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雨のち幸せ


とある日の午後


外は雨

湿気が最悪であり、俺の髪はへにゃへにゃである



「なー、本山くんよ」

「なんですかい山ノ井くん」

「ヒマじゃあないですか?」

「そりゃあまぁ」



ホントなら天気予報は晴れだった
なのにいきなりの雨

すぐ止むかなーなんてのは
だんだん強くなる雨に打ち消された



「今頃はさーあ、絶叫系乗りまくってんだぜ」

「そうですねー」


晴れるからと計画していた遊園地でぃと


「その気のない返事はもしや行きたくなかったとか?」

「まーさか、2人で夜景を見ながら観覧車」

「観覧車に乗りたかったんかい」

「だって遊園地でデートつったらそれじゃん?」

「さすが二枚目本山くん、デートプランは前カノと一緒?」


雑誌をパラパラとめくるモトやんに
からかい混じりに言ってみる



外は雨


「まーさか、遊園地もデートも山ちゃんが初めてだし」

「……うそつき」



自分から言った言葉になんだかムカつきを覚えて
さらに嘘っぽいモトやんの言葉に心も雨だ


「ホントだって」

そう言って雑誌を閉じて
ベッドに寝ている俺にのしかかる


「本山くんの過去は一切知りませーん」

「はいはい、言ってろ」



っていつもより強気な裕史くんはどうやらキスがしたいみたいで
顔を近づけてくる

でも心が雨な俺は両手でそれを制した


「…なに拗ねてんだよ、らしくねぇ」

「んーん、女々しい自分が嫌になっただけ」


誤魔化すように、俺より一回り大きいモトやんの背中に腕を回すと
引かれるようにモトが被さってきた



「…重い」

「山ちゃんが引くからいけない」

「へいへい」

「前カノとは野球が忙しかったからドコも行ってねぇからな」

「分かってるって」



モトやんの胸元に額をすり寄せて

分かってる


なんて見栄っ張りだなぁ俺も
とか考えてると



「…誘ってんの?」

とゆうなんとも間抜けな言葉が降ってきた



「アホかー」

「だって可愛すぎ」

「嬉しくありませーん」

「可愛いよ、他の誰よりも一番可愛い」


冗談っぽいのにドコか真剣で

思わずその気になりそうだけど
流されるのは好きじゃあない



「あ」


ふと
窓を見やる



「ん?」

「ちょ、くすぐったい」


ちゅ、ちゅと俺の首筋にキスの雨


「素直じゃない子にはお仕置きです」

「バカ、雨止んでんだけどっ」

「マジ?」

「マジマジ」



静かに起き上がって窓の外を見に行くモトやんの後ろ姿を
俺は黙って見ていた

すると


「行くぜ!」

「は?」

「いざ!遊園地へ!」



目を輝かせながら振り向いて
近づいて未だ面食らってる俺の手を取る



「今からでも充分遊べますが、いかがいたしましょう」


それは王子がお姫様をエスコートするような
感覚


「よし!いっちょ遊びに行くかー!」

「雰囲気台無し!」

「うるへー、早く支度しろいっ」

「はいはーい」



モトやんの手をはたき
バタバタと2階から1階へ


誰もいない家に“行ってきます”を言って
鍵をかける



「締めは観覧車な」

「しつけー」

「ひどいです山ノ井さん」

「あはは」





結局
最後は観覧車


言いくるめられて頂上でキス


『愛してる』

とか初めて言われて


これで寝たら夢だったなんてゆうベタなオチはないよな
って心配して頬を抓る




「…なにやってんの?」

「ん、夢かなぁって」

「ほっぺ痛くなるよ」

「うん、夢じゃないみたい」

「当たり前じゃん」

「俺も愛してるから」

「お、ぅ」






過去とか未来とか
雨とか晴れとか

そんな事はどうでもよくて


2人でいる時間が幸せなら俺はイイかなぁと
きっとそれはモトやんも同じだろう




…きっと?

絶対!!





write》彰人様
(..Courage)

彰人様から相互記念にとプレゼントを戴きました!彰人様の本山ノ井作品というだけで興奮してしまうのですが、読み終わった後はその何倍ものドキドキと胸キュンが待ってました(^^)もう二人の愛が天気を回復させたとしか思えませんし!山ちゃんの乙女心と男心の入り混じり具合や、積極的な本やんの格好良さはたまりません。彰人様、相互記念のお気遣い本当にありがとうございました!



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