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superbia-傲慢-
クレメンティーナ
「スペルビア…傲慢、対応する悪魔はルシファー」

エフィムM
「俺は…ただ認められたかっただけだ」

笑顔を貼り付け
慈善団体の活動に徹していたエフィム
始めは周りから賞賛され
褒められて過ごしていた

だが、いつしかそれが当たり前になり
周りはエフィムを見なくなった

エフィムM
「どうしてだ?こんなに尽くしているのに
困っている者を助け、貧困に苦しむ者には財を
与えている
なのにどうして!誰も俺を見ない!」

ある日、エフィムは自分の行いについて
周りがどう思っているのかを聞くことになる

モブA
「エフィムはいつもやりすぎだと思う
善意を押しつけている感じがするぞ」

モブB
「本当に、お礼を言うまで行動をし尽して
相手も迷惑そうな顔をしている」

モブC
「だからか、エフィムは最近団体にお呼ばれされないのは」

それを聞いたエフィムは何かが堕ちていく音を聞いた

superbia-傲慢-

エフィムM
「どうして皆分かってくれない!?
そうか・・・力で押さえつけてしまえばいいんだ
全員、ただの・・・悪い奴等だ
俺だけが善意なんだ・・・!」

依頼リストを団体から奪い
一人一人を回って行く

エフィム
「こんにちは、お婆さん
何かお手伝いを致しますよ」

始めは優しく笑い掛け
相手を油断させる

エフィム
「ほら、言う言葉があるだろう?
言えよ!!ババア!!」

依頼をこなすと態度は変わり
賞賛を強要するようになった

それを何件か続けているうちに
団体から呼び出され
罵声を周りから浴びせられた

エフィム
「分かってないな…善意ある行動には
必ず賞賛がついてくる
それが無ければ意味がない行動だという事に
何故皆気付かない
何故俺を認めない!!」

そして、悪魔は囁いた
貴方は悪いことなどなにもしていないと

エフィムM
「ふふっはははははは・・・!
そうか…初めからこうしていれば良かったんだ
俺の行動に賞賛しない者は悪なんだ!
薄汚い溝鼠みたいに這いずり回って
俺の善意を盗もうとしてるんだ!
殺せ、殺せ、悪は、殺しまくれ!」

そうしてエフィムは依頼リストを辿り
次々と殺人を繰り返してきた

そんな中
エリオ達は彼の元へとたどり着く

ミカエル
「傲慢、ねえ…にしても凄い邪気に包まれてるな…この場所は」

クレメンティーナ
「この血の匂い
気分が悪くなりますね」

エリオ
「血は血で洗い流すって言葉があったな
まさにこの事だ・・・こんなの、ただの傲慢でしかない
人はいつだって人を見下し弱い者を作る
そして罪は膨れ上がり七つに別れた」

クレメンティーナ
「人はこうして罪を作っていき
様々なものを産み出してしまったんですね」

話し合っていたら血に濡れたエフィムと目が合った。
その瞳には激しい狂気、全てを見下すような蔑みさえ感じた。

エフィム
「誰だ?お前たちは」

容赦なくエフィムは殺害した人を血で汚れた靴で踏みつける
まるで靴を舐めさせようとしているように
死骸にも容赦ない虐げがエリオを突き動かせた

ミカエル
「ここまで傲慢になれるのか
堕ちて、墜ちて、どうしようもないくらいに」

エリオ
「人を悪と断定し
自分を善と判断して
心を守ったのか・・・
だけどな、それは間違ってるんだ」

エフィムに近づこうとすると
間にキャロライン達が現われ妨害する

キャロライン
「あ〜ら!いい闇の気配
負の感情!ふふっ
心地いいわ
こんな利用価値がある人間
早々に居ないわね★
魔王!邪魔しないでちょうだい
彼にはもっともっと殺してもらうんだから」

アーリマン
「愚かな、欲に支配された人などたやすいもの」

アーリマンの力とキャロラインの負の力が更に宿り
エフィムはエリオ達に凶器を振るう
既に暴走し自我など無かった

エフィム
「ふっあ、がああぁああ!!!
悪は殺す、そして俺が英雄になるんだ
悪は殺す、殺す、殺すぅうううう!
ふるああああああ!!!」

エリオ達は華麗に避け
ミカエルは今の現状を判断し
天使の羽根を広げる

ミカエル
「負の力ならば清い力で相殺するのみ!
集え!清浄な力よ!
彼の者を浄化せよ!!」

清らかな強風が起き
キャロライン達は遠くへと飛ばされて行った

キャロライン
「きゃああ!スカート捲れちゃうわ!」

アーリマン
「姑息なぁあああ!!」

見事に清浄な気で二人を吹き飛ばした後
近くで倒れ込んでいるエフィムを
クレメンティーナは捕えエリオに差し出す
するとエリオはエフィムにそっと触れ目を閉じた

エリオ
「お前の嘆きを聞かせろ…
どうしてこうなってしまったのか
どんなに辛い想いをしたのか
僕は、全部受け入れるから・・・」

じわりとエフィムから傲慢の力が現れ
それをエリオは取り入れる
傲慢が興した悲劇が今
エフィムから溢れ出て
エリオに流れていった

エフィムM
「俺は…ただ、認められたかった
必要とされたかったんだ
俺の行動は間違えじゃないと
善意ある事だと」

エリオ
「・・・それだけじゃないだろう?
お前は、本当にいい人間だったじゃないか
初めて善意ある行動をした事・・・思い出せるか?」

エフィム
「初めて…善意ある行動・・・か」

エリオを介して見えた世界
一人の孤児がエフィムから与えられたお菓子を
美味しそうに頬張り
笑顔で「ありがとう」と言われた事

エフィム
「!!…俺は…ありがとうって
ただ・・・笑顔が、その笑顔が
・・・っ(泣き出す)それ、だけが・・・欲しかった」

クレメンティーナ
「過ぎてしまった事は後悔しても仕方がない事です
誰も勇者になんてなれないし悪にもなれない
悪からすれば勇者は悪になる
勇者からすれば悪は悪になるのと同じ
大切な想いを思い出せたのなら・・・もう大丈夫ですね」

ミカエル
「罪を受け入れて殺してしまった人間を弔うことだ
もうお前は哀悼(あいとう)を増やすことはないだろう?」

エフィム
「・・・あぁ、そうだな」

エリオ
「傲慢はもうお前の中にはない
これからどうすべきかはお前が決めることだ
僕達はもう行かなければな」

そうしてエリオ達は去っていこうとする
だがエフィムは駆け寄りエリオの手を掴んで言った

エフィム
「待ってくれ!」

エリオ
「・・・?」

最大の笑顔で

エフィム
「ありがとう」




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