結局は好きってこと(幸才)
※幸村と才蔵で呑んでる様子
※才蔵視点
酒の力ってのはナメてはいけない。
普段であればしないような事も平気でするようになるし、性格が変わる奴なんかもいる。
つまり、羽目を外してしまう力があるのだ。
だからと言って。
「のう、才蔵。お主、仕事で閨の相手なぞした事あるのか?」
人の夜の事情を尋ねる上司ってどうなのか。いや、このオッサンなら素面でもやりそうなくらい、頭の中は色事でいっぱいだろう。
「のう、才蔵〜」と甘ったれた声で人の肩を揺らしてくる。女ならば可愛い仕草も、オッサンがやればキモいだけでしかない。あと苛立つ。低い声で返事をしてやった。
「無ぇよ」
「じゃあ、里で訓練はあったのか?」
「無ぇよ。……ああ、真似事みたいのはあったっけな」
「真似事?」
首を傾げるオッサンの盃に酒を注いでやる。早く酔い潰れてしまえ。相手にすんのめんどい。
話している内に眠ってくれるよう祈りながら言葉を続ける。
「どんな仕草で相手の気を引いて油断させるか、って訓練。話し方、目の動き、体の動かし方、擦り寄る時期とかな」
「ほうほうほう!やって見せぇい!」
「あ?」
きゃっきゃっとはしゃぐオッサン。うおお可愛くねぇんだよ殴りてぇ。しかし我慢。我慢だ。此処で殴れば、六郎サンの説教が待っている。事情を察してくれても、殴るのはやり過ぎだとくどくど言われかねん。
まぁ、戯れだと思い、伊賀で習った手管を思い出す。
「…オッサン」
「む?」
右腕の刺青をゆっくりとなぞる。薄く笑みながら、流し目を意識してオッサンを見つめた。
オッサンは雰囲気が変わった事に目を瞠り、その隙に距離を詰めて耳元に唇を寄せた。
「遊びたいんなら花街に行きな。これ以上は火傷じゃ済まないぜ…?」
以前、女から情報を聞き出す時にやったような低い声で囁く。その時の女は腰砕けになっていたが、男のオッサン相手では「キモい」の一言でこの戯れも終わるだろう。
そう思ってオッサンの出方を待っていると、こちらに振り向く。
その目は、捕食者のようにギラついていた。
「!? っ!」
ヤバい、と思って身を引こうにも既に遅く。腕を掴まれて、その場に引き倒された。直ぐさま覆いかぶさり、ニヤニヤと笑うオッサンは素面の時と変わらない。
「テメェ…嵌めたな!?」
「いや、これからハメる」
「ふざけんな!とにかく退…んぅ!」
唇に噛み付かれ、舌の侵入を防ぐ為に慌てて閉じたが、ちろちろと舐めてくる。上顎をざらりと舐められ、身体に電流が流れたかのように痺れた。漏れ出る吐息。その隙に咥内に舌が割り込んでくる。酒の匂いと味に力が抜けていく。
「ふ、ぅ…っあ、やめ」
「……っ、そう誘うな、才蔵」
漸く解放された時にそう言われ、誘ってなんかねぇよ馬鹿!と言わんばかりに睨む。肩で息を整えていると、オッサンは楽しそうに再び笑った。
「戯れで済むと思ったか?火傷では済まなくなったのはお前の方だな」
「…っ」
服を脱がされ、露わになる肌にオッサンが手を這わせる。敏感な所を掠めたり、もどかしい触れ方をしたり。着実に俺の体の熱を高めていく。
「…オッ、サン…」
「優しくしてやるから、安心しろ」
ちゅう、と額に唇を落とされ、肩の力が抜ける。すっかり安堵してしまっているのと、抗う気力を無くしている自分に呆れた。
「……痛くしたら、ぶっ飛ばす」
苦笑する気配を感じながら、俺は目を閉じてオッサンの熱を受け入れた。
■お久しぶりですすみませぬー
創作意欲が湧かない時ってありますよね…言い訳すみません。でも気分屋ですから許してくださいww
おかしいな、最初は
「誘った!今絶対誘ったぁあああ!」
「誘ってねぇつってんだろぉおお!」
そんなギャグ調だった気が…
12/04/05
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