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Invidia-嫉妬-
ミカエル
「インウィディア…嫉妬、対応する悪魔はレヴィアタン」

エリオが自分の力の気配を辿り
一つの街に着く
だが街自体は平和で何も無かったように
時は過ぎていた

エリオ
「普通だな、だが微かに気配はするんだ」

クレメンティーナ
「気配を感じたのならこの近くにいるはずなのですが」

ミカエル
「まだ覚醒していないのかもな
だから気配が微妙なんだ」

エリオ
「確かに…気配は薄い
もう少し探してみよう」

三人が話しながら歩いているとエリオが一人の少女とぶつかってしまう

チェリア
「キャっ!」

エリオ
「おっと!大丈夫か?」

チェリア
「えぇ…ありがとう」

エリオM
「可愛いやつだな」

チェリア
「なっ何?私の顔に何かついてるの?」

エリオ
「いや、特には・・・君、名前は?」

チェリア
「え?…チェリアって言うの、貴方は?」

エリオ
「僕はエリオ、ぶつかってしまったお詫びだ
もし時間が許せばお茶でも飲まないか?」

クレメンティーナ
「?エリオはどうしてこの少女をお誘いしているのでしょう
ナンパというものですか?これは」

ミカエル
「くくくっ…そういう事になるな
エリオはあの少女が気に入ったらしい」

エリオ
「聞こえてるぞクレメンティーナ、ミカエル(ちょっとむくれている)」

チェリア
「ねぇ…ナンパなら他を当たってくれない?私そういうの嫌いなのよね」

エリオ
「ナンパというチャラいものじゃないぞ
とにかく時間は大丈夫なのか?」

チェリア
「あら?本当は強気な感じだったのね
一見したら大人しい子だと思ったけど・・・
(意地悪く笑い)いいわ、付き合ってあげる
お茶だけじゃなく買い物も
付き合ってもらうわよ!」

