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女湯にて。





『花の湯だってー!』


名前通り、とてもフローラルな良い香りが漂う浴室にはしゃぎながら入った。
湯の色は薄いピンク色が少し混ざった白。
所々カラフルな小さな花が浮いている。

(か、かわいい!!!)


さっと体を洗い、頭を洗う。
シャンプーもボディソープも花の良い香りだった。


「名前、」


頭も洗い終わり、湯船に浸かろうとした時、アイリス姉に呼びかけられた。


『なぁに?』

「・・・あんた実際、白蘭とどこまで進んでんの?

『ブフゥッ』


いきなり大人な質問をされて吹いてしまった。
ちょ、私汚っ!!
大体何?どこまでって・・・


『そんな関係じゃないのですが・・・』

「あれ?そうなのかい?」

『あ、当たり前だよっ!』



きょとん、としながら違うの?的な目をするのは止めて下さい。
ちょ、色気がぁぁあああ



「じゃあ、違う質問をするよ」

『な、何でございましょう・・・?』

「白蘭のこと好きなのかい?

『何でそうなるの?!』

「ほら、さっさと答えな!」



そんなキラキラさせた目で見つめないでっ
そして変な期待をしないで下さい。
いや、そもそも何でこうなった?!

(・・・なんで美人さんは一癖あるんだろ・・・。)



「で、どうなんだい?」

『あ、ほらいい湯だよ!いい香りもする!』

「そうだねぇ、だけど誤魔化させはしないよ!」

『うぅ・・・・・・・・・ぃ』

「声が小さくて聞こえないよ!」

『わ、かんない・・・』



そう言うとアイリス姉は「はぁ、」と大きく溜息を吐いた。
そして哀れみを含んだ視線を男湯へと向けていた。
好きかどうか、なんて分からないから頑張って考えたのに・・・。



「はぁ、じゃあもう一つ質問。」

『・・・?』

「白蘭のこと、嫌いかい?」

『・・・!』



白蘭は一応命の恩人だし、衣食住だって与えてもらってるし、それから・・・それから?



「恩とかそういうのは考えないで、」

『・・・嫌いじゃ、ない』



その言葉を聴いた瞬間、何かに安心したかのように胸をんで下ろした。
そして私の頭に手を乗っけて薄く微笑んだ。





女湯にて。





(どうしよう、天使がいる・・・!)
(お互い、相当鈍いね。こりゃ。)


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