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大部屋。(中編)

篭っていても仕方がないので、とりあえず登校してみる。
が、履こうとするローファーを取り違えるわ、席も間違いかけるし、つい本当の名前を呼んでしまったり…意外と疲れる。

しかも、和紗は俺よりもでかいから、いつもの調子で動くと体をぶつけまくってしまう。
一日で痣を作りまくりだ。

体育に至っては、どうしようもない。
上手く動けない上に、俺と和紗の得意競技は全然違う。
和紗は柔道とか野球とか、あんまり走らないのが得意で、俺は短距離とか高飛び、体操…とにかく、よく動く。
だから、授業中はなるべく何もしない。
まぁ…少し位変に思われても仕方ないさ。

「有…じゃ、なくて…和紗ぁー」

「何?」

「治るまで、俺ん家泊まってて。」

そりゃぁ、懸命な判断だ。
俺もそう思ってたとこ。
和紗の家は基本、留守だしね。

ということで、学校帰りに俺の家に寄って、何泊分もの着替えを詰め込むことになった。





「ゆうーお帰り。あら、和紗君も一緒なの?」

第一関門。ここは和紗が答えるとこ。
あくまで俺らしく…頼むぞぉ…っ!

「ん、ただいま、あの、さ」

「何?」

「暫く、和紗ん家泊まっていい?」

母さんの目が考え事をするように宙を動いて…
俺と目が合う。

あぁ…ダメだったらどうしよう…

何もしないのは不味いから、とりあえず笑ってみる…と、母さんもにこっとして、

「いいわよ。ご迷惑をお掛けしないようにね。」

母さんの顔がぐっと近づいて、そっと、ゆうを宜しくね。と言われる。
別に、他意は無いよな?無いよな?

「じゃ、用意してくる。」

和紗がそう言って、2階へ駆け上がる。家のつくりは完璧に覚えてるみたいだから心配ない。
それにしても、さすが和紗。演技上手いなぁ。

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あきゅろす。
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