エリオ
「(笑う)いいだろう、付き合うぞ」

チェリアはミカエル、クレメンティーナには目もくれずエリオを遠慮なく引っ張りまわした。行き付けの喫茶店で紅茶を飲み、その後はデートスポットで沢山の買い物をした。

チェリア
「あ…可愛い」

エリオ
「そのクマがどうかしたか?」

チェリア
「え?うっううん、なんでもない」

エリオ
「…。ミカエル、チェリアを少し預けるぞ」

ミカエル
「?分かった」

何を考えているのかさっぱり分からないミカエルだったがクレメンティーナはエリオがあの例のクマのぬいぐるみがあった店に入ったのを見逃さなかった。

クレメンティーナ
「意外と優しい所もあるんですね(微笑み)」

程なくするとチェリアの元にエリオは走ってくる。手には大きな袋を抱えて。

チェリア
「エリオ、どこ行ってたのよ!自分から誘ったくせに失礼極まりないわ」

エリオ
「これを、お前にと思ってな」

袋の中身を空けたチェリアは驚きと喜びの気持ちが入り混じった声を出した。

チェリア
「!! これって…」

ミカエル
「クマのぬいぐるみ、だな」

クレメンティーナ
「おやおや、よかったですね」

チェリア
「…///あ…ありがとう、エリオ」

エリオ
「…///(釣られて赤くなる)」

クレメンティーナ
「暖かい気持ちになるのはなんででしょうね」

チェリア
「エリオは、私の事、どう思ってるの?」

エリオ
「なんだ、急に」

チェリア
「クレメンティーナとか綺麗な人とずっと一緒にいるし、エリオくらい優しかったら彼女の一人や二人…」

エリオ
「ふぅん…どうして知りたいんだ?」

チェリア
「そんなの!そんなの…えっと…私、エリオが」

クマのぬいぐるみを恥ずかしさからぎゅっと抱きしめる。すると邪悪な気配が一気に近づき一同はその気配を知る事になった。

キャロライン
「まだ覚醒してないの?
おかしいわねぇ
もうとっくに
覚醒してるかと思ったのに」

クレメンティーナ
「貴方は…!」

キャロライン
「エ〜リオ!良く聞きなさい!
魔王と人間は遭いいれないのよ★
産まれてくる子供はすぐに死ぬか
呪いに罹るかで可哀想な目に遭うだけよ」

エリオ
「なっ何を言い出すんだ
意味が分からない!」

キャロライン
「つまり、好きになっちゃ駄目よ
人間なんてあんたが
一番嫌いな生き物じゃない」

チェリア
「…!!」

キャロライン
「悪魔は悪魔同士
人間は人間同士
それは当たり前の理でしょう?」

チェリア
「私は、それでもエリオが好きよ!!
優しくて引っ張ってくれて
頼りになって笑顔が可愛くて
私の事ちゃんと見てくれて!
いきなり現われた貴方に
何が分かるって言うのよ!」

キャロライン
「嫉妬が滲み出て来てるわ★
いい感じね」

沸々と燃え上る嫉妬の炎がチェリアを包む。その眼差しの先はキャロラインだった。人間が黒魔女に勝てるはずがない、分かっていたからエリオは迷わずに駆け寄った。

エリオ
「チェリア!お前には無理だ!止めろ!
!! っうお!」

アーリマン
「お主をこれ以上近づけさせたくないからのう
大人しくしている事じゃ」

だがチェリアに近付く前にアーリマンによって抱えられてしまった。チェリアの嫉妬はエリオを想えば想うほど力を増し、キャロラインを喜ばせた。

キャロライン
「凄い!凄いわ!!
さぁ!その力で人類を滅ぼしちゃいなさい★
エリオを奪うかも知れない女共は山ほどいるわよ!」

チェリア
「それは…貴方も含まれるわ!!
消えてちょうだい!」

嫉妬の炎が龍の形になる。人間がここまで嫉妬の魔の力を操るとは才能がある者だけ、思わずキャロラインから歓喜の声が上がった。

キャロライン
「凄いじゃない!あんたは最高の器よ!
でも…黒魔女に勝てるとお思い?!
その嫉妬の力私に向けるのではなくて
人間に向けなさいよ!
じゃないと、殺すわ★」

エリオ
「!!止めろ!
くそ!ミカエル!クレメンティーナ
協力を頼む!」

ミカエル
「わかった」

クレメンティーナ
「分かりました!」

魔の力が溢れかえる空間にミカエル達の聖の力が流れ出す。油断したアーリマンに怠惰の力で追撃し拘束から解き放たれたエリオは力を暴走させているチェリアの元へと急いだ。

アーリマン
「ちっ…油断したわ
やはり怠惰の力はあなどれんのう」

エリオ
「チェリア!!」

キャロライン
「きゃははははは★
人間が、黒魔女に嫉妬するなんて
面白いわぁ!
そろそろフィーナーレと行きましょ★」

チェリア
「エリオを奪おうとする貴方なんか
大っ嫌いよぉおお!!」

嫉妬の龍の炎を食らい尽くす黒い炎。キャロラインが掲げた杖から邪悪な力が発せられ容赦なくチェリアの腹を貫いた。

チェリア
「あ…」

エリオ
「…!!チェリアァアアアア」

倒れたチェリアを抱き寄せ嫉妬の力は自然とエリオに帰還した。魔の力を人間の身でありながらも受け未だ辛うじて浅い息をしていた。

チェリア
「エ…リオ」

エリオ
「チェリア…!チェリア!
しっかりしろ!くそ…間に合わなかった」

クレメンティーナ
「エリオ…」

キャロライン達はエリオの怒りを予感しその場を退散し、クレメンティーナ達は二人の様子を見守る。

チェリア
「エ…リオ、魔王、だったのね…
ねぇ、お願い…があるの…」

エリオ
「なんだ?」

チェリア
「最期に、一人の、男として
私を…抱きしめて」

青白く染まって行く肌、腹からは血が止まらずに彼女の死を語らせていた。最期の言葉だというのか。そう感じたエリオは、初めて一人の男として初めて愛した女の為に涙を流し、強く強く抱きしめた。

エリオ
「…っ チェリア 愛してる」

返事の代わりにチェリアは
心から嬉しそうに笑って逝った。

Invidia-嫉妬-

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