obverse-1 曇ってしまえば寒いけれど、今日はよく晴れた日だ。 政宗さんも陽乃も帰ってしまったし、何故かは知らないけれど真っ赤な主従も今日は静か。 縁側に出てぼんやりと庭を眺めていたいたんだけど、太陽が暖かだし静かだしで眠くなってきてしまった。 ゆらゆらと鯉が泳いでいる池に光が反射して眩しい。 ぱしゃり 池の鯉が跳ねて水中から空気に身を晒した。 重力に逆らわずに落ちた鯉が水面に波紋と音を立てた。 うつら うつら 夢と現を彷徨っていた意識が水音のおかげで少し帰った。 同時に、帰ってきた意識が小さく気配を見つけた。 二つの気配。 敵意は感じない。 『こら、天井裏の二人組み、降りておいで。』 敵ではないなと判断して掛けた声に反応して降りて来たのは、罰の悪そうなかすがと飄々とした佐助。 かすがが来ている事は知らなかったから、てっきり双子だと思っていた。 だから降りて来た二人に実は内心驚いたけど、表情には出てないと思う。 …多分。 「ちぇー…##NAME1##ちゃんなんで分かったの?」 「ふん、お前が未熟な所為だろう。」 「かすがだって居たでしょーが…。」 いつかみたいな遣り取りに、思わず笑みが零れた。 [*前へ][次へ#] |