魔そのモノだ………

※※※※※※※※※※※※※※

屈辱にまみれた時間は、嵐の様に過ぎてゆく
いくら暗示に掛かったモノの、不完全で稚拙な手練手管とはいえ
流石に同時に5人も相手にしていたのでは身が持たない…
冷え切った身体に既に感覚はなく、汗と体液にまみれてしまった肌の不快感だけが残る
両脇を支えられならも、ぐったりと虚空を見つめ、
尚も揺さぶられ一方的犯される僕を蔑んだ所で、そんなに楽しいとは思えない
お決まり通りに屈辱に泣きわめくワケでもなく、快楽におぼれていくワケでもない
それでも…下半身だけは機械的に反応する、ただそれだけ

所詮は人間と悪魔…追い詰める事はおろか、よがり狂わせる事なんて出来はしない
見世物としては拍子抜けもイイ所だろう?どうせ【演技】をしてやった所で
見えてしまうんだろ?その高性能すぎる、その目には

「やれやれ…傀儡では役不足かい?強欲な子だねぇ…」

空になった瓶を放り出すと、鎖を引き摺ったヤツが近づいて来るのが解る
朦朧とする意識の中で思うのは、この行為の儀式の早期終了だ

さぁ…早く来い… ここまで来たら成り行きまかせの【変更予定】にも乗ってやる
悪趣味なクソジジイめ そのまま一気に僕を貪って【禁忌】を起こせばいいのだ
いや…その前に、まだ天使であるウチに、眼球だけは確保しなくては
堕天現象が起こる前に摘出しなければ…僕の望むエンジェル・アイズにはならない

「おや…頭の方はまだはっきりしている様だね、なら自分がどうすべきか解るね」

ズルリと内側を犯していたモノが引き抜かれ、拘束されていた両肩を解放されると
支えの全てを失った僕は、その場に崩れ落ちる…身体が鉛の様に重い
でも…まだ休めない、意識を手放す時ではない…アイツの眼球を奪うその時まで

重い身体を引き摺り、覗き込むヨカナーンの腰にすがりつく
下帯の下で既に堅くなり始めていたソレを探り出すと、
恥も外聞も無くシャブリつく…初めから腕の一本や二本を失うのは覚悟の上
生きた眼球が手に入るなら、これくらいの代償など安いモノだ

くちゅくちゅと卑猥な音をワザとたて、慣れない舌と歯で奉仕してやれば
うっとりとコチラを見下ろしているコイツは…本当に天使なのだろうか?

何もかもが…【当たり前の天使像】とはあまりにも違いすぎる
【賢者】とは一体何者なのか?有史以来、悪魔と接触する機会が皆無に等しい為か
データーが少ない分不確定要素が多すぎる 見切り発車だった事はいがめないが
いい知れない不安だけが、心の奥底にチロチロとくすぶりはじめる

「お口の方はソコソコ上手いみたいだねぇ、まぁ年頃の悪魔なら当然か」

そういうと後頭部を引き掴み、さらに喉の奥を力ずくで犯してくる
故意に気管を塞がれ、えずき苦しむ様子すら楽しむ様に
やがて口いっぱいに広がる、劣情と膨大な白の力…
反発するソレが、容赦なく僕の喉をジリジリと焼く…そんな何かがおかしい

苦痛のあまりボタボタと流れ落ちる汗と、溢れる涙をぬぐいながら
まるで…苦難に耐える殉教者の様だねえ…と男は冷たい笑みを零す

「上手に出来たご褒美だ、悪魔が知らない天界の秘密を教えてあげよう」

〜私は禁忌を犯した所で、堕天する事は無いのだよ〜

そんな馬鹿な…咳き込む喉を押さえながら、目を見開く僕に天使は更に続ける

最初の【賢者】はねぇ…天使であって天使では無いモノなんだよ
光りすらなかった、この世界を創造する為の先兵であり、補佐役だからね
自らの身体の一部を切り取り作った、言うなれば神の廉価版のコピーなんだよ
光から量産される【無垢な子供達】とは違う…元より罪にまみれた存在

神の一部だから、自ら神と決別しない限り処罰されない…
肉体の一部だから…裏切る事もない…考えてみたら簡単な事だろう?

