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大部屋。(中編)
1(完結)
夏から秋への季節の変わり目。
日は短くなり、夜から朝にかけての冷えが厳しくなってくる頃。

特に冷え込んだその夜、有理は分厚い毛布を被って包まっていた。

体温が下がると異様に人恋しくなる事も手伝って、有理の頭の中はいつにも増して和紗でいっぱいになっている。

暖かい腕の中で丸くなる感覚だとか、間近の体温、快感に埋もれる言い知れぬ高揚感。

触れ合う唇に、熱をもった和紗の……

冷たい体は、徐々に情事の記憶さえ引き出してきた。
有理が、慌てて思考を止めても時既に遅し。

欲張りな息子はとっくに自己主張を始めていた。

「ヤバイ…」

こんなに、欲求不満だったのかなぁ…
日頃の不摂生ともいえる和紗との性生活を思い出しながら、心の中で呟く。

とにかく、どうにかしなきゃ…

急いで、ベットサイドの机に乗っていたティッシュボックスを手繰り寄せると、ズボンを引き下ろした。

自然に思い出される和紗の手つき。
たどたどしくも、その動きを真似るように扱き上げていく。

「ん……」

足りない…
有理としてはかなり不服なのだが、どうやら、ただの手淫は快感とは違うものになってしまったらしい。

長らく自慰とは離れていたせいで気がつかなかったのだ。

ふと視線を上げると、和紗が忘れていったジェル状のローションが、何気なく本棚に置いてある。

「使っちゃう?」

自問自答。
返事はYes。




なるべく、いっぱい。
和紗のしている事を思い出しながら、恐る恐るチューブを押す。
ヒヤリとした感覚が、愛撫の記憶を蘇えらせる。

ベットに仰向けになって後肛の入り口を探り、指の先端に力を込める。

ぷちゅ…

嫌な音がして、ほんの少し、有理の細い指がのめり込んだ。

「冷たっ…」

もっと…つけなきゃ…

抜き出した指に再び潤滑を塗りつけ、蕾に埋める。

「ふ……ぅ…」

初めて感じる内部の感覚。
どうしようもなく恥ずかしいのに、止められない。

「っん…ふゃ……ぁ…」

時折前も擦りつつ、必死に内壁を弄っていると、とても柔らかな部分に触れた。

そこは、ほんの少し掠っただけで涙が溢れてくる。

「っひ!…ひぁ…あ…ぁあっ!!」

自身が勢い良く天を向く。
拙い指が、夢中になって敏感なそこを攻め続ける。

「…っ……ハァ……ァ…っ…」

呼吸が苦しくなる程の、強烈な感覚が有理を襲う。

「っん…あっ……かず…さ」

不意に口を衝いて出る愛しい人の名前が、まるで彼の人と交わうような錯覚を生む。

「ハァっ…ぁ…和紗っ……かずさぁ……っ!」

声にならない掠れた絶叫と共に飛散した白濁を、零さずにティッシュで包むと、有理は頭を枕にぐったりと沈めた。

「やだ…俺…今…」

和紗を…おかずにしてたなんて…

明日、まともに顔見れない…





◇ひとだんらく◇

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あきゅろす。
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