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〜hot chocolate〜
10
―――あれあれ。

視覚に煽られるのは確かだが、遮ると“見えない故の快感”が増す事を知らないのだろう。

……くちゅ…ぐちゅ…。

ぐちっ…ぐち…。

「っは…んっ…」

漏れる声も、どんどん色付いている。

―――もっと、聞きたい。

いっそ、流されてしまえばいいのに。
それでも、まだ、こらえようとしているようだ。今度は、きつく唇を結んでしまった。
声が、漏れないように、唇を噛み締めている。

―――あんまり強く噛むと、血が出ちゃうのに。

唇が痛そうで、思わず、口付けた。

「…っ…んっ!…?」

軽く触れ、離れる。

「な、な」

目をぱちくりとさせて、陸に上げられた魚のように口を、開けたり閉じたりしている。

―――何か、可愛いな。
つい口元が綻ぶ。

「ふふっ」

目が合うと、固まった。

―――あ、固まった。

「あ、あの……んっ!」

―――軽く、じゃなくて、キスしたら、どうなるんだろう。

祐輔が言葉を発しようした、その開いた隙をついて、唇を塞ぎ、今度は口内に舌を入れた。

「んんっ!?」

上げているであろう驚きの声も、飲み込むように舌を絡ませる。

「う…、んっ!」

柔らかく、祐輔の舌に纏わり付かせ、吸い上げる。

「ふ…」

―――うわ…。

より近付いたから、香りが強くなった気がする。

…チュ……。

「は…ぁっ……」

それとも、官能の度合いと比例するんだろうか。

訪れた解放に、息を吸おうとしたところへ、三度、唇を落とす。
今度は、より深く、口付ける。

「ぅ…んっ…ふ」

拒もうとする舌も、いなすように絡めとり、時折、角度を変え、深く、深く…。
祐輔の、シャツを握る手に力が入ってゆく。

ちゅっ…。

離れると、一際、大きなリップノイズが聞こえた。

―――っ!

「ふっ…はぁ…」

身体の下で、大きく息を吐いた祐輔を見て、思わず、息を飲んだ。
薄く開かれた瞳は蕩け、唇はどちらのものかわからない唾液に濡れ艶めいて、荒い息を吐いている。

ぞくぞくと、背筋を欲望が這い上がる。

―――もっと、見せて。

後孔の指を活動を再開する。

「んっ!…はぁっ…!」

もっと、聞かせて―――。

ぐちゃ…ぐちゃっ……。

音を立て、掻き回す。
内部の温度が上がり、香りが濃密さを増していく。

もっと、もっと―――。

「…う…あ……」

シャツを握りしめた手は、いまや、自分を引き寄せるように、しがみついているのに、祐輔は気付いているのだろうか―――。

―――もう、足りない。

ズルリ…と指を引き抜いた。

「…は…ぅ…ん」

―――挿れたい。

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あきゅろす。
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