「馬鹿なっ…そんな大切な事が何故…」

魔界の知識として、備蓄されて居ないのだ?

「ソレはねぇ…この私が情報操作しているからだよ」

人間界はおろか、時には魔界にすらフリーパスで忍び込み、
秩序を乱す秘密を知ったモノの情報を自ら消去する、誰にも悟られる事なく
それが…神の闇の部分を多く引き継いだ、老賢者ヨカナーンの役目

「だから残念だったねぇ…堕落させる事も誘惑する事も不可能なんだよ」

無駄な努力をさせてしまったねぇ…坊や、可哀想に気の毒に…

そうだ…この行為自体すら意味が無かった最初から
ただこの古老の手の平の上で踊っていたにすぎない
悔しさよりも何よりも、本能的な恐怖で身体がすくみ上がる
逃げなきゃ…今すぐにここから、この男が次の行動に移る前に早く

「おっと…秘密を知られたからには、このまま逃がしはしないよ」

教えてあげておいて何だけど、今の記憶は抜かせてもらうよ

見た目だけは、栄養不足の罪人の細腕、なのに物理的には考えられない力で
喉もとを掴まれ床にたたきつけられる、圧倒的な力の差に
震えが止まらない…恐い………神の一部だなんて、そんなモノにかなうワケがない

「それに前から興味があったんだよね、天使は黒に穢されると転魔するけど
悪魔はどうなんだろうね?白に侵食されたらどうなる?ただ消滅する?
それとも別の何某に変化するのか?幸い君は深淵の鬼だ…簡単に消えはしないだろ?」

「ひっ…嫌っ…やめ………」

「君も興味あるだろう?前例が無いだけに?天界では出来ない実験だねぇ…」

ガタガタと震える身体を、無遠慮な指と舌が這いずり
再奥をくちゅくちゅとまさぐる、長時間蹂躙され続けたソコは
なんなくその指を飲み込むが…そんな事なんの救いにもならない
早々に復活しているらしい、アレがあてがわれるのが解る
転魔しない相手の…神のモノに近いあの白の力に、内側から焼かれる
今度こそ本格的に………嫌だ…逃げなきゃ…誰か助けて

「ああ…やっとイイ表情になってきたねぇ、そうじゃなきゃ落としガイがない」

泣きながら藻掻く僕を見て笑うその目には、ほんの少し熱が篭もっているのか?
狂っている…【手を出してはいけない領域】に触れた…コレはその報いか?
先程の兵士達とは、比べものにならない質量をねじ込まれたからではない
もっと純粋な恐怖と絶望に震え、痙攣する僕の胸元で何かが弾ける

ぱりん

巨大化する金色の龍?いや双頭の蛇?

深紅の瞳を真っ赤に燃やしたソレが、のしかかる敵に襲いかかる
駄目だ…僕の為に無茶な攻撃をしないでください…ダイタリアン様………

バラバラとふりかかる金色の鱗の残骸と鮮血
狂った神の欠片の笑い声 遠のいてゆく意識の下でそれだけが耳に残る




続く………(汗)


あれ???リズムセクション3名の【ほのぼの話】にするハズだったのに
サイドストーリーがエグくなりすぎてる…無茶苦茶になりすぎてる

と言うか…ヨカナーン様…暴れすぎ、好き勝手しすぎ…なんじゃコイツ?

いや…ウチの【鬼畜和尚】がどん引きするレベルと言えば
やはりこのレベルじゃなきゃ?ラスボス感がなきゃ駄目って事?

と言うワケで…聖II同人界でも多分かなり珍しいX受が、
勢いだけで成立してしまった…しかも相手は悪魔ですらない
いいのか?こんな事で誰得???? ワケ解らん〜〜〜(~o~)

多分ブーイングの嵐の中、一応ちゃんと?最終的には?
RXかXRに戻るので…捏造過去話は別腹って事で宜しくお願いします

ほのぼの好きの方…ホンマすみませんm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m


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あきゅろす。
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