(君のトクベツって何)












コトン、コトン

図書室。
俺は手の中にある本を棚に一つ一つ丁寧に、間違いなく戻していく。

コトン、コト
「きゅーさく!」

本を手にしたまま後ろを向く。声の主はもちろん四郎兵衛。同級生だ。


「ああ、どうした?」

「どーしたもこーしたもないよ!」


四郎兵衛は俺の横に移動して無理強いして俺の手の中の本を半分持った。

「この本はここで良いんだよね?」
「ああ、丁寧にやってくれよ」
「うん!」


手伝いにきたのかこいつは。差し詰不和先輩辺りが彼奴は働きすぎだから手伝ってやってくれ。みたいなことを言ったんだろうな。
不和先輩もそうだけど、委員長や一年も、みんな図書委員会をトクベツと思ってる。と、思う。
俺はそうだ。トクベツ、そうこの委員会はトクベツなんだ。

「あっそうだ久作!言いたいこと忘れてた」
「だから何が言いたいんだよ!」
「は組!一年は組をまたいじめたでしょ!ろじが丁寧にネタバラシしてくれて金吾が怒ってたよ!」
「あいつらと遊んだだけだよ。いじめてなんか…」

嘘だ。と釘を刺され何も言えない。事実なんだけどな

「まったく。君たちい組はいつもそうだよね」
「そりゃなんと言おうか…まぁ俺たち三人はそういう性っていうか」
「分かる気もしないけど。三人は仲良くていいなぁ」

確かに俺たちは仲が良い…良いか悪いか分からないけど友達、というものだとは感じている。
喧嘩もするし仲直りもするし、遊ぶし笑うし

「他の皆よりはトクベツなんじゃないのか?」
「ふーん」
「お前も勿論トクベツだからな!」
「そうなの?僕は組だよ?」
「お前は関係ないんだよ!」
「そう言えば去年、僕の友達は君たちにちょっかい出されててピリピリしてたよ」
「お前にはなにもしてないだろ!」
「何で?」
「だってお前が」


トクベツだから?


言おうとした言葉が四郎兵衛の口から出る。
そう、ちょっかい出さなかったのも、い組の中に彼奴がいるのも全て時友四郎兵衛がトクベツだからだ。

「ねぇ久作」

だけど、
俺が委員会のみんなのトクベツと、い組のトクベツとはもっと。もっと別のものがある

「君の、ボクって、なに?」

俺の四郎兵衛、トクベツ
分からない分からない、けどこの悩みは心地が良い。
思考を深めるほど、胸がどきどきして黄色い気持ちが飛び出して、そして締め付けられる。
考えて考えて、俺のトクベツ
四郎兵衛がトクベツ


俺の



「分かった」

「俺、四郎兵衛が」




バタン

手の中の本が落ちた。
それは紛れもなく、四郎兵衛が口吸いをした反動。

俺の二文字で動いた。
俺たちのトクベツな、反動





















こんにちはキモトです。
なんと素敵な企画!!と参加させて頂きました。
二年、久作、そしてしろ久の輪がもっともっと広がるよう願っています。
それでは失礼します。
ありがとうございました。


あきゅろす。
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