俺の愛は歪んでるけど…【ベルザン/悲恋】
「…何しに来た」
広い部屋で大きな椅子に座りウイスキーを口にするザンザスが、ベルを目にしてそう言った。
「用がねぇならとっとと出てけ」
「ボースー、俺、ボスがだぁいすきなの。…だから…ね、」
一歩、二歩と近付いていくベル。
「俺のモノになって…ボス、」
ザンザスを抱き締めるベルは、こっそり自分のズボンのポケットから注射器を取り出した。
「痛いのは最初だけだから我慢してねボス。」
ザンザスは異変に気がつくが、少々遅かったようで、体の自由がきかず、そして段々と体が熱くなっていき、息が上がっていった。
「…はぁっ、はっ……べ…べ、る………てめ…っ…なに、ッしやがっ…た、!!」
「ん?やっぱりボスにはこの薬ちょっと弱かったんだ。喋れなくなっちゃうはずなんだけどなー。………この薬ねー、なんかよくわかんないんだけど、体痺れちゃうらしいよ。」
楽しそうにザンザスを撫でるベル。
「ボス、言うこと聞かないから…こーやって体の自由奪わないと襲えないじゃん?」
「ふっ、…ふざけん……はぁっ、な…ッ!!」
ベルの胸倉を掴む。…………が弱々しく、掴んだ手が離れてしまう。
「ふざけてないよ。すっげ真剣。あ、そうだ、ボス………」
ガッ!!!
大きな痛々しい音と共にザンザスの口から血が垂れる。
「……ふっ、…はぁ、はぁ、て…め、…っ、」
ベルは殴った手でザンザスの口元の血を拭って、舐めた。
「…ん、ボスの味…、ボス大好きィ…、」
ザンザスは必死に助けを求めようとするが、ザンザスの口はベルの口によって塞がれた。
ちゅ、ちゅく、ちゅぅっ、
ザンザスの血で赤く染まった唾液を、綺麗…と一人呟くベル。
「ぼす…………、」
ベルはザンザスの服を脱がし、鎖骨を舐めた。
「…っ!!んぁっ…や…め、ろ……ッ」
「ししっ、感じちゃってんの?…………、」
ベルは一旦離れると、椅子に座っているザンザスを思い切り椅子ごと蹴り飛ばした。
「あ゛ぐっ…!!」
衝撃が強かったのか、ザンザスは顔をしかめた。
「ボス、大丈夫ー?」
からかうように笑い、ザンザスを足蹴した。
「ぐぁっ…!!」
「かんわいー、ボスっ」
ザンザスの上に乗り、ナイフで頬に傷をつけた。
「………っ、べ、る…やめ……ッ、」
「俺のもノに、ナッて…、??」
ベルは持っていたナイフを投げ捨てるように床に置き、両手をザンザスの首に添えた。
「べ、る……や、やめ……ッ…んぐっぅ……!!」
段々と首を抑える手に力がはいっていく。
「ボス…ごめんね。俺の愛は、歪んでるけど…………、」
「ぃ、や…………だ、まだ……死、にた…………く……………っ」
「どうか受け取って、」
(ボス、大好キ。)
――――――――――――
ピッ、ピッ、ピッ、…
静かな部屋。
聞こえるのは医務室にある機器の音だけ。
「………ぼす。」
ベッドで眠るのは脳死状態のザンザス。
「ずっと一緒にいてあげる。」
「離したりなんかしないよ…」
「だって、俺は、」
ザンザスの手を握るベル。
「ずっとずっとボスの事大好きだから……」
ベルの、長い前髪で隠れた瞳から涙が一筋流れた事は、ベル本人も気付かなかった。
ベルはただただ目を覚まさないザンザスを見つめるばかりだった。
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なんかベル可哀相です…
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