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正夢にしましょう?(六才)
※六郎視点
※残念な六郎






帯をするりと解くと、薄い夜着の間から才蔵の肌が覗く。震える肩に手を這わせ、鎖骨に唇を落とすと、小さな甘い声が聴こえた。それに気分がより高揚し、才蔵の身体に愛撫を続けていく。少しずつ火照る肌を余す事無く愛でていけば、終わる頃には才蔵はとろとろに蕩けている。
期待に満ちた潤んだ瞳が物欲しげに見上げてくる。その期待に応える事は簡単だ。だがたまには趣向を変えてみるのも良いのではないか?そう思い、力の入らない才蔵の上から退いた。隣に座ると不思議そうな目が向けられる。

「ろく、ろうさん…?」
「誘ってみてください、私を」

その言葉を聞いて、きょとんとする才蔵。一拍置いた後、目を見開いて起き上がる。真っ赤に染まる顔は困惑の表情を浮かべていた。

「なっ…!?」
「たまには良いでしょう?」
「で、でも…」

狼狽する姿が可愛くて、今すぐにも飛び掛かりたい衝動を何とか押さえ込む。小さく呻きながら理性と羞恥とで葛藤する才蔵を見つめていると、彼はいきなりのしかかってきた。薄暗い燈籠に照らされて妖艶さが増す彼は、暫く躊躇ったものの、震える唇をゆっくりと開いた。







「…………夢ですかコンチクショウが!」

どすどすと足音を立てて廊下を歩く。途中、才蔵を探して喧しい鎌之介や伊佐那海の事で熱く滾っていた清海を音波で吹き飛ばしたが、今朝の夢のフラストレーションは晴れなかった。
苛々しながら廊下を歩いていると、曲がり角で才蔵に出くわす。

「六郎サンだったのか、おはよ」
「…おはようございます」

才蔵に会えた事で、少しはフラストレーションが緩和された。しかし夢の事を思い出すと、欲情が擡げる。
この唇は、どのように私を誘い、煽るのだろうか。

「六郎サン」
「は、いっ!?」

唐突にデコピンをされる。僅かに後ろにのけ反ってしまった。痛みに額を押さえ、才蔵に文句を言ってやろうとしたら、くすっと笑われた。

「朝からそんな目ェすんなよ。夜に、な?」
「……言いますね、楽しみにしてますよ」

ニッと笑うと、才蔵にはあくどい笑みに見えたのか後退りされた。
今更撤回など許さない。絶対今日の夢を正夢にしてやる。そして貴方がなんと言うのか、見届けさせてもらいますよ。

12/02/05

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