[携帯モード] [URL送信]
Luxuria-色欲-
キャロライン
「ルークスリア…色欲、対応する悪魔はアスモデウス」

ルースM
「私は夫に言われた
色気が無いと
女としては屈辱的な言葉を浴びせられ
私は夫と別れた
うっぷんを晴らすかのように
私は娼婦になり
女として磨きに磨いた」

時には情熱的に、時には冷淡的に、一夜だけの夢は沢山の男を惑わせた。

ルース
「退屈ね、抱かれるだけなのも
もっと、刺激がほしいわ
そう、もっと・・・
夫のあの言葉を忘れられるくらい」

ベッドに埋もれダルい体を仰向けにした。見えるのは妖しい照明に因る光の反射とクリーム色の天井。香る香水はタバコの臭いを消す為と過去の思い出を払拭させる為だ。

ルースM
「また、客が入った
毎日おんなじ刺激、感覚
女として、もっと輝きたい!」

強い色欲が彼女の身に纏う。そしてその罪は彼女にとって甘美。美しく輝く姿は魔性の化身となり多くの男性を魅了した。

Luxuria-色欲-

ルース
「ふふふ・・・さぁ
楽しみましょう
女として最高の時間を」

その悪性ある気配にエリオは気付き、ルースのいる館に近づいた。だが大人の身ではない為に入ることが困難であった。

エリオ
「く・・・この体は時には不便なものだな
ミカエル、この館の中に必ず色欲がいる
表まで誘き出してくれるか?」

ミカエル
「こういう場所はあまり好まないが
まぁいいだろう
この邪悪な気配も断ち切らないとな」

そうしてミカエルは娼婦の館に入る
ある一室から濃い邪悪な気配がした
迷わず入るとそこには大量のミイラ化した
死体が転がっていた

ミカエル
「ふむ…相手の生気(せいき)を吸う能力か
お前か?色欲の持ち主は」

ルース
「あら、いらっしゃい
私と楽しみに来たの?」

ミカエル
「……このような場所では楽しめん
違う場所へ移動するぞ」

ミカエルはルースの腕を掴み
外へと連れ出す
そこにはエリオ達が待ち構えていた

エリオ
「うまく連れて来てくれたようだな
礼を言う」

ミカエル
「俺は清浄なる存在だからな
邪悪すぎる場所は毒にもなりかねん
さっさと連れて来たぞ」

ルース
「まぁ、私に用があるのはこちらではなく
このような少年だったなんて…
困るわ…坊やとは遊べないのよ」

楽しそうにルースは笑うとミカエルに抱き着く

ルース
「貴方のような人なら、遊んであげてもいいけど
ねぇ、私と遊びに来てくれたんでしょう?
ならイイことしましょう」

ミカエルの体を妖しく撫でるが
彼は冷静に切り捨てる

ミカエル
「残念だな、お前の色欲の力や魅了の力も俺には
無効
ここまで堕ちると見ていて虚しいだけだ
さっさとエリオに力を取り込まれてしまうがいい」

ルース
「なっ!!他の男は私に良くしてくれたのに!
貴方達は一体何者?」

ミカエルから離れると待っていたのかのように
キャロライン達が現われる

キャロライン
「あらあら、貴方の魅力が無いから
振られちゃったわねん
残念で可哀想な女」

ルース
「私は十分魅力があるわ!
あの男が分からないだけよ!!」

彼女の色欲の力が更に強まり
ミカエル達を穢し始める

ミカエル
「くっ…俺にはかなり毒だな
くそ…力が抜けていく」

クレメンティーナ
「ミカエル!!これ以上はさせません!
光よ!彼の者に裁きを与えたまえ
ホーリージャッジメント!!」

クレメンティーナの魔法が
ルースに当たる前に
アーリマンが彼女を抱え助けてしまう

アーリマン
「ふふ…お主に今消えられても困るからのう
よくミカエルをあそこまで弱らせることが出来た
色欲は凄いのう
わしにとっては甘美なものじゃが」

ルース
「あら?助けてくれたの?
ありがとう…イイオトコね、貴方」

アーリマン
「クックック
わしには効かんよ、同じような能力をもって
いるからのう」

キャロライン
「んもう!遊んでないでもっとこの女から
力を発動させるのよ!アーリマン」

アーリマン
「少しくらい良いではないか」

エリオ
「似た者同士、戯れている暇などないぞ?
色欲の力よ!我に還れ!」

エリオが手をかざすと
ルースから色欲の力が抜けていく

アーリマン
「いかん!お主から今全てが取り込まれてしまうぞ?
良いのか?せっかく手に入れた女としての
魅力がなくなってしまうぞ?」

ルース
「嫌よ!!私はもう誰からも女として
拒絶されたくない!捨てられたくない!!」

ルースから拒絶され
力の吸収が止まる
エリオは舌打ちをしたが
自分の中にある僅かな色欲の力に気付くと
ニヤリと笑う

ミカエル
「エリオ…早くそいつを何とかしてくれ
近寄れもしない」

クレメンティーナ
「キャロライン達がやはり邪魔ですね
ミカエルの助力があれば追い返せるのですが
この調子だと難しいです」

エリオ
「二人とも大丈夫だ
少しは取り込めたからな
何とか出来そうだ」

エリオから暴食と怠惰の力が溢れ
凄まじい眠気と脱力感にキャロライン達は襲われる

キャロライン
「あーんもう!!身にまとっている悪の結界すらも
破るのね!怠惰って怖いわ!」

アーリマン
「やはり大魔王…あなどれんわ
ここは退散した方がよいじゃろう」

キャロライン
「いっつも良いところで退散するなんて!
悔しいわー!」

しぶしぶ二人は退散すると
エリオはルースに近付く
拒絶するかのように力で弾き返そうとするが
エリオにはそれは効いていないようだ

ルース
「来ないで!!私から全てを奪わないで!!」

霧は濃くなり
エリオの姿を捕える事が出来なくなる
気が付くとルースは誰かに抱きしめられていた

エリオ(成人)
「女というモノは我儘で嫉妬深くて大変だな
お前は色気とかそんなに大事か?
返してもらうぞ、お前の中にある
僕の力」

頭を押さえ強引に口付け
力を奪う
エリオの姿にルースは思わず魅了され
抵抗もなく受け入れていく

ルースM
「色気が無いと捨てられた私は
この力があったから振り向いてもらえたのに
もう力を失った私には誰にも振り向いてもらえない
愛してもらえない」

エリオ(成人)
「そんな事はないさ
女性の魅力は全て色気という訳ではない
自分をまず見直し受け入れていく事だ
そうすればあとは自分を違う形で磨けばいい」

ルース
「私は…今の娼婦としてのやり方しか知らないわ」

エリオ(成人)
「魅力がない人間が結婚なんて出来ないぞ?
お前には魅力があった
思い出してみろ
お前が愛されていた記憶を…出来事を」

エリオの背後を覗くと
そこには昔の自分がいた
初めて彼氏が出来た時
初めて元夫にプロポーズされた時
言われた言葉があった

エリオ(成人)
「笑顔の君を愛している…か、
良い言葉じゃないか
さぁ、目を覚ませ
新しい世界がお前を待っている」

ルースは一つ涙を流すと
そこには誰もいない道に
一人立っていた

ルース
「忘れていたわ…私には最高の力があったじゃない
もう道を踏み外さないわ
色気という言葉に憑りつかれていただけ
愚かな行為はもうやめましょう
…ありがとう、今までの彼達」

一通り泣いてスッキリすると
彼女は笑顔で娼館を後にした




《*前へ》《次へ#》
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!