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君だから<最後は甘>









こんなにも苦しいのは



君だからだよ。













ガチャッ…





「ひっばりくーん!」


「う、わっ」



校内の見回りを終え、応接室に戻ろうとドアを開けると、何かに勢いよく抱き着かれた。
いきなりのことにバランスを崩した僕の体。
でもそれは僕の腰に手を回す人物によって倒れることはなかった。








「クフフフフ…」



聞き覚えのある笑い声。
知ってる人物だとわかっていたから咬み殺さなかった。

君だから咬み殺せなかった…




でも、











「…何してるの?……骸」



腰に回されていたはずの骸の手がいつの間にか前にあり、その手は僕のシャツに添えられていた。
すると、そのままプチプチとはずされるボタン。







「クフッv雲雀くんを襲っt



ブチッ
と僕の中で何かが切れる音がした。









「僕に触るな!この変態っ」

「グハァッッ」


ゴッという音とともに骸を吹っ飛ばすと気持ち悪い声が聞こえた。
大きな声を出したせいで乱れてしまった息を調えながら、ボタンを外され露になった前を隠すように、シャツをぎゅっと握りしめる。
そしてそのまま床に転がった骸を見下ろした。
睨み付けるのも忘れずに、ね。



なのに…











「ク、フフフ…その姿もそそりますね、雲雀くんv」


下から僕を見上げるように見てまたクフフと笑う骸に、カッと顔が熱くなるのを感じた。
慌てて骸に背を向けたけど、たぶん気づかれてる。












「おや?耳まで真っ赤ですよ?」

誘ってるんですか?


いつの間に起き上がったのか、そっと後ろから抱きしめられて、耳元で囁かれる。
ドキドキとうるさい心臓を押さえ込むように、僕はシャツを握る手に力を入れ、さらにぎゅっと目をつぶった。




こういう骸は…









「……ぃ…」


「ひ、ばり…くん?」





収まらないドキドキと、
うまく息ができないことが


苦しくて…













「骸なんか、嫌い」



「…!」







これは

君の、せいなんだから。











「…っ…」

そんなことを考えて、僕はキュッと唇を噛み締めた。
目をつぶったままの僕が感じるのは背中のぬくもりだけ


…のはずだったのに、









「すみませんでした」



そのぬくもりすら感じられなくなってしまった。
骸が…僕から離れた、から。
静かすぎる骸の声にはっとして、慌てて後ろを振り返った。







「むく…

「君が可愛すぎて、つい」


「!」





また、やってしまった…


また骸に




悲しそうな顔をさせてしまった…






素直になれない僕は、いつも…
いつもいつも心にもないことを言って、君を傷つけて……

後悔をする。




そしてそれを繰り返すんだ…


『またやってしまった』

と。





これで何回目?


いつもは、このあと骸が何か言ってくれて、まるでさっきまでの出来事はなかったかのようにしてくれる。
でもそれはきっと…無理、してたんだと思う。



だってほら、








「……」


今日は何も言ってくれない。
骸の顔は僕から視線を外すように、不自然に俯いていた。





僕は、後悔をしすぎたんだ。












このままでいいの…?




本当は、わかってるはずだ……














「…む、くろっ…」

「?!」


飛び付くようにぎゅっと抱き着けば、バランスを崩しながらも骸は僕を受け止めてくれた。
見上げるように骸を見れば、その目は驚きに見開いている。








「ご、めん…」

「…雲雀くん」





「嫌いだなんて嘘、だから…っ」


「クフフ、わかってますよ」



そう言って僕の髪を優しく撫でてくれる手は、とても心地良かった。
恐る恐る顔を上げれば、そこにはふわりと笑う骸がいて、





こういう骸は…










「…好き、だよ」




自然と零れた言葉だった。
それに、たまには素直になってもいいかなって思ったんだ。


だって、







「!…僕も好きですよ、恭弥」




僕は幸せそうな君を見るのが好きだから。


ぎゅっと抱きしめてくれる君の腕が心地よくて、僕はそっと目を閉じた。







僕は君と、
こうしていられるだけでいい…


なんて、我が儘なのかな?














「でもやはり、その格好は目のやり場に困りますねぇ」


「なっ…誰のせいだと思ってるの!」



そっと僕を離したかと思うと、そのままジロジロ見てくる骸に今、自分がどんな姿だったのかを思い出し、顔が熱くなるのを感じた。
慌ててボタンを止めようとするけど、思うように手が動かずイライラする。
そんな僕を見兼ねたのか、







「僕がボタンを止めてあげましょうか?」

にっこりと笑って言う骸に、どこか胡散臭いものを感じて、僕はすぐに首を横に振った。






「やだ、絶対変なことするから」

「おやおや?変なこととはなんですか?」


「…っだから、その…」



相変わらずにこにこと笑っている骸に、わかって言ってるんだ…と内心舌打ちする。





まったく、さっきまでの君はなんだったのか……












「恭弥」


「っな、に…?」




「僕は君のことを大切にしたいんです」



いきなり骸の声が真剣なものに変わり、その表情までもが変わる。
そのうえ真っ直ぐこっちを見つめてくるものだから、僕は不覚にも見惚れてしまって、何も言うことができなかった。


それから目を細める骸と、僕の頬に添えられる手。









「…キス、してもいいですか?」


「…っいちいち聞かないでくれる?」




たぶん骸は僕のことを思って聞いてくれたんだって、ちゃんとわかってる。
でも、言葉にされるとやっぱり恥ずかしくて、僕はぷいっと顔をそらした。
けど、それはすぐに骸の手によって再び前を向かされ、僕を見つめるオッドアイと目が合った。



そっと目を閉じれば、感じる温もり。
それは重なるだけのキスだったけど、とても長く感じた。











ドキドキするのも、

うまく息ができなくなるのも…



そうやって苦しくなるのも、





全部、君のせい。




だから責任とってよね?










こんなにも好きなのは



君だからだよ。














end...


























あとがき



な、長い…っ(汗)
前後編的な感じで2つに分けようか悩んだのですが、結局まとめてupすることにしました↓
おかげでぐだぐだ感が際立つことに…!(ひぃっ;)
まとまりのない話ですみませんでした、私にもよくわかりません(ぇ)

初めはギャグを書こうとしてたみたいなんで、す。
何分、けっこう前に書きためてあったネタなので…!(爆)
とりあえず裏は書けないのでお決まりの甘にもっていきましたv←
裏は恥ずかしくて書けな…っorz
い、いつか!(わぉ)


では、ここまで読んでくださりありがとうございました!!




2008.1.20

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