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酒は呑めども(六才)
※同居中
※大学生六郎×高校生才蔵
※六郎視点







今晩は大学らの友人と飲み会。20歳になったばかりだからか、少し羽目を外して飲み過ぎた。介抱しようとする女性を振りきって、自宅へ向かう。

才蔵は、どうしているだろうか。一人の夕飯だった筈。寂しい思いをさせてしまっただろうか。
自宅のドアを静かに開け、リビングに向かうとソファに才蔵が座っていた。テレビを見ていたようだ。私に気付くと振り返って笑顔で迎えてくれた。

「おかえり、六郎サン」
「…ただいまです」

才蔵の隣に座って抱き着く。才蔵の香りに安堵する。「酒臭ぇー」と言われたが構わずにぎゅうぎゅうと抱き着いた。

「な、なんだよ」
「んー…」

髪に顔を埋め、耳裏に鼻を寄せ、首筋へと唇を滑らせる。寄った頭では、自分がしている事がとんでもない事だなんて気付かなかった。

「ろ、六郎サン!」

肩や背中を叩かれるも、鈍くなった思考は気に止めもしない。白い肌に舌を這わすと、短い悲鳴があがった。

「っ!六郎、さんっ…」

消え入くような小さな声。泣き声にも聞こえて、漸く我に帰る。顔を上げれば、強く目を閉じて、顔を真っ赤にした才蔵が。よく見れば目尻に涙。

 泣 か せ た !

一気に酔いが冷め、直ぐさま離れる。
自分が仕出かした事を思い出し、頭を抱えた。
才蔵が高校を卒業するまで手を出さない、と決めていたのに!交際すらしてないのにこんな事されたら怯えるに決まっている!

「あ、その、才蔵、す、すみません」

情けなくうろたえていると、才蔵はぐすっ、と鼻を鳴らして目をゆっくり開けた。

「な、泣かないで…」
「泣いてねーよ!」

くわっと怒鳴るけど、涙目で言われても説得力は無い。私の服の袖を掴むと、肩に頭を寄せてもたれ掛かった。

「さ、才蔵…?」
「…何も喋ってくれねぇから、別人みたいで怖かった…」

弱々しく抱き着かれ、私は謝りながら、安心させるように頭を撫でた。背中にも手を回そうとしたが、その前に才蔵が離れてしまう。

「酒臭い。とっととシャワー浴びてこいよ」
「…朝じゃダメですか?」
「いいけど…そしたら離れて寝ろよ」
「才蔵の温もりが無いと寝れません」
「とっとと寝ろォ!!」

腕を引っ張られるまま連れてかれたのはベッド。そこに突き飛ばされ、布団を掛けられると、意外にもすぐ睡魔は訪れた。微睡みの中、才蔵に手を伸ばすも力尽きてしまった。
酒は程々にしよう、と心に決めながら。



■サイトのフリリク企画で、この設定の六才で話を書いたんですが、他にこんな話も浮かんだので書いてみた!

12/04/05

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