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dusty rhapsody 21
アレンは俯いたまま、ティキの反応を待った。
しかし、なかなかその答えは告げられない。
自分が緊張しているからだろうか。
その時間が、
一分、一秒がひどく長く感じた。
どんな結末になろうとも、自分の気持ちを伝えよう…
たとえこのまま二度と会えなくなったとしても
本気でそう思っていた。
けれど、実際は思いを告げることに精一杯で、
その後の事はあまり考えていなかった気がする。
忘れていた。
相手の思いを聞くことが、待つことが、
こんなにも怖いものだった事…
アレンはカタカタと震えだした体を必死で抑え込む。
彼の顔を見るのが怖くて
本当はここから今すぐ逃げ出したくて、仕方なかった。
その時、
「…アレン、顔上げて」
彼が、口を開いた。
震えたまま、なかなか顔を上げられないアレンを、大きな手がさらりと、髪をなでる。
まるで大丈夫だと、
安心させるように。
その温かい気遣いに、
少しづつ落ち着きを取り戻したアレンは、
恐る恐る顔を上げた。
そして、アレンが見たのは戸惑いつつも、いつもの優しい笑みを浮かべた、ティキの姿だった。
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