〜hot chocolate〜
8
―――ク、クソッ!
そんな目で、見んな!
覆い被さる相田を押し退けようと、両手で胸を突くがびくともしない。
内部で動き回る指が、止まることもない。
「くっ!…う、…んっ……」
手元までは見えないが、本来、排泄器官であるソコを、玩ばれているのはわかる。
「はっ…ぁ…」
出してはいけない、声が出てしまいそう―――。
身体の奥から、認めたくない何かを、引き摺り出されようとしている。
見たくない―――。
どこを見ていたら良いか、わからない。
「はっ…はぁ…っ…」
―――もう、イヤだ!
せめて、見えるものからだけでも逃げたくて、固く目を瞑る。
なのに―――。
……くちゅ…ぐちゅ…。
粘膜の鳴る音が耳につく。
内部を蠢く指の動きが、激しさを増した気もする。
ぐちっ…ぐち…!
「っは…んっ…」
込み上げる声が、漏れないように、唇を噛み締めた。
「…っ…んっ!…?」
と、その唇に、ふにっと柔らかいモノが触れた。その感触に、驚き、目を開くと、間近に、顔―――。
ゆっくりと離れていく。
「な、な」
―――まさか、今の!
抗議したいのだが、何と言っていいか声にならず、パクパクと口を動かすしか出来ない。
「ふふっ」
目が合って、浮かべられた微笑みに、一瞬、見惚れてしまった。
「あ、あの……んっ!」
我に返り、言葉を発しようした、その開いた隙をついて、唇を塞がれ、今度は口内にぬるりとしたモノが入ってきた。
「んんっ!?」
―――何だ?!
熱くねめりを帯びたソレは、口内で蠢き出す。
「う…、んっ!」
―――し、舌?
柔らかく、舌に纏わりつき、吸い上げられる。
「ふ…」
―――あ…れ?…息、って……どう、するんだった…?
どうやって、呼吸したらいいかわからない。
…チュ……。
「は…ぁっ……」
相田が、離れた。
訪れた解放に、息を吸おうとしたところへ、三度、唇が下りてきた。
今度は、より深く、口付けられる。
「ぅ…んっ…ふ」
拒もうとする舌も、いなすように絡めとり、時折、角度を変え、深く、深く…。
―――クラクラす…る…。
ちゅっ…。
一際、大きなリップノイズを立て、離れて行った。
「ふっ…はぁ…」
―――な、ん…だ…。
キスされた…。
それは、わかる。けど。
―――なんか、ぼうっとする……。
脈が上がってる。
ふわふわする。
息苦しさの所為、だけじゃない―――。
初めての感覚に、気をとられていた。
そんな祐輔に、後孔の指が忘れるなとばかりに活動を再開する。
「んっ!…はぁっ…!」
ぐちゃ…ぐちゃっ……。
音を立て、掻き回される。
「…う…あ……」
既に、充分に弄られていた内部が、更に嫐られ、届かない奥が、ムズムズとし始めた頃、ズルリ…と抜けていった。
「…は…ぅ…ん」
その感覚に、ゾワリと肌が粟立つ。
「力、抜いてね」
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