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眠り姫




ほんと、小さい奴。

(好かれてるセナが可哀想っ)





「よぉ、名前。」


問題児達が見えなくて、前に割り込めば声を掛けられた。

そう、アノ問題児に。


「お前の所為だったんだってなぁ?名前さんよぉ。」

『はい?』


行き成り話し掛けてきたと思えば、どうやらご立腹らしい。

(まぁ、先生にあんだけ言われれば当たり前か。)


「しらばっくれんなよ。お前が足引っ掛けたんだろ!」

『はぁ?!』


何を言い出すのかと思ったら、
そんなくだらない事?


「テメェの所為で、腕の骨折ったんだ!」

『どんだけ骨弱いんですかぁ』

「っ馬鹿にしてんのか!」

『別に、寧ろリスペクトしてますよ』

(その奇跡的な脳みそを、)


先生たちが一瞬、密かに眉を寄せた。

どうやら、挑発だと勘違いしたらしい。

こんな奴に挑発しても何のメリットも無いし、

第一メンドくさいからしない。


「てめぇ!俺をどれだけ馬鹿にしてんだ?!」

『たったの二回、ですけど?』

「っ〜」


問題児、否。

斉藤シンヤは羞恥の余り顔を赤くする。


「苗字さん?!」


今度ばかりは先生も黙っては居られない様だ。

だって、

(メチャクチャ焦ってる♪)


「っ・・・ニヤッ・・・もう良いさ。」

『・・・・・(無視』

「そんな態度を取って良いのか?」


ニヤっと不気味な笑みを作る。

まぁ気持ち悪いだけだけど、


先生たちや感の良い奴等は騒ぎ始める。


「やめなさいっ!斉藤く…」

「じゃぁな、哀れな哀れな、狼さん?」


ドンッ


視界が揺れる。

その瞬間、


何故か浮遊感があった。


ああ、分かった。


(私、落とされたんだね)


騒ぎ出す周りの野次馬共。


死ぬ事なんかに恐怖なんて無いけど、

でも、


『せめてリボーンの世界に行きたかったァァァァァアアアアアア』

「っあんた!自分の事を先ず心配しようよ?!」


(ナイス突っ込み、由紀。

そして、

さようなら。皆。)





そしてまだ浮遊感は無くならない。

あんな感動的なシーンだったのに、


ふと、視界が明るくなった。

薄い青色が広がる。


周りは、空


『っえええええ?!』


階段から落ちたよね?

じゃあなんで空?


でも、取り敢えず。


『高いのは無理ィィィィィイイイイ』


だんだん、だんだん地面が近づいて来る。

きっと、このまま行けば頭から落ちて死ぬだろう。

もう少し、楽しめばよかったなぁ


そして、そのまま目を瞑って

覚悟を決めた。

一粒の涙を流して。






「いやぁ、ラーメン美味しかったなぁ♪今度はスシでね」


今日は快晴。

雲一つ無い、青一面の空。

この世界は醜い。

だけど、何時見ても空だけは綺麗だと思う。

上を見上げていると、一つの黒い影があった。


しかも、それは少しずつ落ちて来ている様だった。


「えぇ〜、もしかして未知の生命体とかだったりしてぇ?」


風を切る音と共に落ちてくる影。


「女・・・子?」


落ちてきた影の正体は、一人の少女だった。


「ま、僕には関係ないか」


そう言ったのに、

体が勝手に動き、彼女をしっかりと受け止めた。


「あれ?勝手に・・・」


少女を見れば


一筋の涙を流しながら


深く眠っていた。


「うーん。何だか分かんないけど、

 連れて帰ろっか。」


すやすや眠る少女は、何も知らずに

落ちていく。


(それにしても、何で空から?)








あきゅろす。
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