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その髷、解いたら(幸才)
※幸村視点




煙管を吹かしていると、視線を感じる。余りにも見つめてくるものだから、小さく笑って茶化した。

「なんだ、才蔵?そんなに見つめられては照れるではないか」

視線の主に見つめ返してやると、真顔で「キモい」と冷たく返された。仮にも幾度か肌を合わせた相手にそんな態度は無いのではないか流石にちょっぴり傷付いた。
しかし才蔵は意に介さないようで、特に変わらない。酷い。かと思えば、手を挙げてこちらを指差した。

「オッサンの髷ってさ、解くとどんな風になんの?スゲーくせっ毛であちこちにはねるとか?」
「…期待に添えずに申し訳ないが、普通だ」
「……解いてみてもいいか?」

ゆっくり伸ばしてくる手を掴み、引き寄せる。才蔵の手を自分の髷のある後頭部へ誘い、もう片手は才蔵の腰に回した。

「別に構わんが…条件があるのう」

腰を撫で回すと、才蔵がぴくんと震える。頬に僅かだが赤みが差した。小さな声で「いつもの事だろ」と吐き捨てるので、いいや、と否定した。瞳が不思議そうに揺れる。

「いつもより2回、多くする」

ワシの言葉が直ぐさま理解出来なかったのか、怪訝そうな顔をしていたが、理解すると顔が真っ赤になった。

「なんでそんな元気なんだよ…」
「男は生涯現役じゃろうが。で、どうする?」

こつんと額を合わせ、回答を迫る。才蔵は唇を引き結んで思案した後、決めたのかため息を長く吐いた。

「…お手柔らかに頼むぜ」

はらりと髷が解かれる。
それが合図かのように、才蔵の唇に噛み付いた。





荒い呼吸が部屋に響く。いつもと同じ環境の筈なのに、何故だか互いにいつもより興奮していた。いやワシはいつもより艶やかな才蔵に煽られているだけだが。
腰を打ち付けながら、才蔵の耳元に唇を寄せる。

「は…いつもより興奮しておるのう?」
「ん、あっ、アホか、別に…ああっ!」
「否定する割りには、いつもより締め付けてくる」
「いちいち、言うなっ、馬鹿!」

ワシの顔を掴むと、唇を唇で塞いでくる。ワシの扱いが分かってきたではないか。深く唇を重ね、イイところを刔るように突くと才蔵の欲が爆ぜた。動きに合わせて収縮するナカに刺激され、ワシも最奥で欲望を放つ。
お互い繋がったまま、一度絶頂を迎えた事で一息つく。呼吸が少し落ち着いたところで、視界を邪魔する髪を掻き上げながら起き上がった。

「よし、あと2回」
「ぅあ…っ」

動いたからか、また才蔵が締め付けてくる。いつもより、強く。
何か普段と違う事があっただろうか、と考えて髷を解いていた事を思い出した。もう一度髪を掻き上げ、才蔵に問う。

「惚れ直したか?」
「っ、馬鹿…あ、やっ、待っ」
「あと2回と言ったろう」

ナカで存在を主張すれば、才蔵の身体がしなった。「やっぱ、無理ぃ…!」なんて可愛い声が聞こえたが、飲み込んで聞かなかった事にする。
お手柔らかに、と言われたがどうにも手加減は出来ぬだろうと思いながら、律動を再開した。


□■□


翌朝、大きな欠伸をすると、不機嫌な声が頭上から降ってくる。

「2回つったのに、3回もやりやがって…!今日襲撃されてみろ、俺真っ先に死ぬ」
「スマンスマン。その代わりワシが護るから勘弁してくれ」
「っ、…アホか。忍が主に護られてどうするんだよ」
「照れておるのか?」

ころころと楽しげに笑うと、後ろから髪の毛を引っ張られた。地味に痛い。毟るぞ、と言われたので大人しくする。最近、抜け毛が気になっているのだ。

「つーかよぉ…これは六郎サンの仕事じゃねぇの?」

ワシの髪を梳きながら呟く。才蔵は今、髪結い中だ。慣れないのか身体の疲労が残っているからか、動作が遅い。

「解いたのはお前だろう。なら責任を取るべきではないか?」
「そうだけど…人のなんてやった事ないからやりにくい…」
「まぁ、ワシがお前と共に朝を迎えてる姿を六郎に見られても良いのなら、六郎を呼ぶが…」
「やめろ。……よし、出来た」

鏡を見ると、意外に綺麗に纏められていた。才蔵はやれやれと怠そうに着替え始める。その姿を見ると、首筋や背中に自分の付けた所有の証が目に入り、また身体が疼いた。

「……才蔵」
「甘ったれた声出すな。暫くはお預けだ」
「そんな殺生な!」
「それが嫌なら加減しろ!」

着替え終えると、天井板を外してあっという間に消えてしまう。かと思えば、天井から顔を出した。

「……髪下ろしたの、まぁ、悪くなかった」

ぶっきらぼうに言い、板をぱたんと閉じる。遠退く気配を寂しく思いながらも、才蔵の残した言葉を反芻し、ついニヤニヤと笑みが止まらなかった。



■ツイッターでTOVのレイヴンと幸村って似てるよね、じゃあ髪の毛を下ろしたらシュヴァーンみたいな感じになるのかしら〜、みたいな事つぶやいて、フォロワーさんと幸才な話に盛り上がったワケですよ。
そんでこんな妄想が出来上がったワケです。

12/04/05

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