[携帯モード] [URL送信]
足りない足りない(六才)
※才蔵視点







同性と肌を重ねた事なんか、数えるくらいしかない。受け入れる側だった事もあれば、抱く側だった事もある。

上田に来てからというもの、恋人と呼べる存在が出来たが同性で。相手は男にしては美人と呼べる部類で細身。さて、夜は自分は抱く側か。本当に大切にしたい人だから、痛い思いはさせたくないな、と悶々考えていたのだが、いざ夜になると受け入れる側は俺だった。
戸惑いまくって難航はしたものの、無事に事は終えた。好きな人との行為はこんなにも満たされるのだと初めて理解した夜だった。

(なのに、なんでかな)

最近は物足りない。
愛を囁いて互いを求め合ってるのに、もっと、もっと、という気持ちが止まらない。いつの間にこんなに貪欲になったのだろう。自分の浅ましさに嫌になる。
こんなでは、六郎サンを駄目にしてしまう気がする。好きだから、大切にしたいのに。だからといって、今更手放す勇気もなくて。
どうしたらいいんだろう。袋小路に入り込んだ気分だった。


「そんなの、私も同じですよ」

情事の後に相談してみたら、そんな答えが帰ってきた。驚いてると六郎サンはくすっと笑って頬を撫でる。

「でも、駄目になる気なんてありませんし、才蔵を駄目にする気もありません」
「六郎サン…」
「だから、遠慮しないでください」

柔らかな微笑みに胸が締め付けられる。頬に触れる手に擦り寄った後、六郎サンの首に腕を回した。

「じゃあ……もう一回」

求めていいのだろうか。怖々聞いてみると、返事の代わりに唇が重ねられる。短いそれ。背中や腰に六郎サンの腕が回された。互いの鼻が触れ合う距離で、楽しそうに笑う。

「一回で終わらなかったらすみません」
「え」

若干、血の気が引く。ちょっと待て、と制止の声をあげようとしても、深く口付けられ、いいように翻弄されて叶わなかった。



翌日は腰の痛みに苦しんだけど、それすらも愛しい人との愛の形だと思えば、恨む気が薄れていく。そんな風に考えてしまう俺は、末期なんだろう。
責任取ってくれよ、六郎サン。


■最近、残念六郎が続いてたので。
六郎→←←←才蔵なくらい才蔵の方が矢印の強いというかベタ惚れな六才を目指してみた。
何度か行為はした事あるけど、相手の事はちょっといいなくらいにしか思わなくて、本気で人を好きになったのは初めてな才蔵。

残念六郎ばっか書いてたから、本来の六郎が分からなくなったよww

12/04/05

[*前へ][次へ#]

17/27ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!