大部屋。(中編)
3
中に入ると動きづらい、という理由で、二人は服を脱ぎ捨ててから布団を被った。
いつもの必要最小限の脱衣と違って、触れ合う素肌。
直接的に伝わる熱が、互いを暖める。
有理の肌は、すべすべとしていて、女の子のような甘い香りをさせている。
対して、和紗の肉付き良いしっかりした体は、有理の被保護欲のようなものを誘った。
「こんな、ちゃんとしたエッチ…っていうのかな?…初めてじゃない?」
緊張で上擦った声の有理が言う。
「そういや…いつも床とか風呂だな…」
「うっわぁ…何か…ねぇ…俺って不憫?」
「しょうがないだろ…家のベットは、男二人じゃ狭いんだよ。」
会話を続けながらも、さり気なく、和紗の手が有理の腰を撫で始めた。
「わかってるよ。和紗に溺愛されてんのも知ってる。」
「何恥ずい事言ってんだ!」
珍しく赤くなる和紗を見て、有理は、クスクスと笑みを零す。
その笑顔の愛らしさに、不覚にも和紗の息子は反応してしまうのだった。
「かずさ…」
テノールの、心地良い甘え声に名前を呼ばれ、和紗の心臓が大きく脈打つ。
「有理、もう、無理…我慢できない…っ!」
言うが早いか、和紗は、ふわふわとした布団の中に潜った。
そして、下腹部を擦りつつ、桃色の胸の尖りに口付ける。
「ふぁ…あっ……やぁ…」
有理を知り尽くした的確な舌技を揮われ、起ち上がる自身をも、和紗の指に捕らわれてしまう。
「和紗っ…!」
「ん〜?」
「キス…して…」
恥じらいながら言う有理の唇に、和紗は、迷わず唇を落とした。
そのまま柔らかな咥内を侵し、舌根まで絡める勢いで蹂躙する。
有理の小さな口からは、直ぐに唾液が零れる。
「っはぁ……」
唇を離すと、切なく潤んだ瞳が和紗を見つめていた。
「今日の有理…格別に可愛い…」
惜しみない賞賛の言葉に、有理は、真っ赤になって顔を背けた。
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