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メオト漫才は耳にタコ!


やあみんな。
俺の名前は島崎慎吾。
青春を謳歌する優良男子高校生だ。
ところで最近、俺にはある悩みがある。
その悩みというのが、

「聞いてくださいよ和さん!さっき体育の授業であの鬼教師が…」
「…へぇ、すっコケたのか。珍しいこともあるんだなあ」

…あのメオトだ。

いつくっついたんだかも良くわからないあいつらだが、最近というか、俺たちが野球部を引退してから特に準太は此処・3年6組に来る頻度が増している。
勿論、目的は大好きな前妻とのコミュニケーション。
クラスの奴らも今じゃあ、準太が来たら和己の場所へと促す始末だ。
でもって話してる内容は、

「漢文の授業で『和』っていう字が出てきて、そんでオレ、つい横に『さん』って書き加えちゃいました!」
「おぉ、実はオレも似たようなことやったんだよな。『準』って見ると思い出しちゃうからなぁ」
「もー、和さんったら…」

だとか、

「さっき体育の授業でしたよね!窓から丁度見えたんスけど、和さんのゴールキーパーめちゃめちゃ格好良かったです…!」
「褒めすぎだっての。たかだか数回守っただけだって」
「いやいやぁ、和さんの懐の大きさを感じましたよ〜」

だとか。
くだらない上に、無駄に溢れるハートをクラス中にバラ撒きやがる。
普段から和己と仲が良い俺なんて、被害が圧倒的にデカイ。
部活から離れても関係が崩れないのは結構なことだが、
……もう我慢ならねぇ!
俺は決めた。
今日こそは奴らに物申す。

「おーいそこの夫婦ー」
「和さん聞いてくださいよ〜…って、慎吾さんじゃないスか」
「お前も準太の近況話、聞きにきたのか?」
「そーじゃなくてだな…」

分かっている、敵は手強い。
なんてったってマイペース2強だ。
相手に乗せられちゃいかん、クラスの(というか主に自分の)平和のためだ頑張れ俺!

「仲良しなのは良いけどよ、イチャつくなら場所を考えてくれや」
「え、オレら何かしてたか?」

…はい?

「喋ってるだけで何で文句言われなきゃならないんスか」

…こいつら、

「無自覚かよ!面倒臭ぇな…とにかく二人で話すんなら此処じゃなくて外でやってくれ、頼むから」

なんかもう、これ言うだけなのにどうしてこんな疲れてるの。
憔悴しながらも、多少満足気だった俺。
これで明日からは平穏が待っている…そう考えていたのは目の前のメオト漫才よりも甘かったことも知らずに。

次の日の昼休み。
二人は言った通り、きちんと教室の外で昼飯兼愛の時間を過ごしてくれていた。
いつになく心穏やかだ(、決してもの淋しくなんてねぇぞ)。
そう思っていた矢先、珍しい来客が現れた。
マサヤンだ。
嫌な予感がしたあたり、部活を引退しても俺の勘は冴えてたってことになるな。

「おい慎吾」
「なぁに?」
「てめぇ、和己に何言ったか知らねえけど、お前が責任とれよ」
「…ハイ?」
「もうすぐモトたちが来るだろうから」

中途半端な言葉を残したままでマサヤンはじゃあ、と自分の教室に帰っていってしまった。
え、何、なんなの?
モトヤンたちってことは…

「しーんーごぉー」
「ぎゃ!や、山ちゃん…」
「モトヤンもいまーす」

いきなり肩に手を置かれて耳元で地を這うような声出されたら、誰だって驚く。
この…悪戯好き二人組め。
マサヤンも、後ろで待機してるのが見えてたならそう言ってくれりゃ良いのに、グルかこの野郎。
もういないし。

「…じゃなかった、文句って何?」
「あれ?分かってないの?」
「ふーん…まぁいいや。慎吾、アレどうにかしないとそのうち呪うから、早く回収して」

え。
なんか今さらっと恐ろしいコト言われなかった?

「どーいう…」
「いいからさっさと行くの」

笑顔が恐いです、山ちゃん。
促されるまま、俺は仕方なく中庭へと向かったのだった。


「………」

俺が夫婦の壁に勝つ術はないってことなのか…!

「今日、利央が朝練でボールに躓いてよろけたまま監督と衝突したんですよ〜」
「そーなのか、雷がおっこちただろ」
「そりゃもう…って、和さんなんか機嫌良くないスね」
「…わかるか?」
「はい」
「いやな、折角二人なんだから…」
「…!もしかして妬いてくれました?」
「……」
「もー!和さぁん!大好き!」

聞き覚えのありすぎる(しかも悪化している)甘ったるい会話をそのまま、公共の場で繰り広げている二人。
明らかに全校生徒を敵に回したかのような俺のポジション。
これはなんだかもう、うなだれるばかりであった。
こんなの学校中に晒しちゃいけないわなぁ…

「俺が悪うござんした……」

その翌日、3年6組には元通りの光景が広がっていたのであった。
めでたしめでたし…じゃねぇよ!











write》空兎 海様
(誰よりも、君が。)

空兎様宅の一万打フリリク企画に甘えさせて頂きました!空兎様の書かれた甘々メオトですよ!しかも慎吾さん視点というおいしい設定で最初から早くもニヤニヤしてしまいました(^^)何より周りを気にしない和さんと準太のイチャラブっぷりが無自覚だなんて相思相愛過ぎてたまりません。無邪気に話す準太も、嫉妬する和さんも可愛くて可愛くて!そして結局は教室に戻ってもらう事になって気苦労が絶えないのは慎吾さんらしいですね(^^)リク以上の素敵な作品ありがとうございました!



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