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夢か現か(六才)
※六郎の右目の能力を『写し取る』ではなく『奪い取る』と勘違いしてた時に浮かんだネタ






弱々しい燈籠が一つ。それが部屋の中を妖しく照らしていた。薄暗い室内で、布団の上に敷かれた敷布を力いっぱい掴む。後ろから突き上げる快楽から逃れる為に。
しかし腰を掴む手は、それを許さぬとばかりに打ち付けてくる。

「あああっ!」
「っ、才蔵…」

自分に欲望をぶつけてくる男が愉しげに名前を呼ぶ。俺は大きな快感から逃れたくて、前に手を伸ばすも叶わない。激しい律動は俺を追い詰める。

「あ、あ、…いや、だ…やめ、ひぅっ!」
「まだ、これからではありませんか」

くすり、と涼しげに笑う。大した事ないような物言い。柔らかな声音だというのに、まるで余命宣告を受けたかのような絶望感が襲う。涙で歪む視界で辛うじて捉らえたのは、恍惚とした表情を浮かべた六郎サンだった。






(なんっつー夢を見るんだ俺はよォオオ!!)

頭を乱暴に掻いて自己嫌悪。あんな夢を見るなんて、欲求不満なのか?それにしたってなんで俺、女役?なんで相手が六郎サン?
疑問ばかりが湧いてくる。が、それ以上に夢の内容に対する恥ずかしさに頭を抱えてうずくまった。

「うー、何なんだ俺…花街にでも行った方がいいのか…?」
「若みたいな事をおっしゃらないでください、才蔵」
「おわぁっ!?」

思わず飛び上がって後退りする。六郎サンが「挙動不審すぎますよ」と呆れたように肩を竦めた。それに対して苦笑いするしかない。夢の内容を思い出すと、直ぐさまこの場から立ち去りたいくらいだ。だが実際そんな事したら、六郎サンに悪い。俺の問題なのだから。

「才蔵、今夜空いてますか?」
「は!?」

今夜、と聞いて夢の内容がフラッシュバックする。頭の中がテンパり、過剰な反応をしてしまうが、六郎サンはそれを気にせず、柔らかく微笑む。

「良い酒が手に入ったんです。一緒に飲みませんか?」
「さ、酒?…いや、それならオッサンと飲めば…」
「若を甘やかす必要ありません」

ぴしゃりと言い放つ六郎サンは厳しい先生のようだ。オッサンが少し不憫でぷっ、と吹き出してしまう。
あんな夢を見るくらいだから、少しは鬱憤が溜まっているのだろう。良い酒を飲んで少しは晴れればいい。そう思って頷いた。

「では、また今夜に」

俺の肩をポンと叩いて、六郎サンはその場から去って行った。触れられた肩の上に手を置いて俺は、頷いた時の六郎サンの反応を思い出す。
口角をやんわりと上げて涼しげに微笑む彼は、夢の中の彼と重なった。

(……なんでだ?)

情欲に塗れた空間を思い出すと、恥ずかしい筈なのに。

(なんで、六郎サンに恐怖してんだ俺…?)

知らずの内に震える肩。それを押さえる手の平は、じっとりと汗をかいていた。



■説明とか補足とかとにかく言い訳

六郎の右目の能力が『奪い取る』前提。
才蔵が見た夢は実際あった事。六郎が記憶を奪い取った時の残滓。
なんで夜の記憶を奪い取る必要があったかと言うと……六郎さん無理矢理襲ったから(最低)
1回やったら味を占めたので度々やってます。今夜も(もっと最低)

12/03/09

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あきゅろす。
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