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ラディス//4
「まぁ君も大変だね、でもうちの理紗もモテるからさ、気持ちは理紗の方が分かってると思うよ」

優花はそう言うなり理紗を見て真人に話し掛けるよう促した


…そうか、こいつが間とって皆と俺を仲良くさせようとしてんだな
理紗は見た目気が弱そうだし
冬心は口下手そうだしな
だから話上手な優花がリードしてんのか


んっ?と言うことは
皆俺と仲良くしたいって思ってくれてんだな…

ふーーん……



俺は勝手にそう理解してまだ黙り込んでいる理紗に話し掛けた


「お前ってどれくらい凄いんだ?」


「えっ?何がですか?」

「モテっぷりだよ」


「え…と…真人さんと同じくらいでしょうか」


理紗の言葉を聞いた途端俺の頭によぎったのはいつも男に追い掛けられている彼女の姿だった



「もしかしてお前も集団から追い掛けられてたりしてるのか?」


「えぇ…まぁ」


「他には何かされてたりしてるのか?」


「………。」


あまり答えたくないのか理紗はうつむいて黙ってしまった


「おい…どうしたんだよ」


その様子に真人はどうしようもなく慌てた
よく考えれば質問攻めをしていたからだ
きっと口下手な理紗にとってあまり好ましくない行為だったのかもしれない


でも過ぎてしまった事で悩むのも仕方がないので真人はとりあえず謝ることにした


「ごめんって、質問攻めし過ぎたよな?気に障ったか?」


まだ俯いている理紗の顔を覗きながら尋ねてみた

よく見ると微かに理紗の瞳には暗い影が滲んでいた


「いいんです…困らせてしまってすみません…あの…私…」


顔をあげた理紗は微かに唇が震えていた
必死…という言葉が似合うだろう


今まで黙って理紗の事を見ていた可誉達だったがついに言葉をはさんだ


「いいよ…アタシ達が言うから無理するなよ?」

「理紗さん…もういいですからね」


「そうだ、十分頑張ったぞ?真人にちゃんと理解してもらいたかったんだろ?」


優花の言葉に理紗はしっかりと頷いた

皆はちゃんと見ていたのだ
理紗の頑張りを…



しばらく沈黙は続いたが
それを破ったのは優花だった


「理紗は俺たちの学校じゃ一番に男からモテてるぞ」


「お前みたく毎日追い回されてるんだよ」


「大変なのはストーカーですね…後は女子からの嫉妬の嫌がらせでしょうか…」


優花の次に可誉が…そして最後に冬心が間もなく説明してくれる


俺はそんな三人の会話を一文字も欠かさず聞いた感じで真剣にきいた


三人も真剣な面持ちだったからきっとストーカーと嫌がらせは半端じゃなかったんだろう
そんな事が頭に浮かんだ

「真人さん…あの…私の事嫌いになりました?こんな私とは仲良くしたくないですか?」


「何言ってんだよ!!お前も一緒じゃん、苦労してんだろ?俺だって好きでモテてんじゃないのに毎日が大変でさ、参っちゃうんだよ、お前もそうだろ?」


俺は余り
人の悲しんだ目を見たくないんだ

こっちまで悲しくなってくるから

それに
そんなの俺らしくないって自分でも思うくらい俺は楽観的な奴だから


悲しんでる奴を
少しでも明るくなるように
元気な声を出すだけなんだ

不器用…だな俺



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あきゅろす。
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