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レッド★ライン

 どうやら殴られたようだ。

 後ろを向けば、最初に転ばした男が数人の仲間に肩を支えられ、不敵に笑っている姿が見えた。
 まだ動けたのか、と舌打ちしたい気分だった。

 ざっと見回して十人弱。
 さすがにこれだけの人数を相手にする程、ユーリは喧嘩なれしていない。

 そうしてとり囲まれたような現状に、いよいよ本気でヤバいかもしれないと思い始めた。
 なんだってこんなことに――と思っても既に遅く。
 逃げようにも頭からの出血が原因か意識が次第に朦朧としていて、実のところ立っているのもやっとの状態であった。

 だから逃げるなんて到底無理な話だ。

 にじりよってくる男達にぼこぼこにされる自分を思い浮かべて、それがなんとも可笑しくて、こんな時だというのに笑えてしまう。
 くっくっと笑うユーリを見て男達が何事か喚いているが、意識が霞んできているのかよく聞こえなかった。
 空気の震える感覚に殴られると予想し、目を瞑るが一向に拳は飛んでこない。

 代わりに場に似つかわしくない男の声が聞こえた。

誰―――だ?

 そう思ったのを最後にユーリの意識は暗転した。


 崩れ落ちた身体が倒れた先はアスファルトの上ではなく、力強い男の腕の中で。
 それが一体誰の腕か意識のないユーリに分かる筈もなく―――。

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あきゅろす。
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