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心に誓約を(六才)
※アニメ最終話後
※六郎視点






「六郎サン」

名前を呼ばれ、短く返事をして振り返ったら、目の前に手刀が迫る。避ける暇がなく、不様にも額にそれを喰らってしまった。とは言っても衝撃は軽く、全く痛くない。
一体何がしたいのか。不思議に思って、手刀の主の名を呼んだ。

「…才蔵?」
「勝手に死のうとした罰な」

手を離し、ポリポリと頭を掻く。それから腕を組んで、顔を顰めた。まるで私に説教するスタイルだ。

「ったく、あれで死んでたら伊佐那海が自分を責め続けるのは目に見えてんだろ?だからもう…死ぬ真似なんてすんな」

本当に説教だった。
確かにあの時に私が死んでいたら、伊佐那海は心痛めていただろう。彼女が深く悲しむ事も不安に駆られる事もあってはならないと理解していたのに、浅はかであったかもしれない。

「…すみません」
「金輪際、すんなよ」
「はい」
「よし」

用件はそれだけ、と言って踵を帰す。その腕を思わず掴んでしまった。普段、他の勇士達に独占されてるのだ。私だって才蔵を一人占めしたい。
そんな独占欲と、彼に聞きたい事があって才蔵を止めたのだ。不思議そうに目を丸くして見下ろしてきた。

「何だよ?」
「もし、私が死んだら…悲しんでくれますか?」
「!」

大きく見開かれる瞳。何て言葉を返してくれるのか、期待と不安が入り混じり、鼓動が大きく波打つ。ドクドクと跳ねる音を聞きながら、才蔵の返事を待った。

「……悲しまねェよ」

んべ、と舌を出してそう言った。
胸が刔られたような、ぽっかりと穴が空いたような、落胆の気持ちに襲われる。自然と俯き、掴んでいた手から力が抜けた。


「一生、許さない」


強い言葉。それに引かれ、顔を上げる。強い眼差しが私を見据えた。

「二度とそんな事を聞くな」
「……はい」
「いやなんで嬉しそうなんだよ?」

真面目に頷き返したつもりだが、顔は笑んでいたらしい。堪え切れず、ふふ、と笑ってしまった。才蔵の顔が困惑に歪む。

「な、なんだ?」
「だって…『一生』、私を想ってくれるのでしょう?」
「は、ハァ!?」

才蔵は顔を真っ赤にしてあわてふためく。その様を可愛いと思いながら見つめる。耳まで真っ赤だ。

「ば、馬鹿じゃねぇの!?」
「おや、否定しないんですね」

悪戯が成功した子供のように笑うと、才蔵はその悪戯に引っ掛かった事に気付いたような顔をした。ムッと唇を尖らせて「六郎サンの馬鹿!鬼畜!」そう吐き捨てて消えてしまった。

余り才蔵を独占出来なかったけれど、可愛らしい顔が見れたから良しとしよう。

(…そうか)

死んだら、あの可愛らしい顔が。いや、彼自身に会えなくなるのだ。

そう思うと、金輪際あのような真似は出来ない。いや、してはならない。
そう強く、心に誓った。



■アニメの最終回ね…六郎の活躍に驚きました。あれ、原作に無いよね。特攻なんざ望んじゃいないのよ!
アニメスタッフの幸六押しにしょんぼり。

12/04/05

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あきゅろす。
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