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大部屋。(中編)

有理の提案で仕方なく登校してはみるが…
動揺して何度もボロが出そうになる。

俺より有理の方がすごいけどな。

朝の歯磨きで鏡を見ても驚いたり…
ちょっと笑えるんだけど、残念ながら可愛い顔じゃないんだ。
低い声で(俺の体で)あんまり可愛いことすんな…

家を出る時に履こうとするローファーを取り違えたり、あげく、いつもの席に行って座ってから気づいたり、いつもの調子で名前呼んで駆け寄ってきたり…
傍目に見ると気持ち悪い…俺…

一番困るのは…トイレだな。
俺の理性が持たない。有理…の、可愛すぎんだよ…

でも、無断で何かしたら怒るだろうな…
しかも、家、逆に帰らないとだから…親帰ってきたら俺のふり、なんて有理には耐えらんないはず。
絶対バレる。

仕方ない…

「有…じゃ、なくて…和紗ぁー」

危ね!…有理って呼ぶとこだったよ…
運よく周りは気づいてない。

「何?」

「治るまで、俺ん家泊まってて。」

俺の家…あ、間違えた。正確にはお前ん家…
ま、通じるだろ。
この状態、本当に不便だな。



そんなこんなで、帰る途中に有理の家に行って服取ってくる…
つっても、服の用意とかやるのは俺なんだろうな。
有理の親はきちんと家に居るから。




見慣れたドアを開ければ、有理のお母さん登場。
ちょうど出掛けだったみたいだ。
やばい…ちょっと見惚れそうだ…有理に似てるから。

「ゆうーお帰り。あら、和紗君も一緒なの?」

……って、見てる場合じゃない!
これは…俺か。
俺=有理。よし、完璧。

「ん、ただいま、あの、さ」

「何?」

「暫く、和紗ん家泊まっていい?」

変なトコなかったよな?
 
あ、有理の方見てる…何だ!
有理何かやったのか!?!?

人知れず心臓がバクバクしている。
ダメだったらどうしよう…!

沈黙の後、有理の母さんはにっこりとして、

「いいわよ。ご迷惑をお掛けしないようにね。」

良かった…
思い荷が下りたので、そのまま家に上がる。
やっぱり、少し気まずいし、抵抗あるな。

「じゃ、用意してくる。」

2階へ駆け上がると、突き当たりが有理の部屋。
服は…どうせ俺が着るんだし、好き勝手しよう。

さっさと着替えと洗面用具を詰め込んで、有理の家を出た。

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