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洋服交換しましょ(六才)
※短いです
※六郎と才蔵が、服を交換こしてみたようです




才蔵の服を着てみた。
体格差のせいか、全体的に少し大きい。
外套は意外に温かく、服から香る才蔵の匂いに、自然と頬が緩んだ。

「才蔵、着替えは終わりましたか?」

才蔵の返事も聞かず、隣の部屋の襖を開く。そこには、上半身裸で、私の袴に苦戦している才蔵の後ろ姿があった。才蔵は下から着替える派でしたか。
顔だけこちらに向け、真っ赤にさせている。

「六郎サン!俺が返事してから開けてくれ!」
「いいじゃないですか。今更見られて困る所なんてないでしょう?」
「あ、あのなぁ…」

口ごもる才蔵はとても可愛らしく、今すぐ触れたくなったが我慢する。ふと視線を下に落とすと、私の上着があった。視線に気付いた才蔵が「ああ、それな」と言葉を続ける。

「破っちまいそうだから、着なかった」
「そうですか」

確かに体格差から考えると、才蔵にはきつかったかもしれない。今度、才蔵用に仕立てようか、と考えていたところ、袴に苦戦している才蔵が声をかけてきた。

「袴もさ、着れなさそうだから脱ぐし、六郎サンちょっと出てくれよ」
「?別に破けそうには見えませんが…」
「いや、前の金具が止まらない」

そう言って振り向き、袴を支える金具をカチャカチャと鳴らす。あともう少しで留まるのだが、やはり体格差からかその距離が縮まらない。
今にもずり落ちる袴を手で支えている才蔵は、早く部屋から出ろと言わんばかりに睨みつけてくる。

上半身裸で悩ましい体を晒し、恥じらいから頬がほんのり赤らみ、それで警戒するように睨みつけられると、加虐心に火が着いた。

「才蔵、手伝って差し上げますよ」
「……いや、いい。遠慮しますお断りします。頼むから手をわきわきさせてこっちに来ないでくれ!」

袴を押さえながらじりじりと後退する才蔵を、にこやかに追い詰める。壁にまで追いやり、両腕で挟み込むと観念したようだった。

「良い子ですね」

耳元で囁くと、彼はびくりと肩を揺らす。袴を強く握り締める手が、抵抗の最後の砦だった。


 

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