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gula-暴食-
エリオ
「グーラ、対応する悪魔はベルゼバブか」

アラセリスM
「私はあるお店のコック
お店も大繁盛
毎日忙しい時間を過ごすの
そんな忙しい合間をぬって愛しい恋人と
逢うのが私の至福の時間
美味しい料理を振る舞って
彼をおもてなしするのも幸せ
彼に愛して貰えるのも愛の言葉を
言って貰えるのも幸せ」

忙しい日々を過ごす中
彼女は幸せを満喫していた
仕事も恋も順調かと思っていたが
思った以上に忙しい彼女は
彼と会う暇も無くなってきてしまう
中々会えずにいる中
久々に会った彼から口にされた言葉は
別れの一言だった

gula-暴食-

アラセリス
「どうして?私が何かした?
私は貴方と一緒に過ごせれば幸せなのに
美味しい料理も沢山作るわ
貴方の為に、作るわ…」

彼女の気持ちは届かず彼は彼女の前から去って
しまう
悲しみに打ちひしがれる彼女に残されたのは
コックという仕事だけだった

アラセリスM
「私には、もう料理しかない
これに命をかけよう…」

そうして料理の腕を極めた彼女の評判は良くなり
町では有名シェフとして皆に賞賛された
だが彼女は全く喜ぶことは無かった
それよりも自分で調理した物をゆっくりと
食す事がとても落ち着き彼女の安らぎの
時間だった

アラセリス
「あぁ…私の作った料理はどうしてこんなに
美味しいのかしら…もっと色んな物を調理
したいわ
ウフフフ…沢山生み出してあげるわ
私の愛する料理たち…」

普通は食さない物も彼女は調理をし
食していった
次第に彼女の狂気に気付いた者たちは離れ
気味悪がられるようになった

アラセリス
「こんなに美味しいのに…可哀想な人達
食べてみれば分かるわ…」

逃げ出そうとしたお手伝いの一人を捕まえ
料理を無理やり口に含ませる

アラセリス
「ウフフフ…美味しいでしょう?
あら?動かなくなってしまったわ
どうしたのかしら?
なぁに?死んじゃったの?
弱いわねぇ…もったいないから貴方ごと
調理してあげるわ」

そうしてアラセリスは遂に人を調理し始める
その味は彼女にとって絶品で舌を満足させるに
値する味だった
思考は人食へと塗り替わりどんどん人を調理していく
そして遂に彼女の元彼に思考は辿り着くのだった

元彼
「ヒっ…やはり噂は本当だったのか
君が人を攫(さら)い調理していたとは」

アラセリス
「貴方を愛していたの
だから一つになりましょう
ずっとずっと一緒よ」

元彼
「やめろ…許してくれ
お願いだ!」

彼の許しは届かず
彼女は彼を殺し食してしまう
満足げに唇を舐め笑うが
彼女の胃袋は満たされなかった

アラセリス
「まだよ…まだ足りないわ」

アラセリスM
「お腹が空いたわ
あぁあの女とても柔らかそうで美味しそう
あの子供も柔らかそうね
あの筋肉質な男性も美味しそう
食べごたえがありそうね…
あのお婆さんのほっぺも柔らかそう…
ここには食材が沢山あって私は幸せよ」

町行く人々を調理し暴れている頃に
エリオ達は彼女の元へと辿り着いた

エリオ
「またこの町も異常な静けさだ
生き物がいない」

クレメンティーナ
「また罪もない人達が殺されてしまっているの
ですね…」

ミカエル
「それにしては町は汚れていないな
いつもなら血みどろの惨状なんだが」

エリオ
「あちらから美味しそうな匂いがする
誰かいるみたいだ
それに僕の力も感じる」

三人が辿り着いた先には
食欲をそそるいい匂いが立ち込む一つの家だった
そこにアラセリスが調理をしていて
周りには沢山の骨が散乱していた

アラセリス
「あら?まだ食材があったの?
もっと早く知っていればコレを食べずに済んだ
かもね」

彼女の左腕と右足は既に無く
鍋の底へと沈んでいた

エリオ
「これは暴食!!なんてことだ
ついに自分まで食そうとしているのか」

クレメンティーナ
「お止めなさい!!
エリオ!どうか彼女に救済を」

ミカエル
「見ていられんな…人が人を食すなど異常だ」

エリオが力を取り込もうとした時
邪魔をするように間にキャロラインが現われた

キャロライン
「ちょっと!あともうちょっとなのに!邪魔しないで
くれない?彼女の調理が終わるまで待ってあげてなさいよん★」

エリオ達を結界の中に閉じ込め身動きを取れなくして
しまう

アーリマン
「彼女の邪悪な力は甘美
この結界は早々にやぶれんぞ」

ミカエル
「くっ!暴食の力をこれほどまでに
増幅させていたとは
恐ろしいな、この女」

クレメンティーナ
「大変です!彼女が!…調理をしてしまいます!!
自分自身を!!」

エリオが目にしたのは
笑いながら自分に包丁を向けている
アラセリスの姿だった

エリオ
「やめろおおおおおおおおおおおおおお!!
暴食の力よ!僕に戻れ!」

エリオの叫びに驚いたのか
アラセリスの動きが止まる

アラセリス
「あら…貴方美味しそうね
まだ調理していないのがあったのを忘れるなんて
私ったらコック失格ね」

アラセリスが近づくと
キャロラインが仕掛けた結界がいとも簡単にとけて
しまう
驚いたキャロラインはもう一度結界を試すが
それは叶うことなく終わる

アーリマン
「よせ!あれの前じゃ結界は効かん!
このままだと魔王は力を取り込むだけじゃ
今回は引くのじゃ」

キャロライン
「あと少しだったのにぃ!
もったいないわ…暴食の力は甘美だったのに…」

アーリマン
「少しは取り込めたのじゃ
もうよかろう…」

そして二人が去り
アラセリスはエリオの頬に触れる

エリオ
「暴食の力よ、僕の元へ戻れ
我の名はエリオ・シンス
七つの大罪の主だ」

エリオが言葉を発すると彼女の中から黒い霧が
出てくる
それはエリオの中に入り彼女の思念も同時に
取り込まれた

アラセリスM
「痛い…苦しい…もう食べたくない
愛しい人も手にかけて…どうして食欲が
治まらないの?」

エリオ
「人間には生きる為に欲がある
その中の一つは食欲だ
それが暴走したまで
全てお前が悪いわけじゃない」

アラセリス
「でも…私は人を…自分を食べようと…」

エリオ
「今もそう思うか?」

アラセリス
「思わないわ」

エリオ
「なら大丈夫だ
残された体で精一杯生きろ
大丈夫だ
お前には美味しい料理が出来る才能がある」

アラセリス
「…(咽び泣く)ありがとう小さな魔王さん」

正気を取り戻した彼女は
その後、義足と義手を使い
美味しい料理を振る舞う未来が待っているだろう
その笑顔の影にかつて愛していた彼の面影を想って…





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