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スクラップティーチャー
帰宅。
東一は、八中を去った後も悟史の家(マンション)に入り浸るようになっていた。
一般的に言うならば、半同棲ということになる。

今日も、東一は悟史の帰りを待っていた。
聞きなれたジャガーの重低音がして、東一は、エレベーターの所要時間も考えずに、急いで玄関へと向かう。

ドキドキと脈打つ心音を感じながら、愛する人の帰りを待つこと数分。

既に東一によって鍵の開けられていたドアが開く。

「ただいま。」

教師という仕事を生き生きとこなすようになり、随分と表情の柔らかくなった悟史は、誰に向けるものより優しい笑顔を浮かべて帰ってきた。

「お帰りなさい。」

それを迎える東一も、年相応の愛らしい微笑みで迎える。

東一の常を知る者ならば、我が目を疑う光景だ。

そして、更に驚くべきとも言う事が、二人の日常となっていた。

悟史が、かがみ込むようにして、東一は背伸びの格好で、浅いキスを交わす。

「せんせ…あ、じゃ、なくて…悟史…さん…」

名前を呼ぶという慣れない行為で、東一の真っ白な頬が桃色に染まる。

「ん?」

「ご飯、出来てますから…」

「いつもありがとう。」

額に、再び口付けされて、益々東一は赤くなってしまう。


こんな豹変は、まだ、序の口なのだった。


◇ひとだんらく◇




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