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混浴





ガラッ



『わっすご・・・・・』

「え?」

『は?・・・ッッぎゃぁあああ』




扉を開け、あまりの広さに驚いた瞬間、自分以外の声が聞こえた。
それを確認するのに時間は余り掛からなかった。


そう、白蘭だった。





うん。落ち着け、落ち着け私。
何故こうなった、如何してこうなった私ぃぃいいいい
ちゃんとタオル巻いてて良かったっ!
アイリスがタオル巻くなってニヤニヤして・・・ん?
あれ?ちょっと待てよ?これってもしかして・・・




『騙されたぁああああ』

「・・・」

『……帰る』

「折角だから入りなよ、僕もタオル巻いてるし。冷えるよ」

『……分かった。』




珍しく冷静な白蘭に戸惑いつつも少し離れた所に浸かる。
いつもだったら下ネタを言うのに。


(どうしたんだろう)


ちらりと白蘭の方を見れば目があった。



「名前チャンはさ、何処から来たの?」

『え?』

「初めて会った時、空から落ちてきたでしょう?」

『ああ…。私ね、信じられないかもしれないけど、異世界から来たんだ』

「そうなんだ。」



ふぅん、と大して驚きもせず興味もなさげに言った。



『そうなんだって、信じちゃうの?』

「信じるよ。だって名前チャンだから。」

『……馬鹿?』

「なんとでも。」



そう言って肩を竦め、やれやれとでも言うように首を振った。



「じゃあさ、帰りたいと思う?」

『…何処に?』

「君の居た世界に」

『……私、此処で皆と一緒に過ごすのが楽しい。』

「うん」

『それにね、白蘭の隣にいるの…嫌いじゃない。だから、まだ帰りたくない』

「…そっか」



真っ直ぐと白蘭を見据えて言えば、今まで見たことの無い優しくふわりとした笑みを浮かべて彼は頷いた。
その瞬間、呼吸が止まった。
不自然なくらい脈を打つ鼓動に少し苦しくなる。

急に動かなくなった私を不思議に思った白蘭が顔を覗く。
そしてまた胸が苦しくなった。
どうしてこんなに苦しくなるのか分からなくて、でも原因は白蘭で。
だから苦しさから逃れるために、白蘭を思いっきり叩いた。



「痛っ……なんで?!」

『……知らない!馬鹿!』




混浴



(この胸の高鳴りが何なのか、)
(私は知らない。)




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