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海野双子→才蔵
※マイ設定(捏造)が入ってたり
※六郎視点




音波を放つこの攻撃は、海野家の特殊能力だ。ある程度の範囲なら、誰かが放った音波を感知出来る。

自室で夜着に着替えてる途中、音波を放った気配を感知する。今夜、この城にいる自分以外の海野家の者は、沼津からの使いで訪れた七隈しかいない。
くせ者が入り込んだのかと、慌てて部屋を飛び出る。
先程の気配を頼りに進むと、予想外の場所に辿り着いた。

「…才蔵の、部屋…?」

そう、才蔵の部屋の前だった。勘違いかと思ったが、部屋の中には二人分の気配。間違いない筈だと思い、襖をゆっくり開ける。
そして目の前の光景に目を瞠る。

力無く投げ出された才蔵の身体。その上に跨がり、才蔵に口付けている七隈の姿。

「なっ…」

七隈は私に気付いたのかゆっくりと上体を上げ、私を見上げる。薄暗い燈籠に照らされ、唾液に濡れた唇がてらてらと光る。それが才蔵のものだと思うと怒りが湧いた。

私だって彼が欲しいのに。大切に大切にしている存在なのに。

勝ち誇った目をした七隈が、憎かった。

「やっと見れました。貴方の崩れた顔」
「っ!その為に…彼に手を出したと…!?」
「まさか」

両手で才蔵の顔を包み込み、愛おしそうに鼻や頬に口付ける。才蔵は七隈の音波を受け、かろうじて意識がある状態だった。

「私は貴方と違って、欲しいものは何としても手に入れる。どんな手を使ってでも」
「七隈…?」
「兄上みたいに、我慢なんてできません」

言いながら耳朶を噛むと、才蔵から甘い声が漏れる。赤く染まる頬を見て、才蔵がただ音波の攻撃をされただけではないと気付いた。

「七隈…才蔵に何をしたんです!?」
「…音波攻撃と」

起き上がり、懐から何かを取り出す。空になった小瓶を私の方へと転がした。くすくすと楽しそうに笑う。

「少し強めの媚薬を飲ませました」
「っ…」

言うなり七隈は才蔵の夜着を脱がし始める。やめさせようと肩を掴むが、強い目に睨まれて竦んでしまう。

「何故、我慢なんてするんです?いつも物欲しそうな目で彼を見つめていたくせに」
「!」
「今なら薬のせいで記憶は残らないでしょう」

ね、と笑うその様は間違いなく誘っている。私を、共犯にしようとしている。

その誘いに手を伸ばすか否か。

悩み続ける私の袖を、才蔵が引っ張った。

「ろ、くろう、さん…」
「才蔵…」
「ぅ、あつ…い……たす、けて…」

ねだる声が、耳から脳へと痺れさせる。ごくりと生唾を飲み込む音が、いやに鮮明に聞こえた。




■力尽きた


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